【コラム】
書籍のデジタル化を進めるOpen Content Alliance(OCA)のメンバーであるInternet Archiveが、インターネット図書館の可能性を示すためのデモサイト「Open Library」を開設した。OCAは著作権所有者の権利を守りながら、書籍のデジタルアーカイブ構築を進めており、一方でYahoo! やMSNなど商業的なサービスとも良好な関係を維持している。
もう1つのデジタル書籍プロジェクト、Googleの「Google Print」はというと、著作権侵害訴訟を起こされるなど、同社にしてはめずらしく苦戦している。その原因を考えると、ほかのGoogleのプロジェクトのように、"技術を提供する"という勝ちパターンにはまっていないところがあるように思える。
たとえば最近、Googleが「Google Base」というデータベースサービス(?)を準備しているという噂が広まっている。同社もブログの中で、その存在だけは認めているが、興味の的はサービスの実体である。本当にデータベースサービスならば、eBayやAmazon.com、Craigslistなどの脅威になる……と言われている。なかなか興味深い話だ。ただ、もしGoogle BaseがeBayなどのライバルになるようならば、それはGoogle Printに近い。ふみ込み過ぎである。Googleの通常のパターン、つまり技術を提供する形で登場するならば、Google Baseを利用することで、小規模の会社や個人がeBayやCraigslistのようなサービスを構築できるようになる。ライバルになる可能性があるのは、それらの会社や個人である。このような展開がGoogle本来の強みであり、またGoogleを取り巻く企業や開発者が同社に期待するところである。
10月28日と29日にパロアルトにあるCommerceNetのオフィスで「Tag Camp」が開催された。"タギング"という大まかなテーマは存在するが、要はビールを飲みながら意見やアイディアを交換し合い、ネットワークを広げようという"ギークたちのキャンプ"である。
このようなキャンプが行われるようになったきっかけは、O'Reilly主催で2002年から行われている「Foo Camp」だ。Foo Campも討論とアイディア交換の場なのだが、O'Reillyに認められた招待者しか参加できない。しかも、今年招待されたからといって、来年も招待されるとは限らない。新しいアイディアや面白い意見を持っていない人物と判断されれば、呼んでもらえなくなる。非常に門のせまいイベントなのだ。そんなFoo Campに呼んでもらえない、または今年から呼ばれなくなったという人たちのために、「BarCamp」という門戸の広いイベントが立ち上げられた。Foo Campに対する皮肉が見え隠れするが、最近ではギークキャンプというイベントの効果がしっかりと評価されている。たとえば、少し前にMYCOM PC WEBで紹介されていたWeb2.0対応ブラウザ「Flock」もBarCampでデモが披露された技術である。今ではBarCampは、Foo Campとは関係なく、シリコンバレーのほか、ニューヨーク、ボストン、ワシントンDC、さらにはトロント、パリ、アムステルダムなどでも開催されるようになった。
Tag Campは、Foo CampやBarCampを補足するキャンプとしてTagCampが計画した。ほとんど口コミで広まったにもかかわらず、120人以上の参加者を集めた。プランナーであるMichael Tanne氏は「Wink」というGoogleとWikipediaを使用して、コミュニティ内のレーティングや評価を反映させる検索サービスを開発している。このようなWeb2.0世代を意識したアイディアがキャンプでは飛び交っている。
BarCampやTag CampではFoo Campに対する恨み節も聞こえてくるが、もちろん冗談である。Foo Campが理論的な討論の場ならば、BarCampやTag Campはより実践的。(Googleのように)技術を提供する企業のスタッフがFoo Campに参加するなら、BarCampやTag Campの参加者はその技術をいかに活用するかを考える。相互補足というか、現実を反映している面がある。
さて、ブログやSNSをはじめ豊富なコミュニケーション手段がある中で、「1カ所に集まって、一晩中討論するキャンプなんて、アナログな……」と思う人もいるだろう。実は自分も不思議だった。ひとつ言えるのは、久しぶりに事業意欲や、起業意欲が高まっているということ。ブログやSNSでも活発な討論が行われているが、それだけでは満足できない。わき上がってくるアイディアややる気を直接ぶつけてみたい……という雰囲気がTag Campには漂っていた。それだけ米国のネット周辺では激しい動きが進行しているということである。また、その中心で刺激を与えている企業の1つは間違いなくGoogleである。
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