数少ない「吸える場所」を把握しておく

筆者はタバコの煙が苦手である。だから、できるだけタバコの煙が立ちこめている場所は避けて通ることにしているのだが、そうはいっても「タバコを吸う権利」も尊重したい。両者がうまいこと、折り合いをつけて共存できればいいのだが。

JR東日本では一部の長距離列車を除いて特急列車をすべて禁煙にしてしまい、「喫煙は駅の喫煙スペースで」としている。もっとも、JR東日本の特急列車は比較的運転時間が短いので、こうした方法を採れるとも言える。そんな状況でもあるので、愛煙家であれば、どこに喫煙スペースがあるかを把握しておくほうがスムーズだ。駅の喫煙コーナーだけでなく、列車内の喫煙車両、喫煙ルームも同様だ。

タバコの問題点は、煙が漂って離れた場所まで影響を及ぼすことではないだろうか。だから、JR東日本が新幹線の駅ホームで行っているように、ガラスで囲んだ喫煙ルームを設けて空気清浄機を設置すれば、周囲への影響も抑えられるので、最善の落としどころと言える。

それと同じことを車内で行っているのが東海道・山陽新幹線のN700系と山陽新幹線の「こだま」用500系なのは、よく知られている。車内で喫煙ルームまで行かないとタバコを吸えないのであれば、喫煙ルームに近い場所の席を確保できると理想的だろう。

東海道・山陽新幹線のN700系(16両編成)では3・7・10・15号車に、500系(8両編成)では3・7号車に、2011年春から「さくら」として山陽・九州新幹線の直通運転を開始するN700系(8両編成)では3・7号車に、それぞれ喫煙ルームがある。ということは、スモーカーはこれらの号車を目指して席をとるのが便利ということになる。

N700系は、写真の16両編成では4ヵ所、山陽・九州新幹線直通用の8両編成では2ヵ所に喫煙ルームがある。愛煙家なら、喫煙ルームに近い席を取りたいところだろう

N700系のテーブル背面にある車内設備の案内図。3号車の博多方面に喫煙ルームがあるのがわかる

そういえば、北海道を訪れた時、函館本線の桑園駅でホームの喫煙コーナーがほぼ吹きさらしといっていい場所に設けられているのに気付いた。夏場はともかく、真冬になったら喫煙コーナーとして機能しないだろう。何しろ北海道である。おっと、閑話休題。

接客設備に関する情報を把握している人は強い

喫煙号車に限らず、特定の号車あるいは車種に特有の接客設備が設けられている例はいろいろある。そうした情報を知っていれば、知らない人よりも快適な旅行が可能だ。

例えば、車椅子を使用しているのであれば、その利用に適した車両に関する情報を把握しておくことで、スムーズに移動できる。幸い、最近では交通バリアフリー法の絡みもあって、車椅子での列車の利用にはいろいろな配慮がなされるようになってきた。一例を挙げると、東北・上越新幹線の「オール2階建て新幹線Max」には「フラット席」が設けられている。

Maxは車内の両端を機器室にすることで、中間部分を完全に2階建てにする設計なのだが、一部の車両では車端の「平屋」部分に座席が設けられており、それを「フラット席」と称している。指定券の席番表示では「Max○○ △△号 ■号車1階FL」といった内容になる。設置されている場所は車種によって異なり、それぞれ以下のとおり。

  • E1系:4号車の新潟側、5号車の東京側
  • E4系:2号車・10号車の新潟/仙台側、4号車・12号車の新潟/仙台側、6号車・14号車の東京側

E1系は上越新幹線専用だが、E4系は東北新幹線でも使われている。また、E4系は8両編成を2本併結して16両編成を組成することがあるので、こんなややこしい表記になってしまった。御容赦いただきたい。

フラット席は、「みどりの窓口」などでリクエストしたり、指定席券売機で座席表を使って選択したりすることで利用できる。ちなみにこのフラット席、車椅子だけでなく、「足を骨折して松葉杖をついているために階段の上り下りは避けたい」なんて場面でも役立つだろう。

このフラット席以外でも、車椅子からの乗り移りを容易にできるように肘掛けを跳ね上げ可能にした1人用座席を設けているケースがある。興味を持った人は「みどりの窓口」で問い合わせてみよう。