今回は、普段とはちょっとベクトルを変えて(?)、交通機関につきものの2大問題と言える「忘れ物」と「寝過ごし・乗り過ごし」を回避する方法を考えてみたい。

2点間移動の飛行機なら寝過ごしは問題にならないが(目的地に着陸しても寝たままでいたら、客室乗務員が起こしに来るだろう)、鉄道やバスではおおいに問題である。

忘れ物も寝過ごしも大被害につながるリスクあり

特に首都圏・近畿圏の鉄道はネットワークが広域に渡っているため、寝過ごした結果として、トンでもないところまで連れて行かれる可能性がある。例えば、三ノ宮から大阪まで行くつもりで新快速に乗って寝過ごしたら、気付いた時は米原だった、なんてことになりかねない。

筆者自身はというと、目的地の駅で寝過ごして遠方まで行ってしまったという経験はない(本当です!)。なぜか、車中で居眠りをしていても、ちゃんと降車駅より手前で目が覚めるのだから不思議だ。

ただし、車内に忘れ物をしたことは1度だけある。この時は幸いにも車内の捜索で見つけてもらうことができたので、都心を横断して某駅まで回収に行った。自宅の最寄り駅に降り立った瞬間に気付いて、直ちに駅事務室に駆け込んで捜索を依頼できたのがラッキーだった。

また、情報漏洩問題が何かと取り沙汰される昨今、ノートPC、スマートフォン、タブレットといったモバイルデバイスを車中に忘れれば、保存しているデータ次第では情報漏洩事件の主役になってしまう。なにも、この手の情報漏洩事件は飲み屋で酔っ払った時にだけ起きるものではないのだ。

なお、忘れ物となると交通機関の車中だけでの話では済まない。宿泊先で忘れ物をする可能性もある。もっとも、交通機関の車中と異なり、発見・回収される可能性が高いのは救いだが、海外だと大変だ。宿泊先の話は措いておくとして、交通機関における忘れ物や寝過ごしを避けるにはどうすればよいだろうか。

個人的な忘れ物対策いろいろ

まず、忘れ物をする場面としてありそうなのは、車中でノートPC・弁当・お茶・お酒・おつまみなどを広げて盛大に "店開き" してしまい、降車の直前になって慌てて "店じまい" する場面だと推察される。それが居眠りから目覚めた直後であれば、なおさらだ。

それであれば、あまり盛大に "店開き" しないことがポイントである。必要な物だけ出して、用が済んだら直ちに片付ける。こうすることで、"店じまい" を迅速にでき、それだけ気分的な余裕ができる。なんだか、せせこましく感じられるかもしれないが、忘れ物をするよりマシである。

また、携帯電話・鍵・財布など、常に持ち歩いている種類のものは、バッグや鞄の中であれ服のポケットであれ、どこに何を入れるかを常に決めて、固定化しておくのも一案だ。そうすれば、席を立つ前にそうした"定位置"を順番にチェックすることで、忘れ物を回避しやすくなる。場所が固定化されていないと、必然的にチェック漏れが発生しがちだ。

忘れ物チェックという話になると、座席・荷棚・背ズリに設けた網袋・座席の下など、物を入れたり置いたりしそうな場所を確認する必要もある。実は、筆者がやらかした唯一の忘れ物も、荷棚に荷物を置きっぱなしにしたために発生した。

以来、電車でもバスでも飛行機でも、このチェックは欠かせない。たとえ、JRの山手線で秋葉原まで買い物に行く場合でもだ。傘などを忘れた経験があるので、喫茶店を初めとする飲食店で席を立つ場合も同様である。

列車によっては、本人が寝ていても車内改札を行えるように、座席にチケットホルダーを設けている場合がある。そこに切符を入れたままで降りてしまったら大変だから、これも要チェックである。

なお、もしも忘れ物をしてしまって捜索を依頼する場合、「どの列車の」「どのハコの」「どの辺りか」が明確になっているほど、見つかる確率は上がる。列車の時刻、行先、号車番号、可能なら運行番号(先頭部の前面に表示していることが多い)まで伝えられれば、捜索する側も助かるそうである。

居眠り対策には特効薬あり

という具合に、忘れ物対策についてはいろいろ工夫している。では、居眠り対策はどうだろうか。新幹線や特急列車で長距離移動している時、それとローカル線の各駅停車でノンビリ移動している時は、えてして睡魔に襲われやすいものだ。

実は、車中における居眠り対策には特効薬がある。ブラックコーヒーやカフェイン入りガムという手もあるが、それだけでは物足りない。要するに、座っているから余計に眠気を催すので、そんな時は思い切って立ってしまうのがいちばん効く。

もっとも、都市部の通勤電車ならともかく、新幹線などの長距離列車で立ちん坊になるのも間の抜けた話だから、席を立って少し歩き回るぐらいが現実的かもしれない。ただし、窓際に席をとっていると、通路側に座っている人に断って席を立つのは面倒に感じられそうだが、そこはそれ。

これはどんな場面でも同じことだろうが、実のところ、眠気を催した時は思い切って短時間だけ居眠りするほうが、却ってスッキリするものである。しかし、殊に交通機関で移動している時にそれをやると寝過ごすリスクを背負い込むことになる。

そのため、時間に余裕がなければ席を立って眠気を覚ます、時間に余裕があれば少し居眠りする、と使い分けるのが良いのではないだろうか。ただし後者の場合、寝過ごし防止のため、到着予定時刻の10~15分前ぐらいには目覚ましを仕掛ける必要がある。

昔なら旅行用に小さな時計を持ち歩いたところだが、今なら携帯電話がアラーム機能を備えているだろうから、それを使うのがベストだ。ただし、音が鳴ると近所迷惑なので、アラームを設定する際はバイブレータで。携帯電話を身体に触れる形で持っていないと、バイブレータによる目覚ましが機能しない点には注意が必要だが。