【コラム】

シリコンバレー101

137 ブログの内容が求職活動に影響---プライバシーの侵害に該当!?

    Yoichi Yamashita  [2005/07/12]

    日記代わりに書き続けているブログ。一部の友人にしか読まれていないと思っていたら、就職の面接官がしっかりとチェックしていた……。学者向けの求職情報を提供しているChronicle Careersが、求職者のブログに焦点を当てて、ある大学の職員採用の様子を紹介している。

    求職者の中には自分のブログサイトを履歴書の中に明記している人もいる。Chronicle Careersが取り上げた大学のケースでは、最終面接者選びで、自分のWebサイトのURLを記していなかった候補者についても、普通の検索サービスを使って検索してみた。すると、アカデミックな人たちだけにブログを持っているケースが多かった。問題は、その内容から受ける印象である。

    気軽に書けるブログからは、著者のありのままの姿が伝わってくる。読む側にすれば、それが魅力の1つと言える。ところが採用を審査する人たちは人物を評価するための材料にしてしまう。提出された履歴書や論文から受ける印象とブログの内容はビミョーに、ケースによっては全然異なってしまうから厄介なのだ。

    求職者にしてみれば、自宅でゴロゴロしている姿を見られて、「アナタってそんな人だったの……」と言われる気分だろう。例えば、書類審査で面接官が探求心あふれると判断した人物が、コンピュータに関する情報ブログをやっていて、単なるコンピュータ好きではないかと心配されてしまう。影響があるのは本人のブログばかりではない。書類審査で面接官が研究成果を高く評価し、最終面接も決まっていた人物のケースでは、友人がブログの中で、その人物の研究成果の誇張を指摘していた。事の真実はともかく、それを読んだ面接官は、それだけだまされた気分になってしまう。

    もちろん悪いことばかりではない。ブログをチェックするのは、履歴書を補足する情報の収集である。プラスの情報も取り入れられる。身の回りのことしか書いていないブログであっても、問題にならない範囲で上手く仕事や同僚の話をしている人は、"気配り"が評価されている。ただ、面接官もいろいろだから、中には「パーソナルなブログをやっている人を採用したら、将来大学の内情などがバラされるのではないか」と心配する人もいる。

    内輪を相手に罪のない話を書いているつもりでも、強力な検索エンジンが存在する今、アクセス制限でもかけない限り内容は広く公開されてしまう。パーソナルな話だから関係者以外は分からないと思っていても、暗号で書いているわけではないのだ。思わぬトラブルの種になってしまう。

    サンフランシスコに本拠を置くEFF(Electronic Frontier Foundation)は、サイトでブロガーのための労働法に関するFAQを用意している。その中で「雇用主が私のブログを読めますか?」という質問がある。「パスワードまたはそのほかの仕組みでアクセスを制限しないかぎり、読んだだけでは雇用主は違法行為に問われないだろう」と回答している。仮にブログの更新に職場のコンピュータを使っていれば、雇用主はその内容をより強く知ることができる。逆に個人のパソコンを使って、しっかりとアクセスを制限していたら、雇用主に読まれた場合、プライバシーの侵害を指摘できる可能性があるという。

    EFFは、これまでブログの内容に対して雇用主や知人から報復されたケースを主に取り上げてきた。書き手も意図的に少々毒のある内容を書いていることが多い。だから、同団体は安全にブログを公開するには、"匿名"で行うことを勧めている。ただ、最近は罪のない内容からトラブルに巻き込まれる人が増えている。それらのケースでは、匿名で書いては、ブログを続ける意味のないものが多い。罪がないだけに、こちらの方が問題は深刻かもしれない。対策も複雑になる。内容が広く読まれる可能性と、予想される被害を意識させる必要があるし、公開をコントロールする仕組みも必要になる。

    ちなみにEFFは、今年15周年を迎える。ベイエリアでいくつかの記念イベントを用意しているが、そのキックオフイベント(7月19日)に、"ブロガーの権利"に関するパネル討論会を選んだ。それだけトラブルが増えている問題なのだ。

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