【コラム】

シリコンバレー101

197 開花できれば、大きな花になりそうな「mylo」

    Yoichi Yamashita  [2006/10/24]

    昨年からトラブル続きで元気のないSonyだが、最近同社の製品を2つ購入した。1つは前回取り上げた電子ブックリーダーの「Sony Reader」。この使用感は改めてレポートしようと思う。もう1つは、Wi-Fi対応のコミュニケーション端末の「mylo COM-1」である。発売とほぼ同時に購入して、すでに1カ月ぐらい使用している。日本国内でも12月中旬に発売されるということで、興味を持っている方も多いと思う。そこで米国版myloの良い点、気になった点を紹介しよう。

    myloに興味を持ったのは、インスタントメッセンジャー(IM)を主体としたモバイル端末だったためだ。最近は大事な用件が電子メールではなく、メッセンジャーで伝わってくることが多い。ただ不便なのは外出時だ。米国では数多くのスマートフォンや携帯電話がIM機能を備えるが、PCに比べると使い勝手に不満が残る。そこに、IMを使うために設計されたmyloが登場した。

    購入したのは、サンフランシスコ市内のメトレオン内の直営店。入荷初日は出張していたため、3日目に行ったのだが、ホワイトもブラックも十分に在庫があった。米国での価格は349.95ドル。本体だけなら600ドル前後のTreoに比べれば安いし、Video iPodよりは機能豊富である。単純に機能と価格を比べて位置づければ、349.95ドルは適正に思えるが、IM端末という役に立つか立たないか分からないモノと考えると、高いかな……やっぱり。このような挑戦的な製品は、200ドル前後でなければ米国では苦戦しそうに思える。

    個人的にデザインはとても気に入っている。ビーンスタイルというか、左右に円盤2つが並ぶ本体は手になじむ。左側の円盤の下側が電源、上側が無線LANのスイッチになっていて、スライドさせるとオン/オフを切り替えられる。円盤外側部分は光るようになっていて、電源や無線LANをオンにすると左側のエッジが緑色に、無線LANに接続すると右側のエッジがブルーに発光する。だから何……と言われそうだが、"通信してます"という雰囲気がサイバーに伝わってくるところが良い。

    無線LANをオンにすると、アクセスできるネットワークを自動的に検出してくれる。セキュリティはWEPとWPA-PSKをサポートしており、セキュアなネットワークに接続する場合はマニュアルで接続設定を入力する。登録しておけば、次回からは自動的に接続できる。接続の流れはスムースで、誰でもつまづかずに完了できそうだ。逆に設定が煩雑なネットワークに接続できるかが気になったが、Googleアカウントで接続するマウンテンビュー市の公共無線LANにも問題なく接続できた。

    ディスプレイはQVGA(320×240ピクセル)表示の2.4型。明るく、日中の光の中でも操作できる。myloはIMをメインにしたパーソナルコミュニケーターだが、WebブラウザにOperaを搭載、動画(MPEG-4)、写真(JPEG)、オーディオ(MP3/ ATRAC/ WMA)の再生が可能だ。ただ通常のWebページ、写真や動画を楽しむには、このディスプレイが小さすぎる。このあたりは、おまけ機能である。

    シンプルなWebページだと十分に読めるが、複雑なWebページになると一苦労

    myloでGoogle Talk。直接GmailのInboxにもアクセスできる

    米国版のコミュニケーション機能はSkype、Google Talk、Yahoo! Messenger、Ad Hoc Applicationの4つ。IMソフトはユーザー名やパスワードを入力すれば、あっさりと接続する。IMソフトを使う分には、小さなディスプレイでも問題ない。QWERTYキーボードはツルっとした感触だが、プチプチとした押下感で、意外と入力しやすい。小さすぎてブラインドタッチは無理だが、素早くタイピングできる。Skypeでは音声通信も可能。本体両端にマイクとスピーカーがついていて、myloを縦に持って携帯電話のように通話する。NokiaのN-Gageなど、キーボード入力を主体にしたモバイルデバイスは、音声通話の時に不格好になりがちだが、myloはどちらでも違和感がない。

    不満点はIMソフトの種類だ。やはりWindows Messengerに対応していないと、連絡できない人がいるし、米国ではAOL Instant Messengerも欲しい。これは、どのサービスを搭載するかという問題ではなく、サービスの相互接続が実現するかという問題なのかもしれない。

    また米国の方が無線LANが普及しているため、米国で先行発売したと聞いているが、その米国でも外出先では接続に困ることが多い。そのためかスターバックスなどでホットスポットサービスを展開するT-Mobileとの提携で、myloユーザーが1年間無料でホットスポットにアクセスできるプロモーションを行うそうだ。ただ、プロモーション終了時点までに、様々な都市で進められている公共ネット接続が実現するかが気になるところ……。

    ほめ言葉よりも文句の方が多かったかもしれないが、家の中を歩き回ってIMを使えるのは便利である。今なお同業者以外のmyloユーザーに出会ったことがないので、苦戦している可能性は高いが、パーソナルコミュニケーターというスタイルは面白い。ここはむしろデザインだけではなく、機能的にも、そのスタイルをとことん追求した方が、myloの面白さが理解されるのではないだろうか。

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