【コラム】

ツールエキスパート

1 リモート管理もユビキタス? - VNC(1)

    大田万多夢  [2002/08/23]

    この世にソフトウェアは数あれど、その多くは万人向きで、際だった個性には欠けたものである。しかしオンラインで入手できるソフトウェアの中には、斬新で独創的な機能を備えながらも、特殊な用途のために一般に名を知られていないものが数多く存在している。

    「普通のソフトにはもう飽きた」「たまには毛色の違うものを使いたい」、そんなマニアックなPCユーザの方々のためにユニークなソフトウェアを発掘し、基本的な機能から特殊な利用法に至るまで数週に渡り徹底的に紹介しようというのがこのコラムの趣旨である。時には筆者の趣味に走る可能性もあるが、安全性には充分に留意して検証を行うので、興味を持たれたならば是非お試しいただきたい。

    なお、ソフトウェアの利用は自己責任において行っていただきたい。利用により生じた被害について、筆者および編集部は責任を負いかねるのであらかじめご了承を願いたい。

    ○VNCの概要

    今回紹介するのは「VNC」というツール。VNCはVirtual Network Computingの略で、ネットワークで接続された遠隔地(リモート)のコンピュータのデスクトップ画面を、手元のコンピュータ上に表示してコントロールできるようにするソフトウェアである。元々はAT&Tケンブリッジ研究所が開発しGPL(GNU Public License http://www.gnu.org/licenses/gpl.ja.html )に基づくフリーソフトウェアとして公開されたもので、AT&Tケンブリッジ研究所自体は今年の4月23日に閉鎖されたものの、Webサイトは存続しており引き続き入手可能である。

    VNCの動作モデルはサーバー/クライアントに分かれている。コントロールされる側にデスクトップ画面を転送してアクセス可能にするサーバーを導入し、コントロールする側には転送されたデスクトップを表示して操作を行うビューワー(クライアント)を実行する仕組みである。これは同等の機能を提供するWindows XP Professionalの「リモートデスクトップ」や市販品の「pcAnyware」などのソフトウェアと基本的には同じで、決して目新しいものではない。VNCの特徴は対応プラットフォームの広さと柔軟さにある。

    VNCサーバーにはLinuxなどのUNIX・Windows・Mac用があり、VNCビューワーに至ってはさらにWindows CE・JAVA用まである。サーバー側とクライアント側でプラットフォームが異なっていても構わないため、サーバーはUNIXのX環境でクライアントがWindowsということも可能である。加えてサーバーがWindowsである場合はJAVAアプレットを内蔵しているので、ビューワーとしてJAVA対応のWebブラウザが利用できるのも便利。しかも、オープンソースの恩恵で第三者により移植されたものもあり実に多くの環境で利用できる。今回はWindows版のVNCサーバーとビューワー中心に取り扱う。

    ○導入前の注意

    どんなに役立つソフトウェアであっても副作用がある。例えば、ウイルス対策ソフトを導入すると安全性は高まるがそれと引き換えにシステムのパフォーマンスが低下してしまう、というようにそのソフトの仕様に起因する不都合や制限事項が存在するのだ。この連載では、その負の部分を知った上で導入するか否かを判断して頂くために、紹介するソフトウェアに関する注意点をまとめておこうと思う。

    なお、筆者はWindows版VNCを使用して2年近くになるが、ブルースクリーンなどの致命的なエラーが発生したことはない。インストール/アンインストールに関してはレジストリにゴミを残すことなく行えるので、安心して試すことが出来る。

    まず制限事項としてはTCP/IPプロトコル上でのみ動作するため、NetBEUIだけを利用してネットワークを構築している場合はTCP/IPで構築し直す必要がある。また、サーバー/クライアント間の通信は暗号化されてはいないため、作業中の画面を傍受される可能性があり企業など機密データを扱う際には危険が伴う。SSHが利用できる環境ではセキュアな設定も可能だが、一般的ではないので基本的には家庭内LANでの簡易CPU切替器の代替手段や簡易メンテナンス作業用と割り切った方がいいだろう。VNCサーバーへのログインはパスワードで保護されており個人ユースではセキュリティホールとなることはあまりないと思われるが、安心はできない。導入する際には以上の点を念頭において欲しい。

    次週からは、Windows版VNCのインストールから最低限必要な設定と基本的な使用方法までを順を追って解説していく。

    AT&Tケンブリッジ研究所
    http://www.uk.research.att.com/

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