【コラム】

シリコンバレー101

214 ユーザーの知恵にたよるスタートアップ企業たち - DEMO 07 シェアリング編

    Yoichi Yamashita  [2007/03/06]

    シェアリングとSharingのちがい

    思いこみかもしれないが、シェアリング(共有)という言葉に対して日・米の受け取り方に違いがあるように思える。日本は共有されたデータや情報を利用する側からの視点が強く、米国ではデータや情報を提供する行為の価値が重んじられる。

    たとえばWikipediaへの虚偽書き込みの問題は、利用者側に立てば、辞典と名の付くモノに間違いや公正さに欠けた説明が載るのはマズい。しかしコラボレーションの場という役割が重んじられるから、誤った書き込みに対してコミュニティがどのように修正できるかという議論になる。YouTubeに対しても、著作権侵害を黙認するかのような米国の著作権保有者の寛大な対応を不思議に思う人は多いだろう。

    この原因は日米の寄付の文化の違いかもしれない。つけ加えれば、可能性にとにかく挑戦してみる米国人気質の影響も大きいように思える。多少のトラブルには目をつぶっても、ネットユーザーに共有の意識を植え付けられれば大きな力となる。

    その結果、今やユーザー参加型の可能性は芽吹こうしている状態で、DEMO 07では18社が「シェアリング」に該当するデモを行った。今回は、そのうちの6社を紹介する。まずは、すぐに役立ちそうな4社のデモから。

    家の改築、出張のためのSNSも

    Boorahは、レビューサイトやブログ、そのほかのソーシャルコンテンツを収集・解析したレストラン検索サービスを提供している。「料理」「雰囲気」「サービス」を5つ星評価するなど、結果表示で「ザガットのようなわかりやすさ」を追求しているのも特徴の1つだ。さらに、近隣のレストランを含めたマップ表示や関連Webサイトへのリンクなど、オンラインサービスならではの機能も備える。

    実際に利用してみると、ネットに散らばる口コミ情報をすっきりとまとめてくれている点が便利だ。将来的には、レストラン以外のカテゴリも含むローカル検索サービスを目指している。

    Aggregate Knowledgeは、Collective Discoveryのデモを披露した。

    たとえばレストランで食事をしている時、ウエイターが運んでいるデザートを見て、同じものを頼みたくなる。そんな人が買い物をする時のふるまいに応じたおすすめを提示するサービスだ。検索型広告やAmazon.comのおすすめ機能に似ているが、膨大なデータをベースに、これまでになくネットユーザーの心情に沿えるという。

    たとえば地元野球チームのニュース記事を読んでいる人に対して、現行の広告サービスは試合のチケットを扱うベンダーの広告が記事の横に配置されるだけだ。Collective Discoveryでは、読者が試合に興味がありそうなら、そのチームのチケットが補足情報や関連する記事と共に表示される。

    Boorahの検索結果画面。複数のブログやレビューサイトの情報をすっきりとまとめている

    ユーザーの動向のデータポイントが細かく絡み合うAggregate Knowledge。これによりユーザーが求めるおすすめを提示できる

    DesignInのMyDesignInは、家の改築・修繕用のソーシャルネットワークサービスだ。ユーザーは改築・修繕に必要な製品やデザインのアイディアをWebから収集し、インタラクティブに操作できるフロアプランに配置。それを友人や家族、その他のコミュニティメンバーや専門家と相談しながら完成させる。

    ホームインプルーブメントは、特に米国では自ら手がけたいと思う人が多く、2006年のホームインプルーブメント製品の市場規模は3,050億ドルだった。しかも専門家の助言が役立つため、ソーシャルネットワークが活かされる。ニッチ狙いだが、それ故にソーシャルプラニングの効果をアピールできそうなサービスだ。

    PairUpは、ビジネストラベラー向けのソーシャルネットワークサービスである。特定の会社の人、同じイベントに参加する人、同時期に行き先の都市に滞在する人などを指定して情報を交換する。初めて訪れる街ならば、イベント会場、ホテルやレストランなどの旅先の情報を経験者から確認できる。

    また、ビジネストリップのプランナーとして役立つだけではない。多くのビジネスマンはビジネスチャンスの拡大を求めてカンファレンスやビジネスイベントに参加する。それらの人たちを事前に結びつけることで、出張時により幅広く効率的な商談を実現する手助けをしようとしている。

    MyDesignIn。Webサイトでリサーチし、ブックマークした製品をフロアプランに配置

    PairUp。登録後にトラベル情報を交換する範囲を設定する

    グループでWebサイトを楽しめるFirefoxのアドオン

    続いて論争を呼んだデモを2つ。まずは一般参加型のオピニオンサイトHeliumだ。

    24のメインカテゴリと、その下にサブカテゴリが用意されており、ライター希望者は用意されたテーマに関する記事を書いて投稿する。それらの記事は同じテーマの記事同士で並べられ、読者投票によって優劣がつけられる。その結果をHeliumのランキングエンジンが集計してランク付けする。Heliumは報酬制度を用意しており、より順位の高い記事に、より高い報酬が支払われる。

    現状では、全般的に役立つ情報、便利な情報の評価が高く、About.comとDiggが合体したようなサービスとなっている。個人的には読んでいて参考になるし、投票も楽しい。ただ、展示会場では「2つの記事のどちらが良いか」というシンプル比較、記事の内容の管理などに対して疑問を呈する声が出ていた。

    最後はコラボレーションツールのMe.dium。Firefox用のアドオンで、自分が表示しているWebサイトを中心に、その周辺のMe.diumユーザーや友人のWebブラウジングの動向がサイドバーに表示され、チャットすることも可能だ。

    たとえばオンラインショップで品物を物色している時に、同じ商品に興味を持っている人とコミュニケーションできると便利である。1人ではなく、グループでWebサイトを楽しんでいるような新しいWebブラウジングを体験できるし、サイドバーからはWebサイトや読んでいるニュース記事の本当の人気度が分かる。

    展示会場では、実際にMe.diumを使用してみて、そのユーザー体験に興味を示す人が多かった。ただ、他の人と共有したくないWebブラウジングがあるのも事実で、共有のコントロールが可能であるとは言え、プライバシーの懸念も完全には払拭できていない。まだまだ改善すべき点が多い。

    Me.dium。友人や自分と同じサイトに興味を示すユーザーの動向がグラフィカルに表示される

    関連サイト

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      マイナビニュースマガジン