【コラム】

シリコンバレー101

156 42型プラズマTVが1000ドル以下!! 激安に沸いたブラックフライデー

    Yoichi Yamashita  [2005/11/29]

    家電量販店Fry'sサニーベール店は、倉庫のような造りの建物の中に80カ所以上のレジを備え、駐車場は野球のフィールドが軽く2面は収まるような広さである。と言っても、普段は多くても30カ所程度しかレジは開かないし、駐車場も半分ぐらいしか埋まらない。それが1年を通して1日だけ、レジ全開、駐車場がびっしりと埋まる日がある。「ブラックフライデー」と呼ばれる感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日だ。しかも、早朝5時の開店と同時に店内は客で埋めつくされる。

    ブラックフライデーは、米年末商戦が本格的にスタートする日であり、年末商戦の行方を占うバロメーターとなる。好調な年には数多くの小売店が午前0時や午前5時に開店し、通常の開店時間まで特別セールを行う。今年は特に家電製品を扱う店を中心に小売店に勢いがあった。

    なぜブラックフライデーが消費者を引きつけるかというと、普段では考えられないような激安製品が出てくるからである。たとえばFry'sの場合、AMD Sempron 2400+/128MB/40GB HDD/CD-ROM/Linspireという構成のデスクトップPCが99.97ドル(約1万2,000円)。Pentium 4 630/2層記録対応DVD±R/RWドライブ搭載VAIOデスクトップPC・17インチLCDディスプレイ・Epsonのマルチプリンターで799.97ドル(約9万6,000円)。512MBの「iPod shuffle」が69ドル(約8,300円)。日立の80GB HDDに至っては、店頭で値下げされた価格が50ドル(約6,000円)で、さらに郵送式のリベートを併用すると50ドルがそのまま戻ってくる。ここでは全てを書き尽くせないので、興味がある方はこちらに感謝祭前後の新聞広告が掲載されている。

    家電量販店の早朝セールの広告を比較すると、量ではFry'sがダントツだったが、インパクトという点では同じく家電量販店のBest Buyが上回った。たとえばRegent USA傘下Maxentの42インチのプラズマEDTVが999.99ドル(約12万円)である。ほかにもSamsung製の19インチLCDが229.99ドル(2万7,600円)、東芝のCeleron M 370/256MB/40GB HDD/CD-RW/Windows XPという構成の15インチノートPCが379.99ドル(4万5,600円)等々、普段ではあり得ない価格が並んだ。また宣伝にもっとも力を入れたのはディスカウントスーパーのWal-Martだった。激安という印象は薄かったが、マーケティングが奏功したのだろう。マウンテンビューのWal-Martでは、早朝5時に殺到した客の間でセールス商品が取り合いになって、警察が出動する騒ぎになった。

    さて、長い景気の低迷で消費者のサイフのひもが固くなっている上、原油価格の高騰である。ブラックフライデー直後はスロースタートが報じられ、先行きが懸念されたが、最終的には好調だった昨年を上回ったようだ。National Retail Federation(全米小売業協会)によると、感謝祭の週末全体の売上高は278億ドル。これはバブルに沸いた99年に次ぐ売上げ記録となる。

    さらに今年の場合は、オンラインショップの伸びも見逃せない。Nielsen//NetRatingsが11月25日(米国時間)に発表したeShopping指標によると、ブラックフライデーのオンラインショップのユニークユーザー数は昨年の1,330万人から1,720万人に増加した。前年比29%増である。

    オンラインショップとローカルの小売店を比較すると、目玉製品の価格ではローカルショップに軍配が上がる。だが、999ドルのプラズマTVなどはごく少数である。手に入れたければ、夜中に何時間も並んで待つ忍耐力が必要。それに店に入れば、店内を一周してあれこれと買い込んでしまう。結局いつも、「得してるのかな……」という気分になる。これが小売店の狙いであり、朝イチで客を店内に引き込むことがブラックフライデーを制するための常套手段だった。だから、あり得ない価格の製品をエサにした早朝セールを派手に宣伝するのだ。ただ、人混みと無駄な買い物にウンザリという消費者も多く、ゆっくりと価格を比較しながら必要なモノだけを購入できるオンラインショップに消費者がシフトし始めている。

    またオンラインショップ利用者の増加に伴い、「サイバーマンデー」という言葉が誕生している。これは感謝祭直後の月曜日にオンラインショップ・ユーザーが増えることを指す。きっかけはホリデーギフトである。クリスマスのプレゼントは、直前まで隠しておきたいものだが、ブラックフライデーに家族連れで地元のモールに行った時に買うと、「あの時の買い物袋があやしい……」ということになってしまう。だからモールでチェックした商品を、月曜日(サイバーマンデー)に職場で、または旦那や子供が出かけた後の自宅で、オンラインショップを使ってこっそり購入する。ちなみに小売業界団体のオンライン部門Shop.orgは、11月28日の月曜日に5,800万人以上がオンラインショップで買い物をすると予測している。

    ただ、自宅はともかく、勤務中にオンラインショップというのはトラブルの種にもなる。マーケティング調査会社のBIGresearchが実施した調査によると、米消費者の37%が、ホリデーギフトを購入するために職場でオンラインショップをブラウジングしているそうだ。サイバーマンデーが注目されるようになれば、そのうちオンラインショップへのアクセスをフィルターする会社も出てきそうだ。

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