その昔、『話を聞かない男、地図を読めない女』という書籍が話題を集めた記憶がある。単純に「男が」「女が」と分けるのは乱暴ではないかと思うが、それはともかく。

線路がある場所しか走らない鉄道、空の上の決まったルートを飛ぶ飛行機ならまだしも、バスやタクシー、送迎のクルマなどで移動すると、後から「どこからどこまで、どこを通って移動したのか?」と首をひねってしまうことがある。

今回は、そんな場面で役に立ちそうな、GPSロガーの話をしよう。

道を覚える秘訣は「参照ポイントの記憶」と「地図との照合」

道を覚える秘訣は、参照ポイントとなる道路の曲がり方や交差点の名前などを逐一、記憶していくこと。そして、それを後から地図と突き合わせて参照することで情報を整理でき、結果的に道を覚えることになる。

筆者はどちらかというと道を覚えるのが得意なほうだと思っているが、何もしないで覚えているわけではなくて、こういう作業があってのこと。さすがに、何もしないでパッパと道を覚えていくほどには頭は良くない。

とはいうものの、移動距離が長くなれば参照ポイントの数が増えて、覚えていられなくなる。それに、初めて訪れた馴染みのない土地では、出てくる地名を覚えるのに難渋することもある。よしんば字面を覚えていても、読み方まで手が(頭が?)回らないこともある。

だからというわけではないが、筆者は1年ほど前から、旅行の際にGPSロガーを持ち歩くようにしている。使っているのはソニー製の「GPS-CS3」で、単3電池の「エネループ」を使うと12~14時間の連続稼働が可能だ。だから、電池は旅程に合わせて「1日1本、プラス予備」で数を決めて持って行く。

このように、旅行の際に使用するリュックの脇にGPSロガーをぶら下げてある

GPSロガーで記録した軌跡を活用する

「GPS-CS3」のようなGPSロガーは、電源を入れてNAVSTAR衛星からの電波を捕捉すると測位を開始、以後は一定の間隔で次々と緯度・経度の情報を記録していく。それをUSBインタフェース経由でPCに吸い上げて、製品添付のソフトウェアを使って地図上にプロットすると、軌跡を描き出してくれる。

「GPS-CS3」添付のソフトウェア「GPS Image Tracker」を使って軌跡を表示させた例

また、「GPS-CS3」の場合、同じソフトウェアを使ってJPEGデータにジオタグを埋め込むことができる。デジタルカメラで撮影したJPEG画像データの「撮影日時」の情報と、「GPS-CS3」が記録した緯度・経度情報の時刻情報を照合して、対応する時刻の緯度・経度情報をJPEGファイルに書き足していくわけだ。

この仕組みが正しく機能するには、カメラの時計を正確に合わせておく必要がある。GPSロガーはNAVSTAR衛星が搭載する高精度の原子時計によって正しい時刻を把握しているが、デジタルカメラの面倒までは見てくれない。だから、カメラの時刻は手作業で精確に合わせておく必要がある。

実は、GPSレシーバーを内蔵するデジタルカメラもあり、そうした製品なら撮影時に自動的にジオタグを設定してくれる。GPSレシーバーとカメラの両方を内蔵する携帯電話やスマートフォンでも同様だろう。

ただ、GPSレシーバーとカメラが一体化している場合、不便な点もある。その最たる問題がバッテリ寿命で、精確かつ迅速な測位のために電源を入れっぱなしにしていると、バッテリがどんどん減る。かといって、バッテリ寿命を重視してGPSレシーバーの機能をこまめに停止させると、いざ測位が必要というときに「コールドスタート」状態になり、位置を掴むのに何分も時間がかかってしまう。

その点、GPSロガーとカメラが分離していれば、デジタルカメラの内蔵GPSレシーバーと比べると測位頻度が高い(それだけ精確な軌跡を記録できる)上に、カメラのバッテリをむやみに消耗する問題からも逃れられる。後からジオタグを付加する手間がかかるのは、それに対するささやかな代償だ。

もっとも「GPS-CS3」の場合、SDカードスロットを内蔵しているので、デジタルカメラで撮影に使用したSDカードをそこに取り付けて「マッチング」を指示する方法でもジオタグを付加できる。いちいち「GPS Image Tracker」を引っ張り出さずに済むのは便利だが、一度にジオタグを追加できる枚数が60枚までに制限されており、それを超える数があった時は何回かに分けてマッチングしなければならない手間はある。

ともあれ、軌跡を記録したり写真にジオタグを付けたりできるので、遊び・仕事の別を問わず、GPSロガーを用意しておくのはお勧めだ。トンネルや屋内で測位できないのは致し方ないし、移動中は窓際に置いておかないと測位し損なうこともあるが。