【コラム】

シリコンバレー101

142 ガソリン価格高騰で変わる価値観、ハイブリッド車に優遇措置

    Yoichi Yamashita  [2005/08/18]

    8月13日土曜日のサンノゼマーキュリー紙の表紙は、ガソリンスタンドの入り口に設置されたガソリン価格の看板の写真だった。サンフランシスコ市の中心で、ついにレギュラーの価格が1ガロンあたり3ドルを超えたのだ。

    米国で最もガソリン価格の高いカリフォルニア州の現在の平均価格は、2.70ドル/ガロンぐらいだ。円/リットルに換算すると78円/リットルなので、日本に比べるとまだ安い。ただ、米国の場合、価格の変動が激しい。今年に入って50セント以上値上がりしているし、2003年末に比べると1ドル以上の値上がりだ。ちなみに自分の経験で、これまでで最も安かったのは、99年ごろニュージャージー州で入れた0.84ドル/ガロンである。その頃の東海岸での平均価格は0.89ドル/ガロンぐらいで、普通乗用車なら満タンにしても10ドル(1,100円)札でおつりが返ってきた。当時は市販の水よりもガソリンの方が安かったのだ。そんな記憶が残っているだけに、余計に米国人には最近のガソリン価格の高騰が身にしみる。

    ただ、悪いことばかりではない。値上がりによって、湯水のようにガソリンを使っていた米国の消費者もガソリンの価値を考えるようになった。ハイブリッド車に興味を持つ人が増えているのも、その1つである。

    カリフォルニア州では先週、DMV(Department of Motor Vehicles)が、トヨタのプリウス、ホンダのシビックとインサイトのハイブリッド3車種に対して、カープール車線を自由に走れるステッカーを提供すると発表した。カープールというのは、朝夕の高速道路の渋滞を解消するためのルールである。時間帯限定で、高速道路の1車線を複数人が乗っている車のみに開放する。1人乗りが多い通勤時に相乗りしてもらって、交通量を減らすのが目的だ。そのカープール・レーンを、ステッカーを貼ったハイブリッド車ならば、1人乗りでも走行できるようにする。

    もちろんハイブリッド車の利用を促すのが狙いだが、基準を満たして指定されたのは日本メーカーの車ばかりである。連邦レベルでもハイブリッド車の優遇措置は検討されているが、現時点では"日本メーカーびいき"という批判があってもめている。カリフォルニア州では75,000台という上限が設けて対応しているものの、様々なところで"予想外の決定"と言われている。

    カリフォルニア州がこれだけ強気になれるのも、消費者の支持があるからである。カープール特例にガソリン車オーナーが反発しているかというと、ハイブリッド車の価格の高さを埋め合わせる優遇措置の実施を歓迎する人が目立つ。それだけ購入を検討している人が多いのだろう。むしろ反対しているのは、ハイブリッド車のオーナーの方が多いかもしれない。元々環境問題に関心を持っていた人が多いためか、交通量を減らすというカープール本来の目的に沿わないと眉をしかめる人が多いのだ。

    パロアルトに自動車の省燃料化を推進するCalCars(California Cars Initiative)という非営利団体がある。ハイブリッド車にバッテリユニットを装着して、完全な電気自動車としての走行を優先させたプラグイン・ハイブリッドの情報などを提供している。たとえばプリウスを使ったPRIUS+というプラグイン・ハイブリッド化プロジェクトでは、100マイル/ガロン以上を目指している。APによると、実験走行で最高250マイル/ガロンを実現しているそうだ。

    PRIUS+は省燃料のための技術コンセプトであり、燃費を競っているわけではない。ところがAPの報道の中で、トヨタの広報担当者は「彼らは、馬力を追求し、車を飾り立てるホットロダーと同じである」と指摘している。「ホットロッド」とは面白いたとえだ。ホットロダーというと、速くて、でかくて、太い、いかにも米国というタイプの改造車を作り上げるメージだが、その価値観も変わってきているということか……。

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