【コラム】

シリコンバレー101

139 これからが地図検索の本領発揮、アイディアか、ビジネスモデルか

    Yoichi Yamashita  [2005/07/26]

    あるブログに「Google Mapsを使って交通違反チケットを無効に」という体験談が掲載されていた。曰く、マンハッタン内の交差点で反対車線から車が急に横切ってきたので停車したら、信号が赤に変わってしまった。再発進の瞬間を、通りがかった警官に見られてチケットを切られたという。

    信号無視の現行犯なら、交通裁判所に持ち込んでも、逆転は難しい。うまくいけば、抵抗しているうちに、判事が「おとなしく罪を認めておけば、罰金だけで、点数はつけないよ」と諭してくれるので、そこが落としどころになる。だが、このケースでは担当警察官が、違反が起こった道路が一方通行だったと主張した。そこで、彼はすかさずノートPCを取り出し、Google Mapsを使って問題の道が二方通行であることを証明。見事無罪を勝ち取った -- という。

    Googleのオンライン地図サービス「Google Maps」の魅力の1つは使いやすさである。操作はシンプル、ドラッグして軽快に移動できるし、地図は非常に見やすい。だから判事も証拠として認めたのだろう。従来のオンラインマップ・サービスの地図では、見やすさや情報量という点で力不足だったかもしれない。

    Google自体は簡単にどこにでも飛んでいけるのが「Google Earth」の魅力であるとしている。確かにその通りだ。それは派生サービスのGoogle Mapsも同じである。

    例えば、GlobeTrottingというサイトでは、ビル・ゲイツ邸やマイケル・ジャクソンのネバーランド等々、実際にその土地に行っても「行くかなぁ?」という程度のB級観光地をGoogle Mapsを使って巡ることができる。これが一度クリックしはじめたら、止まらなくなってしまう。

    止まらなくなるという点では「Scavengeroogle」というサイトも要注意だ。ある場所をGoogle Mapsを使って探し当てるというゲームサイト(かな……)である。例えば、「犬の骨」とか、「怒れるピエロ」とか、「空飛ぶ魚」とか、それらしく見える衛星写真が、サイトに問題として掲載される。その場所を期間中にGoogle Mapsを使って探し出し、そのスピードを競うのだ。もちろん、衛星写真だけじゃ見当がつかないので、「10年前から使われていない高速道路」とか、「ペンギンウォーター」などの言葉によるヒントが付けられている。

    「空飛ぶサカナ」という問題。答えの場所はここ

    衛星写真とマップを合体させたGoogle Mapsの新表示方式

    ちょっと話を脱線させると、数日前からGoogle Mapsでは、"Hybrid"(日本語表示では"デュアル")という、衛星/航空写真で表示される"サテライト"上に、マップ表示の情報をかぶせた新表示方法が利用できるようになった。Scavengeroogleではヒントがストリート名などに関連していることが多いので、このデュアル表示は便利である。

    さて、突きつめるとGoogle Mapsの最大の魅力はデータとの連携に行き着く。その先駆けとなったのが、Google Mapsと地域情報サービスCraigslistを結びつけたHousingmaps.comである。Craiglistに掲載されている賃貸物件などがGoogle Maps上に表示される。Craigslistは、「中古品の売買/賃貸/求人・求職の際にベイエリア在住者なら間違いなくチェックする」と言われるぐらいの人気サイトである。それだけにマップで物件を探索できるHousingmaps.comを初めて使った時は"目からうろこ"の気分だった。

    Housingmaps.comでCraigslistに掲載されているサウスベイの賃貸物件を検索

    6月末に、Googleが「Google Maps API」のベータ版、米Yahoo!がYahoo! Maps APIを利用するための「Yahoo! Maps Web Services」の提供を開始した。これにより開発者は両社が提供している地図情報を自分のWebサイトなどで利用できるようになる。今後、Housingmaps.comのような、地図情報を活用した画期的なサービスの増加が期待されている。

    Google、Yahoo!、MSN共に、地図検索を検索事業の中心に置いているという点ではスタンスは同じである。だが、そのアプローチは微妙に異なる。Yahoo!は衛星/航空写真には関心を示さず、マップ情報を主体としている。MSNはビジネス寄りで、地図情報を使ったビジネスモデルの確立に力を入れている。関連ビジネスを考えている人には魅力があるだろう。Googleはというと、非常にオープン。開発者のみならず、多くの人がその情報を利用できる。アイディアを生かした奇抜な利用例が登場しそうだが、ビジネスモデルという点では先行きが見えてこない。地図検索の実用化に向けて、三者三様のアプローチがどのような結果となるか楽しみなところだ。

    ちなみにウチの隣に住むオ社のエンジニアは、毎日往復1時間のドライブが必要。毎週値上がりするガソリン代にムカつくあまり、現在ベイエリア一帯のガソリンスタンドのガソリン価格をGoogle Maps上に自動表示するためのWebサイトを作成している。

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