名刺の保管は、ビジネスパーソンにとっての永遠の課題です。そのためのソリューションは、いろいろあります。名刺も、やはり手帳やノート、情報ファイルなどのビジネスパーソン用ツールの例に漏れず、アナログとデジタルに大別されます。

アナログ・デジタルの名刺管理ツール

まずアナログ。昔ながらの「ローロデックス」のような回転式名刺管理ツールや、専用の名刺ファイルがそれです。アナログのフォルダーは、直感的に管理できますが、時系列に保存していくだけでは検索性に難点があります。会社や人名などを手掛かりにして逐一カードを分類しながら保管するのは、物理的実態があるものを扱うときに共通する手間です。

そしてデジタル。スキャナーと専用のPC用ソフトウェア、あるいは、スマートフォンアプリもあります。こちらは、例えばOCR処理(スキャンで取り込んだ文字を認識してテキストに変換する処理)などをして、時系列に関係なくどんどん保存ができます。また、ソフト上でタグ付けして分類なども可能です。

しかし、デジタルが万能というわけではありません。文字の誤認識はゼロというわけではなく、修正の手間なども現状ではまだまだ必要です。ただ、認識されたデータが一覧参照でき、検索も可能なのはこちらです。既にデータになっているので流用も比較的楽です。

ちょっと前置きが長くなりました。現時点における名刺管理用ソリューションとして、アナログとデジタルのいいとこ取りをしたツールが登場しています。それがリプラグの「Log book(ログブック)」です。

左の縦バンドが印象的なLog book本体(名刺の収納枚数:120ポケット/OCR処理できる名刺枚数:200枚分/価格:税込み1,512円)

これは、製品としては名刺フォルダーですが、専用の名刺認識アプリも提供されており、スマートフォン上でデータを保持することができます。以下に紹介していきましょう。

本体リフィルにメモ欄あり

まずフォルダー本体です。表紙と裏表紙の間に、名刺が6枚入れられる二つ折りのリフィルが複数枚挟まれており、裏表紙に取り付けられた固定用のゴムバンドを外すことで、リフィル(名刺6枚収納可能)を外したり増やしたりできます。専用リフィルは3シート入りで税込み378円です。

バンドを外したところ。このように専用のリフィルが重なって保持されている

裏表紙を見たところ。バンドはハトメで固定されている

そしてここが面白いのですが、リフィルの名刺収納部の右横にはメモ欄があります。ここにその人の情報や受け取った日時が記入できます。これらの情報は名刺を受け取った後に、名刺の裏などに適宜記入する例が多いかと思います。名刺に直接記入するのがためらわれる場合は、このLog bookのメモ欄はとても便利です。

リフィルの見開き。後述するように名刺保持部はスリットがある。また見開きのサイズはA4版でコピーなども取りやすい。6名単位で管理できる

リフィルは、追加購入もできます。また「Log book」は、本体色が白と黒、それぞれに異なる色のバンドが用意された商品が用意されています。つまり、リフィル単位、本体単位での使い分けができるようになっているわけです。ちなみに6枚の名刺収納が可能なリフィルが20枚セットされ120枚の名刺が収納可能です。

名刺を差し込むスリット部。その横には日付記入欄とメモ欄がある

アプリで名刺をOCR

そして専用のアプリ「Log book Digi(ログブック デジ)」です。OCR機能はもちろん、会社名や電話番号、メールアドレスなどの情報を項目に振り分ける機能があります。

名刺管理用専用アプリ。iPhoneとAndroid双方に対応。レイアウトも左利き、右利き双方用があるなど細かい

OCR処理で認識したところ。文言は編集可能

認識された名刺は、会社名やタグで登録した名刺をフィルタリングも可能です。取り込んだデータから標準のメールアプリを起動して、メール送信なども簡単にできます(iPhoneで確認)。

読み取り結果は、複数のフォルダーでそれぞれ管理できる

名刺を認識しているところ

デジタルな名刺管理ツールで気になるのがデータのエクスポート機能です。仮にスマートフォンのカメラを使ってアプリ上でデータを管理していても、それらのデータを流用できなければ、便利さは半減です。例えば年賀状や郵便物の発送にこれらの名刺データを利用する場合にデータのエクスポートは不可欠だからです。それは、パソコンソフトなどにデータが渡せることもそうですし、そのサービスから他のサービスに乗り換えるときの利便という意味もあります。

名刺の管理画面。読み取った名刺の画像のサムネイルが並んでいる

専用アプリには読み取った名刺を絞り込む機能もある

Log bookの場合はオプションのOCR使用回数を追加で購入(アプリ内課金)することでエクスポートが実現できます。Log book一冊には200枚分のOCR使用権がついています。そしてOCR使用回数の追加分60回分は120円です。必要に応じてより多くの枚数分の購入もできます。つまり、OCR追加分を購入してエクスポート機能を有効にすると、アプリは純然たる入り口としても利用できるのです。

名前一覧表示。氏名と会社名、それにサムネイル画像がありわかりやすい

オプションでデータエクスポート機能もある。CSVファイルとしてはき出される

Log bookは、アナログな名刺フォルダーとして利用できるだけでなく、スマートフォン内にデータを取り込んで、参照・検索もできる点でハイブリッドな便利さがあります。製品としても面白く、OCR追加権という形でのビジネスモデルも面白い。それがLog bookです。

執筆者プロフィール : 舘神龍彦

手帳評論家、ふせん大王。最新刊は『iPhone手帳術』(エイ出版社)。主な著書に『ふせんの技100』(エイ出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)など。また「マツコの知らない世界」(TBS)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)などテレビ出演多数。手帳の種類を問わずにユーザーが集まって活用方法をシェアするリアルイベント「手帳オフ」を2007年から開催するなど、トレンドセッターでもある。手帳活用の基本をまとめた歌「手帳音頭」を作詞作曲、YouTubeで発表するなど意外と幅広い活動をしている。

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