【コラム】

シリコンバレー101

144 大学生の間ではGoogleに迫る人気、SNSの「Facebook」

    Yoichi Yamashita  [2005/09/06]

    ノートPCが500ドル以下に突入した今年のバックトゥスクール・セール

    米国では新学年がスタート。混雑していたウチの近所のカフェも昼間はガラガラになり、おかげで気兼ねなく気分転換の仕事場に使えるようになった。今年の春・夏、米国ではパソコン販売の好調さが伝えられていた。実際、新学年シーズンをターゲットにしたバックトゥースクール・セールの低価格ぶりには目を見張るものがあった。Windows XP搭載機がデスクトップ機で300ドル以下、ノートPCで500ドル以下で手に入る。ただ、「オっ……」と思わず立ち止まるような個性的な製品はなく、どこか画一的で面白くない。だからこそ、激安を実現しているのだろうが、少々寂しい盛り上がりにも感じられる。

    しかし、逆に考えると、学生がパソコンを手に入れやすくなれば、ネットサービスは活性化されるかもしれない。大学のキャンパスから広まったP2PのNapster然りである。今、米キャンパスで人気のサービスというと、パロアルトを本拠とするFacebookのソーシャルネットワーキングサイト(SNS)「Facebook」である。

    Facebookは昨年後半から急速にユーザー数を増やしてきた。参加を大学生に限定しており、通常のSNSのルールに加えて、登録には大学が発行する.eduのEメールアドレスが必要だ。

    現在830以上の大学から登録でき、登録者数は約340万人。今年秋には対象校を2,000校に増やし、年末までに600万人突破を目指す。月間のページビュー数は30億。1日のユニークビジター数は220万人。そのトラフィックは、すべての米国の大学新聞サイトを合計したものの80倍近いそうだ。

    春の学期が終わっても新規登録者の勢いは衰えず、しかも毎日登録者の半分以上がFacebookにログインしている。つまり、大学のEメールアドレスを取得したばかりの新入生やトランスファーが決まった学生が、大学のオリエンテーションを受けるよりも早くFacebookに登録し、米国各地に散らばっている夏休み中の学生たちが欠かさずFacebookを利用していることになる。一部の大学生の間では、Facebookが日々の生活に欠かせないコミュニケーション/情報収集の場になっているようだ。

    サービス面では、Facebookは学生のオフラインの生活に根付いているという点で、一般向けのSNSと異なる。つい最近まで学生だったスタッフがサービスを立ち上げたので、学生のニーズを判っているのだろう。登録している講義とか、出身地など、キャンパス内での学生同士の結びつきをうまくSNSのつながりに反映させている。その一方で、実際の友人同士でない限り、他の大学のメンバーのプロフィール検索が制限されるなど、秘密クラブ的な雰囲気もある。ちなみに創設者のMark Zuckerberg氏がFacebookを誕生させたきっかけをたどっていくと、同氏がハーバード大学時代に作ったFacemashというサイトになる。2人の学生の写真を公開して、どちらがイケているかを投票させるサイトだったが、大学の事務局から目をつけられて、Zuckerberg氏は大学からプロべーション扱いになってしまった。そんな遊び心はFacebookの検索機能などに引き継がれている。

    Comscoreの調査によると、春の学期中だった3月、FacebookはSNSの草分け的な存在のFriendsterの4倍のビジター数を獲得した。Facebookのほかにも、米国では音楽サービスが充実しているMySpaceが急速に登録者数を伸ばしており、ターゲット層が明確なサービスがSNSの勝ち組になろうとしている。

    ビジネスの将来性という点では、FacebookやMySpaceのようなタイプのSNSは、ユーザー層を絞り込めるだけに広告主にとっても魅力がある。加えて、現在広告スペースとして人気の高い検索サイトよりも、SNSはユーザーの滞在時間が長いという特徴がある。

    その一方で、問題のあるパーティーを呼びかける場になったり、ストーカー事件に関連するなど、負の面も少なからず存在する。Eastern Illinois Universityの大学新聞は8月に、警察関係者がFacebookから情報を入手して、キャンパス内にビールを持ち込もうとしていた学生たちのパーティーを中止させたとレポートしている。この問題では、一般的には学生たちのFacebookの利用方法が非難され、逆に学生の間では警察がFacebookに入り込んでいた可能性が指摘されたことで同サービスのイメージダウンにつながった。

    ユーザーの利用状況をいかに管理するかが今後の課題であり、一時的な流行で終わるのか、それともYahoo!やAIM、Googleのようなトレンドセッターになれるかの分かれ目である。

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