【コラム】

シリコンバレー101

161 鑑賞よりも、とりあえず利用したいGoogle Video Store

    Yoichi Yamashita  [2006/01/17]

    Googleが開始した「Google Video Store」に対する評価が芳しくない。まだ始まったばかりだが、期待はずれの声が目立つ。

    Google Video Storeは、今月初旬に米ラスベガスで開催されたCESで発表されたオンライン動画販売・レンタルサービスである。DRMにはGoogleの独自技術を利用しており、配信されているビデオはGoogleが無料配布しているGoogle Video Playerを使ってパソコンで鑑賞する(有料コンテンツの購入/レンタルは米国居住者のみ)。

    現時点でGoogle Video PlayerはWindows用のみで、Windows PCでしか鑑賞できないのがユーザーの不満点の一つ。NBAの試合(1試合3.95ドル)を購入できたり、CBSの人気ドラマ「CSI」をレンタル(1日1.99ドル)できたりするのはうれしいが、購入/レンタルボタンを押させるようなコンテンツはまだ少ない。またビデオの画質は内容を把握できる程度で、映像を楽しめるレベルではないという指摘も多い。昨年10月にAppleがiTunes Music Store(iTMS)で動画販売を開始して以来、ビデオオンデマンドまたはストリーミングによるビデオ配信サービスが続々と登場しており、Google Video Storeは出遅れの印象を受けるとも言われている。このように厳しいコメントは様々で、今年はGoogleの勢いにブレーキがかかるのかな、と思わせるような強い風当たりである。

    CESの基調講演で披露されたGoogle Video Playerのデモ。ビデオはCBSが販売する米国版サバイバー

    実際に使ってみた感じでは、Googleならではのシンプルな使いやすさは生かされているが、多くの人が指摘しているように24時間営業のVideo Storeと言うには物足りない。だからと言って、Google Video Storeに魅力がないわけではない。コンテンツを視聴する側ではなく、コンテンツ提供する側に立ってみると全然違うサービスに見えてくるのだ。

    CESの基調講演でPage氏は、Video Storeについて「誰でも簡単にオリジナルビデオを販売できるようになる」と説明していた。同社は昨年4月に、Google Video(ベータサービス)でGoogleユーザーがビデオコンテンツを公開できる「Video Upload Program」を開始している。今回のVideo Storeの開始に伴い、コンテンツ所有者がGoogleのDRM技術を使ってビデオを販売したり、貸し出したりできるようにするオプションをVideo Upload Programに追加した。ただし、現時点で価格や公開条件の設定が許可されているのはごく少数のコンテンツ所有者のみ。著作権侵害を防ぎ、各種規制に対応できる仕組みが必要になるだけに、そう簡単には"誰でも~"というような状況は実現できないだろう。しかしGoogleは、将来的には登録した希望者が自由に価格を設定できるようにしたいとしている。これが実現すれば、たとえば個人で手芸サイトを運営している人が、Google Video Storeを通じてビデオインストラクションを販売するというようなことが可能になる。ファイルの管理や決済はGoogleが担ってくれるのだから、関心を持つ人は多いのではないだろうか。

    Google Video StoreがCBSやNBAのコンテンツを獲得したことで、GoogleがiTMSなどのライバルのように見られている。それがVideo Storeに対する厳しい評価にもつながっているようだが、その比較がそもそもおかしいのではないだろうか。Google自身がビデオ配信サービスを展開するのではなく、Googleはビデオを配信するための環境を提供する存在だ。GoogleがiTMSのライバルではなく、Google Video Storeを利用すれば誰でもiTMSのライバルになれる。それがGoogleのやり方だ。その意味では、ごく一部のコンテンツ所有者しかビデオを販売できないGoogle Video Storeの現状は、開店準備中というのが正確だろう。本当の姿を評価するには、Video Upload Programのアップデートを待つ必要がある(巨大なAmerica's Funniest Home Videoになる可能性もあるけど……)。

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