【コラム】
1カ月ほど前に紹介したCD交換サービスLa Laの情報を少しアップデートすると、私のアカウントの現状は以下のような感じだ。
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交換リストで224枚を公開、探しているCDは32枚。これまでに80トレード、つまり40枚のCDを送って、40枚をゲット |
Have Listの白丸の数字"13"は現在交換希望が入っている枚数、Want Listの白丸の数字"9"は送られてきているCDの枚数だ。これまでのところ、送られてこなかったCDが1枚あったが、La Laにレポートしてから3日後に、同じCDで新しい交換相手を紹介してくれた。最大限交換希望のリクエストに応え、欲しいCDのリストも数百枚規模にすれば、毎日2~3枚は新しいCDが送られてくるようになるだろう。それぐらい活発な交換が行われている。ただ、それではCDを楽しむ時間がなくなるので、月20枚程度に調整している。
現在、CD交換が成立したユーザー同士でHave ListとWant Listを確認しあえるようにしてほしい、というリクエストが増えている。メンバー同士が深く知り合うと直接交換が始まる可能性があるため、現時点では交換が成立しても、お互いの情報の大部分は伏せられたままなのだ。ところが実際は、CDを交換する際に多くのメンバー同士がメッセージング機能を使ってお互いのIDを交換し、リストを確認しあって、CDを色々とすすめている。このユーザー同士の交流が活発な交換の原動力になっているだけに、La Laもリスト公開のリクエストを受け入れるのではないだろうか。
さて、Yahoo! Musicがジェシカ・シンプソンの「A Public Affair」をデジタル著作権管理(DRM)技術を施していないMP3形式で販売し始めた。ごく普通のMP3ファイルだから、同形式をサポートするすべてのPCや音楽プレイヤーで再生できる。交換しようと思えば、交換し放題である(もちろん違法だけど……)。
「DRM技術は、楽曲を再生するプレイヤーやパソコンを制限するし、オンライン音楽ストアにとっても技術開発の負担になる。それよりもユーザー同士が交流するコミュニティ機能や、より便利にオンラインストアを使ってもらうための技術に時間を割いた方が、ユーザーにとって好ましい方向に進む」というのがYahoo! の言い分。非DRMでのオンライン音楽市場を開拓する実験的な試みなのだ。
Apple Computerは、iTunes Music Store(iTMS)を始めた時、使いやすく、情報が盛りだくさんで、目的の曲を確実にダウンロードできて手頃な価格なら、トラブルの多い違法ファイル交換に勝てると宣言した。実際、その言葉は間違っていなかった。だから、Yahoo!は「より安くて、より便利」で非DRMを広めるのかな……と思ったら、1曲1.99セントである。「プレイヤーの制限がないから高い」のかもしれないし、「DRM付きよりもより多くの人が所有できるから高い」のかもしれない。ただ、iTMSでDRM付きのファイルを99セントで買うか、それとも非DRMのMP3ファイルを1.99ドルで購入するか……微妙なところだ。また、Yahoo! の説明をじっくり読むと、リストから選んだユーザーの名前を「A Public Affair」の曲中に組み込めるカスタマイズ機能を発見。なるほど、ジェシカ・シンプソンに自分の名前を呼んでもらえるのは付加価値である。それに他人の名前が呼ばれる曲なら、交換市場に流れても興味を持たれないかもしれない。とは言え、それじゃあ安直というか、長い目で見た非DRMファイル販売の実験になっていないような気が……。
そこでもう1つAmie Streetという新サービスを紹介したい。非DRMのMP3ファイルを販売しているサービスで、メジャーレーベルとは契約していないので、インディアーティストの楽曲を主に販売している。現在はアルファ段階で、まだバグが目立つがアイディアは面白い。
まず、ミュージシャンがAmieにアップロードした楽曲は無料販売(つまり"無料配布")でスタートする。より多くの人が購入すれば、どんどん値段が上がるのだ。また、もう1つのポイントは投機的なシステムだ。ユーザーはアカウントを開設し、楽曲を購入するための資金をデポジットするのだが、たとえば3ドルのデポジットに対してREC×2が付いてくる。RECというのはRecommendation(推薦)で、購入した楽曲の中で「これは!!」と思う曲をRECする。1票を投じるという感じだ。RECした曲は、友人リストの友人に知らされる。で、その曲の人気が上がり、値上がりしたら、その半分を配当として受け取ることができる。たとえば10セントでRECし、その曲が90セントまで値上がりしたら、40セントがRECした人のアカウントに加算される。また無料の時にRECした場合は、"より大きなリスクを背負った"ということで、値上がり分の100%が加算される。つまり、人気が上がりそうな曲を早い段階でRECすれば、安く買える上に、違う曲を買うための資金も得られるのだ。
アーティスト側の話もすると、売上げ5ドルまでは経費としてAmieの取り分となり、売上げが5ドルを超えると、その70%がアーティストに渡される。「それで儲けは出るんだろうか?」と計算を試みたが、ユーザーに配布するREC数と値上がり率次第である。当然、確実に儲かる数字を設定しているのだろう。ちなみに7月24日時点で、もっとも値段の高い楽曲はDanny Ross「Against The Wall」の36セントで、RECは"3"である。REC数が最も多いのはSeth Kallen & The Reaction's「Shiver」の"5"で、価格は16セントだ。
Amieで購入した楽曲はユーザー同士が直接交換することも可能(もちろんアーティストは認めていない……)だが、Amieのシステム上で購入→RECで1票を投じれば、「アーティストや楽曲を支援する + ギャンブル的な要素」という魅力が発生する。ユーザー同士のおすすめが活発な、楽曲購入の土台となるコミュニティベースの販売システムで、DRMが施されていない音楽ファイルを販売する。Yahoo! は実現できずに"名前でカスタマイズ"に逃げてしまったが、Amieはしっかりと形にしている。
「DRMを施さないMP3ファイルを販売」と聞くと、「なにを馬鹿な……」と自然に思ってしまうぐらい、DRMはオンライン音楽販売に当たり前の存在である。だが、Yahoo! Musicの説明を聞き、Amieを試してみると、リスナーがCDやレコード、カセットテープと同様の自由を求めるのは、決して理不尽ではないようにも思えてくる。DRMが壁のような存在になると、ユーザーのための進化のスピードは遅くなる。「手頃な価格で、自由かつ面白いサービスの提供→ユーザーの支持→さらなる使いやすさの向上」というポジティブなスパイラルが起こって欲しいものだ。
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