【コラム】

シリコンバレー101

203 アマチュア投稿に助けを求める報道、雑誌は大丈夫?

    Yoichi Yamashita  [2006/12/05]

    Yahoo!とReutersが提携して、広く一般からニュース写真や映像を受け付けるサービスのベータ版が始まった。Yahoo!経由では、You Witness Newsを通じて簡単にアップロードできる。集まった写真や動画は両社の編集者が内容を確認し、一部は関連するニュース記事と共に公開される計画だという。さらにReutersのシンジケートを通じて写真が提供される場合は報酬が支払われる。将来的には、ニュースだけではなく、スポーツやエンターテインメントにカテゴリーを広げ、テキストメッセージなどによる速報の投稿受け付けなども検討しているようだ。

    アマチュア・ジャーナリストから写真や動画を受け付ければ、ソースは豊かになるが、クオリティコントロールが課題になる。

    今年の夏、契約カメラマンから提供されてReutersが使用したレバノン空爆の写真が変造写真とブログで指摘される騒ぎがあった。その時に契約カメラマンや通信員の管理がコスト削減の弊害になっていると批判された。Reutersでは写真の修整・変造を調べるツールを開発しているそうだが、一般からの投稿となると、採用する上での判断がさらに難しくなるだろう。報酬がからめば、なおさらだ。ちなみにCNNも「I-Reports」というサービスを通じてアマチュア・ジャーナリストの協力を仰いでいるが、報酬は提供していない。

    11月30日にビデオキャストサイトRevision3で提供されているDiggnationを通じて、Digg創業者のKebin Rose氏が"Appleが開発している携帯電話"の仕様に触れた。すでにブログなどで読んだ方も多いのではないだろうか。Rose氏はTechTVの看板ニュース番組の司会をしていたし、今はソーシャルニュースサイトを運営している。同氏の肩書きにジャーナリストを含める人は多いと思う。

    これがTechTVの番組だったら、Rose氏も開発中の製品の噂に触れるということはなかっただろう。だが、しがらみの少ないビデオキャストでは、本人の判断次第でリスクの高い話題も取り上げられる。そこに発言者のモラルが求められる。だから、これまでネット業界で着実に地位を築いてきたRose氏が、開発中の製品情報暴露のようなことをやったのは驚きだった。Rose氏が立ち上げたRevision3はメンバーに寄付を募っている。最新エピソードはメンバーにしか公開されていないので、Revision3のビジネスの影響があるのかな……と疑ってしまう。

    YouTubeが米Verizonと提携し、VerizonのV CASTを通じてモバイルサービスを提供する。携帯電話を通じて視聴できるビデオはYouTubeのセレクションに限られると聞いて、少しがっかりしたのだが、携帯からアップロードできる機能は面白そうだ。何か起こっている現場から、手軽かつリアルタイムに映像が上げられる。

    ジャーナリズムという点では、ガイドラインがなく、手軽に動画を公開できるYouTubeの方が危うい感じがする。ところが、ニュース映像の価値を判断する上でYouTubeのコミュニティは意外と機能している。信ぴょう性に欠ける映像も多いが、ニュース映像として公開され、コミュニティの様々な意見を経て残った映像には見る価値のあるものも多い。ロサンゼルスの警察官の暴力問題、ヒマラヤ国境での銃撃など、YouTubeで公開されてからメジャーな報道に取り上げられるケースも増えている。

    まだ成否を判断できるような段階ではないが、復活したJPG Magazineのビジネスモデルも面白い。サイトで写真の投稿を受け付けて、ユーザーコミュニティに投票してもらい、上位の作品は雑誌版のJPG Magazineに掲載される。最新号のIssue 7はJPG Magazineのサイトで閲覧またはPDF版をダウンロードできるので、興味のある人はどうぞ。

    これは雑誌ではなく、Webサイト/オンラインのユーザーコミュニティ/雑誌をひっくるめてJPG Magazineである。投稿された写真を編集者がセレクトしたのでは不十分だろう。ネットコミュニティが盛り上がる環境を用意してこそ、より多くの投稿・参加を期待できるし、雑誌がどんどんペラペラになる昨今の米国で写真作品だけを並べた写真誌を発刊できるのだ。以前は雑誌の一部をおまけでWebで公開するのが普通だったが、JPG Magazineは雑誌の方がおまけという感じすらする。変われば、変わるものだ……。

    ネットを通じて広く一般の協力を求めるのは有効だと思う。ただ、それを機能させるとき、コミュニティをどのように巻き込み、そしてつき合っていくかを考える必要がありそうだ。

    関連サイト

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン