元 国税局職員、さんきゅう倉田です。好きなお酒は「どぶろく」です。

今回はお酒について。なぜ、元国税局が酒について書くかというと、酒の製造や販売の免許、その他のルールは、国税局の管轄なのです。だからかわかりませんが、国税局職員はアルコールが大好き。可能なら毎日飲みます。

酒とは

酒税法では、酒について「アルコール分1度以上の飲料」と定められています。酒はさらに、4種類に分類されます。

■酒類の4分類
発泡性酒類……ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類
醸造酒類……日本酒、ワイン、果実酒、その他の醸造酒
蒸留酒類……蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、 スピリッツ
混成酒類……合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

どれに該当するかにより、酒税率が変わるのでとっても大切な分類です。

酒類は大きく4つに分類できる

酒を造るには免許が必要

■酒税法 第七条(酒類の製造免許)
「酒類を製造しようとする者は、政令で定める手続きにより、製造しようとする酒類の品目別に、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならない」

つまり、「酒造るなら免許取れ」といっています。

製造免許を受けるためには、税務署に申請書を提出して、審査してもらい要件を満たしていれば製造免許がもらえます。

酒税は誰が払っている?

酒税を払うのは、製造者と保税地域から引き取る人のどちらかです。それぞれ、作った場所からお酒を運ぶとき、保税地域から引き取るときに課税されます。

保税地域とは、日本国内だけどまだ日本に持ち込んだことにならない特別な場所。身近なところだと、空港とか港に保税地域があって、その中だと免税でものが買える、素敵な場所。

お祭りでは缶や瓶のままのお酒を自由に売れない

酒税法では、酒場、料理店については、販売業免許を受ける必要がないとされており、例えば、祭りの会場においてビールをコップに注ぐなどその場で酒類を提供するような場合は、販売業免許は必要ありません。

ただし、コップに注がずに缶や瓶の酒を販売し、その場以外で飲むことを予知して販売すると、販売業免許が必要です。お祭りでお酒を売るなら、コップに注ぐと良いでしょう。ちなみに、海の家の場合は、期限付きの小売業免許を申請すれば、販売することができます。

勝手にお酒を造ったときの罰則

酒の製造免許を受けないで酒を製造した人は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金。酒の販売業免許を受けないで酒類の販売業をした人は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金になることがあります。

自宅で梅酒を作っても捕まる?

焼酎に梅や角砂糖を漬け込んで梅酒を作る家庭はたくさんあると思います。この日本のトラディショナルな行為は、酒と他のものを混ぜて新たに酒を製造したものとみなされます。通常であれば、免許が必要です。しかし、あなたが自分で飲むために混ぜるのであれば、例外的に製造行為になりません。

ただし、アルコール20%以上である、混ぜてはいけないものがある、売っては駄目などと条件があります。

■混ぜてはいけないものの一例
米、麦、あわ、とうもろこし、ぶどう、アミノ酸、ビタミン類、色素、香料

ルールを守って、楽しんでください。

サングリアは捕まるのではないか

ここまで理解していただくと、ワインを提供する店でメニューに載る「サングリア」は、いわゆる酒の「製造」に当たり、お店の人は酒税法違反に問われるのでないかと疑問に思うはずです。

サングリアは、「ワインに果物と甘味料を入れ、ブランデーやスパイスを加え寝かしたもの」とされ、ワインはアルコール度数が7~14%なので、梅酒のように作ることはできません。酒は製造に免許が必要で、製造とは、酒と何かを混ぜる行為が含まれますが、注文を受けて飲む直前に混ぜようなるカクテルは問題ありません。

サングリアは捕まるのではないか

どうしてもメニューに載せたければ、サングリアの注文が入ってからワインに果物やフレーバーを入れる、瓶詰めされたサングリアを仕入れて注ぐなどの工夫が必要です。前者については、それがサングリアに該当するかは議論の対象としませんが、基本的に「自家製」のサングリアを提供することは難しいのです。

執筆者プロフィール : さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら