【コラム】

システムトレードの教科書

2 裁量トレードとシステムトレードの共通点・相違点 - 大きな差は「出口ルール」にあり!

    田中勝博  [2009/10/15]

    『売買ルールの差』

    今回は、裁量トレードとシステムトレードの共通点・相違点について学んでいきます。この2つにはたくさんの違いがあります。まずは主な違いを列挙してみましょう。

    ■裁量トレードとシステムトレード、それぞれの特長

    裁量トレード システムトレード
    自分が好きなときに、パソコンの前に座り、取引する。/td> 取引時間中は、パソコンが相場を監視し、売買を執行する。
    売買執行、利益確定、損切り、すべて自分で「クリック」しなければならない。 プログラムが、すべての取引を「全自動」で執行。
    取引に感情を挟む可能性が高い。 データが全てで、パソコンは喜怒哀楽を持たない。

    裁量トレードは、自分の「意志」が、すべてを決めます。しかし、システムトレードは、自分の意志を「プログラム化」したあとは、パソコンがすべてです。もちろん、パソコンの電源を入れる、入れない、という「裁量」を除けば、売買に感情が移入することはありません。

    では、共通点は何でしょうか。それは、どちらも売買ルールが存在するということです。

    売買ルールなき、裁量トレード……、これは、究極の裁量トレードと言えるでしょう。「上がると思ったから買い、下がると思ったから売り」、このような裁量トレードで、利益を上げることができる方は、トレードの「神様」です。普通は、「こうなったら買おう、こうなったら売ろう」という「最低限のルール」が存在するはずです。

    テクニカル分析を勉強したての頃に習う、移動平均線のゴールデン・クロス(買い)、デット・クロス(売り)は、皆が知っている「売買ルール」です。このような売買ルールが、裁量トレードにせよ、システムトレードにせよ、必ず存在します(存在しないと困ります)。

    しかし、裁量トレードとシステムトレードのルールに、「大きな差」があります。

    『出口ルールの違い』

    裁量トレードのルールと、システムトレードのルールの『差』は、「出口(利益確定)」にあります。「こうなったら、買おう! こうなったら売ろう! 」という「エントリー・ルール」は、裁量であれ、システムであれ、非常に明確です。逆に、これを決めないと取引が始まりません!

    しかし、出口ルール(損切り、利益確定)には、大きな差が必然的に生まれます。生まれないと、裁量とシステムの「差」がなくなってしまいます。

    裁量トレードの出口は「曖昧」、システムトレードの出口は「厳密」、これが、「大きな差」です。厳密な出口ルールを作成した時点で、人間が取引するよりも、機械に任せたほうが、良いパフォーマンスをたたき出します。

    人間はルールを守れない動物です。損得が絡めば、なおさらです。

    入口と出口のルールが明確であれば、裁量トレードを行う必要はなく、プログラム化して、パソコンに取引を執行してもらったほうが、精神的にも楽です(もちろん、利益が出るルールであることが前提ですが……)。

    裁量とシステムの違いは「出口ルール」なのです。

    裁量トレードの出口ルールは、『やるルール』ではなく『やらないルール』を作成せよ!

    エントリー・ルールが決まれば、裁量取引の入口で、100点(ルールに従う)を取ることは簡単ですが、出口で100点満点を取ることは、至難の業です。

    なぜか? それは、出口が、「値動きの結果」と比較しているからです。もっと、我慢していれば……あそこで出ておけば……と、反省しても、それは将来に繋がる「反省」ではありません。

    「値動きの結果」に対して、100点を取ることなど、不可能です。

    予想した値段で値動きが止まり、「天井で売り抜けた」というケースもあるかと思いますが、それは、「たまたま」、「偶然」でしかないのです。だから、出口での逸失は、反省するものではない、と考えています。

    『我慢が足りなかった』と反省すれば、我慢したことで、利益を薄くしてしまうことだってあります。『出ておけば良かった』と反省すれば、大きな魚を逃がしてしまうときがきます。

    入口ルールは、誰もが「明文化」することができます。たとえば、20本移動平均線を越えたら買い、これは立派な入口ルールです。しかし、出口ルールは、「定額利益」を採用しない限り、永遠のテーマです。

    自動売買システムを構築していても、出口のロジックには、いつも悩まされます。裁量取引における出口ルールは、手足を縛るような機械的な「こうしなさい」というルールよりも、「やってはならないこと」を、決めておけば良いのです。

    「やれ」というルールではなく、「やるな」というルールです。出口での「失敗(後悔)」は、利益欲しさ、『欲のコントロール』が出来ていないケースに尽きます。

    どうして、後悔したのか……を思い出せば、「やるな」という「出口ルール」が出来上がるはずです。

    出口で、「やれ」というルールを作成した時点で、皆さんが売買をするより、機械に任せたほうが、「ルール通りのパフォーマンス」が得られます。もう一度言いますと、自動売買と裁量取引の差は、出口ルールなのです。

    (イラスト : チカダジロー)

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