2007年はやっぱり顔認識の年でしたね。前回は、顔認識を利用して"小顔"や"美白"補正をするセイコーエプソンの「ナチュラルフェイス機能」を紹介しましたが、今回はソニーの笑顔を検出してシャッターを切る「スマイルシャッター」を試してみました。

スマイルシャッターで撮影

シャッターチャンスを逃さない

今秋のサイバーショットの特長は、自然な笑顔を逃さず撮影する「スマイルシャッター」機能を搭載していること。テレビで香椎由宇ちゃんらが「ハイ、ソニー。」と言うコマーシャルがたくさん流れていたので、見たことがある人も多いと思います。

ソニーの顔認識機能「顔キメ」は、自動でフォーカス、露出、ホワイトバランスを顔に合わせて調整します。しかし、いくらカメラの設定ができても撮るタイミングに合わせられなければ良い顔が撮れません。そこで画像認識機能で笑顔を判断し、笑った瞬間にシャッターが自動で切れるようにしたのがスマイルシャッターです。カメラは記録や記憶を残す機械ですから、思い出に残すにはビミョーな顔よりイイ笑顔のほうがいいに決まっています。同様のものとしては、オリンパスにも笑顔を検出すると3枚連写する「スマイルショット」があります。

スマイルシャッターを搭載しているサイバーショットは、「T200」「T70」「T2」の3機種。スマイルシャッターは「シーンセレクション」から選んで設定します。また、笑顔を検出するレベルを「強/中/弱」で選ぶことができます。今回は、サイバーショットT2をお借りして、スマイルシャッターの使い勝手を試してみました。T2は、レンズや撮像素子など撮影性能はT70と同等で、そのうえで約4GBの内蔵メモリーを搭載し、画像閲覧機能や、Webサイトへの画像アップロード支援機能を充実させたモデルです。

スマイルシャッターは画面上で目、鼻、口など顔のパターンを探し、そのパターンを組み合わせて笑顔を認識します。間違いやすいものはあらかじめデータを持っていて、間違えないようになっています。たとえば犬や猫の顔は認識しないようになっているそうです。また、スマイルシャッターは、会話しているだけで誤作動したりしないように"微笑"では反応しにくいようです。"しっかり笑う"ことがポイントです。マニュアルを見てみると、(1) 前髪が目にかからないようにする、(2) 顔はカメラに対して正面を向き水平にする、(3) 口を開けてしっかり笑う。歯が見えているほうが検出しやすい、といったことが書いてあります。

サイバーショット DSC-T2。約4GBの内蔵メモリーとスマイルシャッターを搭載する

フルフラットのユニークなボディが目を引く

画像を転送するための専用USBケーブル。T2はタッチパネルを採用しているので、背面ボタンは少ない

「シーンセレクション」からスマイルシャッターを選択する

検出レベル設定画面。「強」にすると検出精度は上がる

検出されやすい笑顔のポイント。メガネや帽子を着用していると検出しづらくなる

スマイルシャッターの性能は?

子どもが生まれたからカメラを購入したという人も多いのではないのでしょうか? 子どもは短時間で泣いたり怒ったりとコロコロと表情を変え、すべての表情が愛らしく思えますが、一番の写真に残したいと思う表情は笑っているときでしょう。今回は、カメラマン磯村浩一氏と愛娘のあおいちゃん(藍生:6ヶ月)にスマイルシャッターのモデルとして協力していただきました。

あおいちゃんはパパの職業柄、カメラには慣れているようですが、はじめて見る生物(私)に興味津々。目線は「この人だれ?」と言っています。とりあえず、撮影そっちのけであおいちゃんと遊ばせてもらいました。赤ちゃんと遊んでいると自然と"撮りたい欲求"が沸いてくるから不思議です。他人の子どもで「可愛いな!写真撮りたい!」と思ってしまうのですから、自分が産んだときはどんだけ親バカになることやら……(笑)。

あおいちゃんを撮影する前にパパ磯村氏を撮影してみました。スマイルシャッターを設定してカメラを向けてみると、パシャッ!パシャッ!と最高枚数である6枚まで気持ちよくシャッターが切れます。「おぉー!ちゃんと撮れるんだねぇ」と、カメラマンである磯村氏も感心していました。続いて磯村氏が私を撮ってみると……、うまく作動しません。そこでメガネを取って撮影すると、迷うことなくシャッターが切れました。シャッターが切れると、被写体の私より「やった!撮れた!」と、撮影者の磯村氏のほうがいい顔してるなぁ……と思ってみたり。

私も磯村氏もメガネをかけていますが、磯村氏は細縁メガネ、私は太縁メガネと、フレームの種類が違うことで差がでたようです。スマイルシャッターを使用するときは、はじめに顔を検出してからシャッターボタンを押し、スマイルシャッターを作動させます。私の太縁メガネでは、はじめの段階である顔検出は成功したのですが、笑顔は検出しづらかったようです。太縁メガネをかけたままでは、口角を上げ歯を見せた笑顔でも、シャッターは切れにくい状態でした。

初めて見る人に興味津々のあおいちゃん。このときはプログラムオートで撮影

仕事を忘れて本気で遊んでます。可愛さを振りまいてくれました

撮影に協力して頂いた磯村浩一氏をスマイルシャッターで撮影。「顔キメ」も連動しているので、顔に露出を合わせて撮影される

今回の撮影風景

コミュケーションツールとして最適

さて、メインモデルであるあおいちゃんの撮影です。スマイルシャッターを作動させて、あおいちゃんが笑います。しかし私の時と同様にうまくシャッターが切れません。歯が生えていなかったためではないでしょうか。ときどきあおいちゃんの笑顔も認識するのですが、「笑顔のタイミングがちょっと違うなぁ」という写真でした。「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、スマイルシャッターは、口元の形状や歯の見え隠れのほうをよく検出するようです。

そこで今度はパパ磯村氏と一緒に撮影させていただくことにしました。スマイルシャッターは磯村氏の笑顔を検出してシャッターを切ります。パパに抱っこされているあおいちゃんも安心した表情になっています。

子どもの撮影は、撮影者のほかに子どもと遊ぶ相手がいたほうが子どもの良い表情がキャッチできます。たとえばカメラを三脚などに固定してスマイルシャッターに設定しておき、お父さんやお母さんが赤ちゃんといっしょに遊びながら自動で撮影するといった使い方もできます。どんな表情が撮れたか? とドキドキしながら親子で画像を見るのも楽しいはずです。

事務所に戻ってからも、検出能力を検証(?)するため、1人でカメラに向かい何回も笑顔を作って撮影していました。すると次の日に笑顔筋が軽く筋肉痛を起こしていました。「毎日続けていたら、顔が引き締まるかな?」なんて思ってしまいました。例えるなら、「大人のDS 顔トレーニング」のカメラ版というのでしょうか。少なくとも、写真用の笑顔練習にはなりそうです。

とにかくスマイルシャッターは「面白い!」の一言に尽きます。笑顔を撮るというのがこんなに楽しいとは思いませんでした。写真の出来云々よりも、友人や家族と「撮る」という作業が楽しいのです。コミュニケーションツールとして考えれば、普通のカメラよりも何倍も楽しいと思います。忘年会や新年会に持っていけば、きっと場が盛り上がることでしょう。

スマイルシャッター撮影画面。スマイルシャッター作動中には左上にアイコンが表示される

1対1の撮影では不安そうなあおいちゃん

磯村氏の笑顔でシャッターを切る。撮影者がいなくても親子写真が撮影できる

「高い高い」などあやしているときは、被写体ブレに注意

こちらは加工機能の「放射」を使用。さすがに赤ちゃんでは雰囲気が合わないので猫でやってみた

T2は撮影後の編集機能も豊富。ペイント機能で写真に文字をのせてみた

撮影協力・モデル:磯村浩一/磯村藍生
撮影・レポート:加藤真貴子(WINDY Co.)