【コラム】

シリコンバレー101

171 業界2位だけど、買収提示額ではダントツ1位!? - 学生向けSNSのFacebook

    Yoichi Yamashita  [2006/04/04]

    BusinessWeek Onlineが3月28日に、米国の学生向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のFacebookが、7億5,000万ドルの買収提案を蹴ったと報じた。しかもFacebookは20億ドル規模の取引を模索しているという。ティーンエイジャーを中心にSNSが急速に浸透しているとはいえ、事実だとすれば考えられないような金額である。

    ちなみに2005年7月にNew Corp.が、米国最大のSNSであるMySpaceを運営するIntermix Mediaを買収した時の金額は、5億8,000万ドルだった。comScore Media Metrixの調査によると、2006年2月のMySpaceのユニークビジター数は約3,700万。対して、Facebookは約1,000万。しかも、MySpaceが順調にユニークビジター数を伸ばしているのに対して、Facebookはここ数カ月横ばいである。またMySpaceは、2005年の検索ワードランキングで1位になった。トラフィック数、人気ともにMySpaceが上回っているのだ。それにも関わらず、Facebookに7億5,000万ドルである。

    Facebookに登録するには、大学や高校が学生に発行するEメールアドレスが必要で、学生以外はメンバーになれない。BusinessWeek Onlineの記事では、Facebookについて、効果的に学生に広告を提供できるとそのメリットを指摘し、さらにSNS全体に対する評価の高まりも追い風になっているとしている。だが、それだけではMySpaceを上回る評価の理由としては納得できない。音楽に強いMySpaceもティーンエイジャーに人気のサービスなのだ。

    3月末に、Microsoftが主催するウェブ技術の開発者カンファレンス、「MIX 06」に参加したとき、ランチで偶然座ったテーブルで、同席した人々と"Facebook世代"という話題になった。Facebookがオープンしたのは2004年2月。1年くらい前からインターンや新人社員にFacebookユーザーが混じり始め、その行動に彼らはギャップを感じるのだという。しかしそう話す旧世代たちも、まだ30歳前後である。

    具体的にFacebook世代は、トラブルに直面したとき、自然にSNSにソリューションを求める。たとえば技術的なアドバイスが必要なとき、先輩に聞くのではなく、SNSのネットワークの中からアドバイザーを見つけ出して、きっちりと答えを出してくる。若いのに情報を引き出す能力には恐れ入るが、なんとなく可愛くない。それに、SNSで信頼できる関係を築いているのかもしれないけれど、会社のトラブルをSNSで解決するのは「あまりにもオープン」に思えてしまう。

    もちろん全てのFacebook世代が、仕事に役立つネットワークを築いているわけではない。むしろ目的意識を持って、きちんとネットワークを管理しているのはごく一部で、ほとんどの学生は気軽にSNSを楽しんでいるだけだろう。ただ、仕事に使えるかどうかは別にしても、Facebook世代には、「ネットワーキングは財産」という考えが根付いているように思える。

    それを裏付けるのが、非営利調査機関の米Pew Internet & American Life Projectが2005年夏に公開した、ティーンエイジャーのインターネットの利用動向に関する調査結果である。インターネットを利用しているティーンエイジャー(87%)のうち、メッセージを送る方法としてEメールを最も利用すると答えたのは33%。1位はインスタントメッセージ(IM)の46%だった。旧世代にグサっとくるのが、聞き取り調査のサンプル・グループのコメントだ。Eメールの印象について「"年上の人"とのコミュニケーション、複雑な指示を大きなグループに伝える時などに利用するもの」と答えている。同調査ではSNSに的を絞った質問は用意されていなかったが、その回答からは、米国のティーンエイジャーがよりコミュニティ色の強いコミュニケーションを好む傾向が伝わってくる。

    Facebookが高く評価される理由の1つは、結びつきの強さだろう。混沌とした感のあるMySpaceに比べると、Facebookのメンバーには、学生生活を共に乗り越えてきた絆がある。信頼できる結びつきだからこそ、社会に出てからもネットワークが生き続け、周囲から"Facebook世代"と言われるような行動になってしまう。旧世代が指摘するオープンすぎる危うさが感じられるのも事実だが、5年、10年と経って、Facebook世代の方が当たり前になった時、彼らのような情報共有力を自分も備えられるのかな……という不安も覚える。

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