前回の続きになります。モーションキャプチャーの話です。装着できました。重くて動きづらいです。まずはゆっくりとその場で足踏みしてみます。驚きですね。自分の動きがリアルタイムにパソコンのモデルデータに反映されています。自分とモデルが同じ動きをします。タイムラグも感じません。これは不思議な感覚ですね。こんなことが自宅でできるようになっちゃった、2010年!

菅原そうた氏と適当にしゃべりながら、キャプチャーの動きをREC、しゃべりの音声も同時にRECして、一発録りで、ムービーを作ってみます。

今回製作した動画はこちら。

ふたりのいいかげんなイメージで登場する小物は後で付け加えました。ごらんのようにクオリティーは低いです! 音も悪いし、レンダリングも最速の描画で、物体に影も落ちてません。カメラワークも適当。しかしですね、クオリティーはいつでもあげられます。きちんとスタジオに入って音声を録音したり、ゆっくりと時間をかけてレンダリングしたり、そもそもムービーには絵コンテがあります。そんなことやりだしたら大変です。何日もかかって、真顔での作業になってしまいますから。今回はその日のテンションそのままに、粗雑でも新鮮味が大切、コンピュータで作ったものでもその場のノリや空気を表現できると思ってます。で、ムービーはその日に完成。

いつのまにノリでムービーが作れる時代になったのだろう。この先どんな未来が待っているのか。最新技術は楽しい。新しい道具によってクリエイションが触発される瞬間がたしかにある。ソフトやアプリケーションに自分の創作を振り回されたりするようではダメだ! みたいな言い方があるが、僕はそう思わない。思いっきり振り回されたい。ムチャクチャにしてほしい! 道具に食われてしまう感性や独創性なんてそもそもたいしたことがないのだから、ぶっ壊してくれたほうがいい。それでも残るものをクリエイションと言おう。

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タナカカツキ


1966年、大阪府出身。弱冠18歳でマンガ家デビュー。以後、映像作家、アーティストとしても活躍。マンガ家として『オッス! トン子ちゃん』、『バカドリル』(天久聖一との共著)など作品多数。1995年に、フルCGアニメ『カエルマン』発売。CM、PV、テレビ番組のオープニングなど、様々な映像制作を手がける。映像作品『ALTOVISION』では「After Effects」や「3ds Max」を駆使して、斬新な映像表現に挑んだ。