【コラム】

シリコンバレー101

204 2010年には役割を終える - ポータル進化論

    Yoichi Yamashita  [2006/12/12]

    トラフィックは大山から小山、すそ野へ - De-portalization

    「De-portalization (非ポータル化)」という言葉が、ここ数日ブログで話題になっている。最初にベンチャーキャピタリストのFred Wilson氏が使い、EdgeioのKeith Teare氏が独自の見方を示した後で様々なところで取り上げられ始めた。

    De-portalizationは、ネットトラフィックの変化をあらわす言葉だ。Teare氏のブログにイラストが掲載されているので、そちらを見ていただくと分かりやすい。数年前のインターネットはいくつかの大きな山(Yahoo!、Google、Microsoft、AOLなど)がそびえ立っている状態で、トラフィックは数少ない山の頂上に集まってきた。それらが崩れはじめて小山(MySpace、YouTube、Facebookなど)ができ、すそ野が開けているのが現在だ。小山の頂上やすそ野でもトラフィックが活発になり始めた。さらに2007~2010年の間に浸食が進み、以前の大きな山は残るものの、大きな平野が開ける。トラフィックは主に平野部分で動くことになるというのがTeare氏の予測だ。ポータルを起点に情報を得たり検索しながら動いていたネットユーザーが、ポータルにしばられずにネット全体を動くようになるという訳だ。

    大きな山(ポータル)が中心のこれまでのネット(左)から、大きな山が目立たなくなり、代わりにすそ野が大きく広がるネット(右)へ

    PortalからPlatformへ

    たとえばウイジェットの利用は、ユーザーをすそ野に結びつける動きと言える。De-portalizationが順調に進み、トラフィックがすそ野で動くようになれば、94年から続くネットの売上増は次第にすそ野へと移っていく。

    すそ野のトラフィックの規模を疑問視する声もあるが、Teare氏はWeb 2.0ブログTechCrunchのMichael Arrington氏を取り上げたSan Francisco Chroniclesの記事を指摘する(ちなみにEdgeioはTeare氏とArrington氏によって設立された)。Arrington氏によると、TechCrunchの11月の売上げは18万ドル(約2,100万円)の売上げだった。ビジネスモデルが疑問視されていたブログというスタイルで大成功を収めており、すでに人々が予想する以上の資金がすそ野へと流れ込んできている - そうTeare氏は指摘する。

    De-portalizationはすそ野におけるチャンスをあらわすが、すそ野では広大な森の中での競争が強いられる。TechCrunchのような成功もコンテンツの質次第。だから広告主導型ではユーザーにアピールしないとTeare氏は指摘する。パブリッシャー中心のモデルが不可欠。パブリッシャー主導型で、すそ野のトラフィックを活性化してこそ、すべてが成長するシナリオへと進む。

    そのためDe-portalizationのトレンドにおいて、ポータルはプラットフォームへと進化する必要があると言う。自らが表舞台に立つのではなく、すそ野のトラフィックをビジネスに結びつける役割を担う。Teare氏は最後に、賢い企業は(1)ディストリビューションを通じて、コンテンツを探すトラフィックを手助けし、(2)検索機能を提供して分散したコンテンツをユーザーが見つける手助けをし、(3)パブリッシャーのコンテンツの価値を高め、すそ野を成長を手助けをする……とまとめている。このシナリオが進めば、「月18万ドルを稼ぎ出すパブリッシャーが増えるだろう」と同氏。

    De-portalizationの視点からGoogleを読み解く

    これを読んで思い浮かべるのはGoogleである。GoogleはYahoo!やMSNのような情報やリンク集を核としたポータルではないので、De-portalizationから始まった企業と言える。検索については言うまでもない。AdSenseやGoogle Baseなど、すそ野を成長させるためのプラットフォームへの道を着々とかためている。ビデオ共有というディストリビューションを通じてすそ野で小山となったYouTubeを買収したが、Googleに取り込まず、そのままサービスを維持させて、すそ野のトラフィックを活性化している。

    De-portalizationという言葉からは、ポータルが衰退するような印象を受けるが、ポータルとしてそびえ立っていたプレーヤーはプラットフォームへの道を進みながら存続する(もちろん、その過程で消えていくポータルもあるだろう)。だから、言い出しっぺのWilson氏は、プラットフォーム化とネットの成長をもっと感じさせる別の言葉を、改めて募集している。

    Teare氏のDe-portalization論を疑問視する意見もあるが、同氏の予測はEdgeioの戦略の基軸を説明するものだ。ちなみにEdgeioはRSS技術を使ってパブリッシャーが登録した情報を、ユーザーが検索して切り出せるクラシファイド/リスティング・サービスを提供している。たとえばオークションサイトやクラシファイドサイトを利用すると、パブリッシャーはそれらのサービスの中で、それらのルールやフォーマットにしたがった形でコンテンツを登録しなければいけない。Edgeioでは、コンテンツはユーザー自身のブログなど(すそ野)にあるため、自由な表現やルールを適用できる。Web 2.0世代の技術を使って、すそ野の成長とトラフィック増を支援するサービスである。Teare氏によると、Edgeioは年内にもDe-portalizationのアプローチにしたがった新製品を明らかにするという。Edgeio公開の時もワクワクさせられたので、今回も楽しみである。

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