息子にとって、電車がある景色は「原風景」のようなものかも

どうやら男の子は乗り物が好きで、1歳前後の頃にはミキサー車やパワーショベルなどの働くクルマ系か、電車、たまに飛行機、船と、何かしらの乗り物に傾倒していくようだ。その中で、うちの息子は電車とミキサー車がお気に入りになった。

1歳半で電車の“スイッチ”が入る

周囲の環境や親がどのような情報を与えるかが、子供に大きな影響を与える。乗り物に関して考えると、我が家は近所の側道で水色のミキサー車をよく見かけたので、息子にとってそれは大きくてスペシャル感がある車両だったのだと思う。

また、電車もJR線と地下鉄の両方を利用できる環境に住んでいるので、実際に乗る機会は多く、よく散歩に出かけた河川敷の土手上から眺める電車がある景色は、鉄橋に響く少し高音な走行音とともに、息子だけでなくママにとっても気分の良いものだった。

ミキサー車はあまりネタがなくて、コンクリートをぐるぐるとかき混ぜながら運んでいることしか教えられなかったけど、電車の情報はハッキリ言って底なし沼なのだ。路線、駅だけでもたくさんあるし、車両にも種類があって、E231系やE233系というように、番号で名前が付いている。

何かの“スイッチ”が入ったように、1歳半くらいから意欲的に電車の情報を吸収し始めた息子は、だんだんと好みもハッキリして、オレンジと緑のラインが入った宇都宮線が大のお気に入りとなった。2歳頃には50路線ほどの名前を記憶し、保育園では「電車博士の◯◯くん」と呼ばれていた。

実は周りに“元鉄”が多いことを発見

たくさん覚えるのは脳のトレーニングになるかな、なんて調べられる範囲で一緒に覚えてきたけれど、「電車が好きな男の子=鉄ちゃん(子鉄とも言う)」の領域を超えて、オタク化していることにふと気がついた。

「このまま鉄道オタクになったら? もっと深いところに向かってアニメオタク? アイドルオタク? 家電オタク? いやいや、電車男のようになるのか!?」なんて想像したこともあった。しかし、子供の鉄ちゃんぶりをSNSなどを通じて知り合いに紹介していると、実は周りにも“元鉄”が多かったことが分かってきた。

例えば、クルマ好きな人なのかと思っていたら、子供の頃は鉄ちゃんだったとか、実は家にいろいろな鉄道グッズが残っているとか……。一緒に仕事をするライターやカメラマン、自転車のプロ選手、モデルさんなど、あらゆるところに“元鉄”は潜んでいた。鉄ちゃんを育てていると、今まで見えてなかったものが見えてくるようだ。

5歳になった息子は最近サッカーにも興味を持ち、国内外の選手の名前を路線名と同様に猛烈に覚えているが、相変わらず地元の宇都宮線好きの鉄ちゃんで、お気に入りのおでかけスポットは埼玉県の鉄道博物館だ。ただ、いまだに好きな電車が宇都宮線って……ちょっと地味じゃないかと思うのだが、親の心子知らずなのだ。

筆者プロフィール : 齋藤 むつみ

ロードバイクやトライアスロンなどをメインに執筆する、フリーライター&編集者。趣味はサイクリングとフットサルだったが、鉄ちゃんになった息子に影響されて、電車ウォッチング&電車旅行が加わった。