UFO論争が加熱しているが、米国では数十年も前から連邦の防衛組織のレーダーがクリスマスのサンタクロースの飛行を捕らえているのをご存じだろうか。

サンタ追跡が始まったきっかけは1955年のクリスマスイブに小売大手のSearsが掲載した広告だ。子供たちにサンタへ電話をかけることを促す広告に、誤ってCONAD(大陸防空司令部)のホットライン番号を記載してしまった。その時のCONADの責任者だったHarry Shoup大佐は突然の子供たちからの電話に驚いたが、機転をきかせてサンタの移動状況を伝えるように部下に指示した。それからサンタ追跡がCONADの恒例行事となり、1958年に発足したNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)にも引き継がれて現在に至る。

2002年からNORADは専用サイトを通じて、サンタの移動を映像と共に配信している。ちなみに昨年のクリスマスにNORADのサイトは、210カ国で9億4,100万のアクセスを記録。10万通近い電子メールを受け取ったそうだ。子供たちのサンタ情報への関心の高さがうかがえる。

今年はGoogleが正式パートナーとなり、YouTube、Google Maps、Google Earthなど様々な方法でNORADが追跡するサンタの動きが伝えられている。これらを楽しむ上で必須なのが「NORAD Tracks Santa」のiGoogleガジェットで、これさえ入れておけばNORADのサンタ追跡に何が起きているかをひと目で把握できる。

NORAD Tracks SantaのiGoogleガジェット

富士山前を通過中のサンタクロース

NORADのサイトにはサンタの存在について「世界中の子供たちの心の中に今でも元気に生きていると信じています」と書いてある。しかし今年はGoogleの本格参入で、サンタがずいぶんと身近になったというか、バーチャルなサンタはちゃんと世界中を飛び回っている。大人が見たら少々ビミョーな盛り上がりかもしれないが、子供に見せると大変なことになる。おかげでリアルなプレゼントを子供たちに渡すためのに、より高度な演出が要求されるようになった……。

伸び率ではiGoogleがコアサービスを圧倒

06年11月から07年11月まで1年間のGoogleのトラフィックの変化をまとめたcomScoreのレポートをTechCrunchが紹介していた。全体では22.42%増。昨年、一昨年同様にWeb/画像/ニュース検索などのコアサービスを中心に安定した成長を記録した。

ただし伸び率だけを比べると、トップは267.64%増のiGoogleだった。トラフィック数はWeb検索が2番目の画像検索を倍以上引き離すほど圧倒的な存在であり、Web検索に比べればiGoogleユーザーは微々たるモノだ。ただiGoogleの伸びは、ガジェットの枠組みだけがあった状態から、便利なガジェットが増えて実際に利用され始めた"転機"の証と言える。またGmailとGoogle Mapsも50%を超える伸びを記録しており、このようなコア以外のサービスの成長は、ゆくゆくはGoogle全体の転機につながりそうに思える。アプリケーションプラットフォームとしてのGoogleである。

Your Search Advisorというブログを運営するAndrew Miller氏によると、JotSpotのScott Johnston氏がAnn Arbor Chamber of Commerceで行った講演で、Google Page CreatorにJotSpotのワークコラボレーション機能を取り込んだ新サービスを08年に提供する計画を明らかにした。また現在Google Page Creatorが含まれるGoogle Appsに、電話管理サービスのGrandCentralを統合するプロジェクトも高い優先度で進められているとも述べていたそうだ。

JotSpotは06年11月に、GrandCentralは今年7月にGoogleによって買収された。以来、どちらもGoogleへの統合作業という半ば休眠状態が続いている。個人的にはどちらもお気に入りのサービスで、他人にも勧めていただけに、新規ユーザー受付が制限され始めたのは残念だった。YouTubeのように、ユーザーを拡大しながら統合を進めていって欲しかったところだ。しかしGoogleには、小規模ベータ状態を維持しながら取り込みたい理由があったのだろう。その答えが08年に明らかになる。

11月末にはGmail Greasemonkey APIを試験的に公開しており、これまであまり積極的ではなかったコミュニケーション分野のオープン化にも手をつけ始めている。着々とアプリケーションプラットフォームの基盤を整えている模様だ。その成果の議論はビジネスツールとしての可能性やFacebook VS Googleにとどまるかもしれないし、Google OSと呼ぶ声が聞こえてくるかもしれない。いずれにせよ、NORADのサンタ追跡ではないが、これまで信じる対象というような存在に過ぎなかったネットコンピューティングが、08年はGoogleの手によって掴み所のある存在になりそうで楽しみだ。