【コラム】

シリコンバレー101

157 "言葉遊び"でふり返る2005年のシリコンバレー

    Yoichi Yamashita  [2005/12/06]

    シリコンバレーの地元紙サンノゼマーキュリーで、読者からの応募による単語コンテストが行われた。単語のアルファベットを1つ入れ替えたり、付け加えたりして、新しい意味を持たせる。造語になっても構わないが、シリコンバレーやカリフォルニア州、または米国の時事を連想させる単語である必要がある。テーマは自由だが、シリコンバレーだけにやはりテクノロジネタが多い。一例として2003年に行われた前回の作品を紹介すると、「Microsofa: (意味)ショールームで一際目立つ家具、次第に居間を浸食し、"互換"という言葉を使いながらいつの間にかテレビを含む全ての家具を入れ替えしまう」。こういう感じなので、シリコンバレーのこの1年を振り返るのにちょうど良い。ここで今回の入選作をいくつか紹介しよう。

    今年はGoogleがもてはやされた年。ということで「Goofle: 間違いなく上がる会社(Google)のIPO(新規株式公開)に投資しなかった間抜け(Goofy)な失敗」。GoogleのWeb検索でミススペルをして、意図したモノと全く違う結果を得たとき、"Goofled it"と使うことも可。一方で「Demagoogue: 頭角を現すために、情報を求めてインターネットをしらみつぶしに調べる人」という作品も。"デマゴーグ(Demagogue: 扇動家)"にかけている辺り、Googleの躍進を危うく思っている人もいるようだ。

    続いてApple。iPodに関しては打つ手がことごとく決まった年だった。そこで「iPad: Apple製品がはびこった生活スペース(pad)」。ウチでも年初の「iPod shuffle」に始まって、「iPod nano」、ビデオ再生対応「iPod」と一気に3台増殖。さらに「Podfast: 最新のiPodをティーンエイジャーの子供に買ってやらないで済むように、両親が慣行する断食(fast)」というのもある。土台となった言葉は"ポッドキャスト(Podcast)"。

    「Stem Sells: バイオビジネス・バブル」。今年5月、カリフォルニア州が幹細胞(Stem Cell)の研究拠点をサンフランシスコに設置すると決定。州内外のバイオ関連企業の熱い視線を浴びており、企業誘致は今や完全な売り手(Seller)市場。

    「Outsouring: 自分の顧客データベースを管理してくれるはずの海の向こうの人物が、うっかりデータを消去してしまったことに気がついたときの、胃がムカムカ(sour)する感覚」。もちろん元の言葉は"アウトソーシング(Outsourcing)"

    さらにシリコンバレーの住人の悲しい現状を……。「Hosing Market: シリコンバレーの不動産」。住宅(housing)市場が不当(hosing)に高騰。シリコンバレーに住まないで遠距離通勤にふみ切る人が増加中。「Condominimum: 400平方フィートしかない(minimum: 極小)のに、60万ドルもするサンノゼの分譲マンション(condominium)」。

    さて今回の大賞は3作品。「Hubrids: 過剰なプリウス・オーナーのプライド」。トヨタのハイブリッド(Hybrid)カー「プリウス」は、原油価格高騰もあって米国でも大注目。ただ、中にはおとなしく乗るだけではなく、うるさく環境問題に対する意見をまくし立てたり、車自慢を延々と展開する人も……(hubris: 思い上がり)。

    「Nagosecond: 何かをやれと小言を言われて(nag)から、その仕事をやり遂げるまでにかかる時間」。なんとなく分かるなぁ。ウチもかなり早い。

    そして最後が「Kung flu: 我々を打ちのめすアジア人の多様性」。カンフー(Kung fu)とインフルエンザ(flu)をかけている。少し話はそれるが、シリコンバレーのトップクラスの高校で、白人生徒が減少し、アジア人生徒が増えているという記事が、2週間ほど前のウオールストリート・ジャーナル紙に掲載された。通常、マイノリティがらみでは「学力が低下したから……」という話になるが、シリコンバレーでは逆。勤勉なアジア人生徒の影響で理科系教科のレベルが高くなり過ぎている。さらに、これに気を良くした学校側が数学や理科重視のプログラムを組んでいるそうだ。それも偏りすぎで良くない……と転校した子供の父兄は批判していた。

    では、最後に個人的に一番気に入った言葉を紹介したい。「Phactasm: 幻(phantasm)でしかなかった製品が現実(fact)に」。Windows Vista、Intel製CPU搭載Mac、デュアルコアCPUは当たり前になり、新世代ゲーム機がそろい踏みする2006年。Phactasmな年になってもらいたいものだ。

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