【コラム】

シリコンバレー101

148 Googleも手を挙げたサンフランシスコの公共無線BB計画

    Yoichi Yamashita  [2005/10/04]

    Googleがスポンサーとなって、Feevaがホットスポットを構築しているユニオンスクエア

    米Googleが、サンフランシスコ市での無線ブロードバンド・サービス提供に、名乗りをあげたと報道されている。

    サンフランシスコ市は今年の夏に、市内全域で無線ブロードバンド接続サービスを展開する計画を発表した。以来、サービスの提供方法について、関連ビジネス企業や非営利組織などに情報やコメントを求めていた(RFI/C: Request for Information and Comment)。市からの条件は、「市内全域の屋外95%、屋内90%以上で、1Mpbsの通信速度のサービスを無料または低価格で提供」である。ギャビン・ニューサム市長は「サンフランシスコ市民全員が無料でインターネットに接続できるまで、我々はあきらめない」と鼻息が荒い。

    米ウオールストリートジャーナル紙などの報道によると、Googleは広告収入で諸費をまかなう無料サービスを提案したそうだ。同社は、Feevaが構築したサンフランシスコ市ユニオンスクエアのホットスポットのスポンサーになっている。Feevaはユーザーの位置を正確に把握する技術を有しており、位置情報とリンクした広告提供が可能。気の早い人たちは、サンフランシスコで成功すれば、Googleがインターネット接続サービスを全米展開すると予測している。

    サンフランシスコ市のブロードバンドプロジェクトは、なかなか安くならないブロードバンドのサービス料金に対して、経済的なデジタル格差を解消するというのが最大の目的である。その意味ではGoogleのサービスはフィットするが、スンナリとGoogle案が認められるとは限らない。

    サンフランシスコよりも早く、公共のブロードバンドサービス提供に乗り出した都市を例に見ると、公共ブロードバンドサービスの最大の障壁は、ケーブル会社や電話会社など、現在ブロードバンドサービスを提供している事業者である。中には、通信事業者の猛烈な反発を受け入れて、自治体によるブロードバンドサービスの提供を禁止する州法が制定された州もあるほどだ。サンフランシスコでは現在、通信事業者などもRFI/Cに提案する側になっているが、市が採用するプランによっては、計画の中止を断固として求める姿勢を示している。市側も、通信事業者などと対立するのではなく、発展的な解決策を見つけて、公共ブロードバンドサービスを検討している他の都市のモデルになりたいとしている。

    また公共化には、安定して全ての市民に適正な価格のサービスを提供するという目的のほか、長期的な視点での技術開発や、インフラ整備の実現という課題も含まれる。この点では、低コストや無料サービスが最善のソリューションになるとは限らない。またカスタマーサービスも気になるポイントだ。

    9月28日と29日に、「MuniWireless 2005」という、都市や地域の無線環境に関するカンファレンスが開催された。サンフランシスコ市も参加し、ブロードバンドプロジェクトについて説明したが、その時点で約570ものネットワーク敷設/サービス案が集まっていたそうだ。民間のブロードバンドサービスと、市が提供するサービスの折衷案、市がインフラを整備・所有し、民間企業がサービスを提供する分業案。さらに広告ベースの無料サービスに加えて、月額20ドル程度の有料サービス(広告なし/カスタマーサポートあり)を用意する案など、様々な提案が行われているようだ。

    個人的には、"何ができるようになるか"を、市民にはっきりと示すサービスになってもらいたいと思う。米国では、ユタ州で14都市を結ぶFTTPプロジェクトが進行している。"速くて、安定していて、お手頃価格"の理想的な都市型ネットワークと言われており、住民の期待も高い……と報じられている。自分がユタ州の住民なら間違いなく契約するだろう。ところが、利用可能地域での契約世帯は、現在のところ10%を下回っているそうだ。これが米国の不思議なところである。その一方で、ブロードバンドの普及が伸び悩んでいるにもかかわらず、オンライン音楽配信がいち早く登場し、成功したりする。順番が逆なのだ。その原因を常々考えているが、未だにわからない……。ただ、何となくではあるが、自分たちのメリットを十分に納得しないかぎり、米国の消費者は動かないような気がする。だから、"何ができるようになるか"のアピールが重要なのである。おそらく市民の目に、通信事業者のネットワーク/サービス案は真っ当に映るのだろうが、彼らの関心を引くのは、Googleのような専門外の企業の方が上手いかもしれない。

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