【コラム】

元国税芸人さんきゅう倉田の「役に立ちそうで立たない少し役に立つ金知識」

24 ラブホテルと宿泊税

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元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな観光地は「タックス・ヘイブン」です。

京都市で宿泊税が導入されるという報道がありました。ホテルや旅館に泊まると、税金が徴収されることになります。外国人観光客が増えたため、観光案内や観光地トイレの整備に充てたり、文化財保護や歴史的景観の保全、快適な歩行空間の創出に使ったりするようです。

実は、京都市で宿泊税の導入が決まる前から、東京と大阪では宿泊税が導入されていました。

東京の宿泊税

大阪の宿泊税

主に宿泊料金に含まれるものは、

・素泊まりの料金
・素泊まりの料金にかかるサービス料

主に宿泊料金に含まれないものは、

・消費税
・食事、会議室の利用、電話代といったサービス料金

となっています。このような、宿泊税が京都市でも、来年10月から導入されます。

京都の宿泊税

もちろん、ラブホテルにも課税されますので、2人で2万円以上の部屋に宿泊すると、200円徴収されます。休憩の場合は、徴収されません。あなたが利用したラブホテルがいいかげんなラブホテルなら、宿泊しても徴収されないかもしれません。

ラブホテルと税務調査

ラブホテルといえば、脱税の多い業種とされています。方法としては、日常的に売上を除外することが多いように思います。

例えば、1日の売上の半分を隠すとします。ラブホテルは、レシートを出すことが少ないので証拠書類が残らず(個人的に行ったことがないので、レシートを確認したことがありませんが、発行されないと聞いています。正否は読者の経験に委ねます)、容易に売上を除外することができます。

しかし、売上を除外すると、売上に対する経費の割合が増えてしまいます。売上に対して2割の経費だったのが、4割とか5割になります。こうなると、毎年税務署や国税局に提出される確定申告書を見るだけで、売上を除外していることが分かるわけです。

なぜかというと、同業他社と比べて、圧倒的に経費が多いからです。日本中のラブホテルが売上を抜いていれば、同業他社と同じ基準になるので、確定申告書を見ても違和感はありません。

しかし、自分が経営する以外のラブホテルが、売上を除外しているか分かりません。売上は隠したいが、目立ちたくない。そう考えた経営者は、どうするか。経費も除外します。そうすると、利益率が極端に悪くなることがありません。単純に、客があまり入っていないように偽装するのです。脱税する人たちも、いろいろと考えているわけです。

そうなると、税務調査によって帳簿書類を確認するだけでは、正しい売上が分かりません。そこで、「内観調査」や「反面調査」というものを行います。内観調査は、事前にこっそりラブホテルを利用して、会計方法や従業員の数、出入り業者、空室率など可能な限り情報を集める調査です。

部屋の中に、アダルトグッズの自動販売機(そういうものがあると聞いていますが、行ったことがないので伝聞です)があれば、購入します。もちろん、個人的に楽しむためではなく、グッズの売上だけを除外する可能性があるので、その確認のために購入します。

反面調査は、ラブホテルの取引先に調査を行うことです。売上とともに除外された経費を、取引先の記録と照合して、正しいか否かを判断します。ラブホテルの取引先といえば、リネンのクリーニングを行う業者でしょうか。クリーニングしたシーツの枚数から、おおよその客数を割り出すことができます。このように、どんなに仮装・隠匿を行っても、国税局の台所の汚れよりしつこい調査で、不正は明らかになります。

まだマイナーな税金である「宿泊税」。もし、あなたがラブホテルを利用したときに徴収されていなかったら、そのラブホテルは、税に関してイージーに考えている業者が運営しているのかもしれません。

執筆者プロフィール : さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら

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インデックス

連載目次
第25回 ゴジラによって家を破壊された場合に受けられる税金の免除
第24回 ラブホテルと宿泊税
第23回 ひとりで裁判やってみた4~手続きと注意~
第22回 ひとりで裁判やってみた3~和解の危険性~
第21回 ひとりで裁判やってみた2~大家さんへの尋問~
第20回 ひとりで裁判やってみた
第19回 課長にバレないように副業しよう~もしバレても これさえ読めば~
第18回 意外と知らない福利厚生費の世界~旅行、記念品、食事の取り扱い~
第17回 社長・CEO・代表取締役は、業績が良くてもボーナスがもらえない?
第16回 M-1グランプリの賞金に税金はいくらかかるのか
第15回 図解! 新しい源泉徴収票と扶養控除等申告書
第14回 お年玉とサンタさんと誕生日、贈与税がかかるのは?
第13回 マルサならたやすく暴く - 議員さんの"かそう・いんぺい"
第12回 サングリア お店で作ると 捕まるよ
第11回 ティファニーで免税を
第10回 交際費の世界
第9回 会社員の会社員による会社員のための確定申告
第8回 ボノボでもわかる減価償却と耐用年数
第7回 部屋とワイシャツと印紙
第6回 贈与税ちゃんと相続税ちゃん
第5回 あきらめないで、会社員でも経費が認められる!
第4回 「103万円以内で働く」意義と130万円の壁
第3回 脱税なんて大嫌いっ! - 国税局査察部・マルサ
第2回 三種の神器は、贈与税がかからない?
第1回 上司も唸る「酒税法改正」

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