【コラム】

シリコンバレー101

130 シリコンバレーのトップ150企業経営者の所得は……

    Yoichi Yamashita  [2005/05/24]

    サンノゼマーキュリー紙が日曜版で「What the Boss Makes」という特集を組んでいた。シリコンバレーのトップ150企業の728人のシニアエグゼクティブを対象とした所得調査である。

    株式オプションを含むシリコンバレー・エグゼクティブの収入の総計は、1998年の13億ドルから1999年に23億ドルに上がり、2000年に47億ドルでピークを迎えた。その後、2001年に38億ドル、2002年に10億ドルと急降下。2003年も13億ドルと低迷したが、2004年は21億ドルで回復の兆しが見える。

    2004年のトップ5は以下の通り。

    順位 名前(敬称略) 企業名 役職 所得
    1 Terry Semel Yahoo! CEO 2億3055万3721ドル
    2 Farzad Nazem Yahoo! CTO 6322万9450ドル
    3 Maynard Webb eBay COO 4643万3192ドル
    4 Larry Ellison Oracle CEO 4580万4040ドル
    5 John Chembers Cisco CEO 4017万7710ドル

    Terry Semel氏の所得は日本円に換算すると約249億円である。トップ5以外では6位にAppleのJonathan Rubinstein副社長がランクされている。同氏はiPod事業部のトップである。女性エグゼクティブのトップはYahoo!のSusan Decker、CFOで、3096万0693ドル。全体の8位でもある。Yahoo!はトップ10に3人のエグゼクティブがランクされている。

    話題の経営者はどうかというと、HPのCEOだったCarly Fiorina氏は381万1294ドルで女性部門の6位、好調eBayのMeg Whitman、CEOは290万8231ドルで女性部門の9位だった。

    表の中で一際目立つのは、Apple CEOのSteve Jobs氏の"所得1ドル"。同氏は、2003年に7500万ドル相当の制限付き株式を受け取っており、その後1ドルの給与しか受け取っていない。制限付き株式とは、"時間の経過"や"業績の向上"といった条件が満たされない限り、付与された株式を売却できない株式だ。経営者に対して、短期的ではなく、長期的に企業を成長させてもらうための報酬制度と言える。Jobs氏の場合は2006年に売却できるため、今年は気合いが入っているだろう。23日にウォールストリート・ジャーナルがIntel製CPUをAppleが採用する可能性を報じていたが、最後のひと鞭にそんなサプライズもあるかもしれない……。

    不透明な会計処理が問題となり、会計規則の厳正化が進めれらる中で、株式オプションではなく、制限付き株式に切り替える企業が増えている。2003年は企業の28%だったが、2004年はApple、Franklin Resource、Yahoo!など35%の企業が報酬の一部に制限付き株式を採用している。制限付き株式を受け取っているエグゼクティブ数は2003年の85名から2004年の118名に増えた。

    しかしながら、報酬全体の割合で見ると、制限付き株式は全体のわずか5%に過ぎない。旧来の株式オプションの行使からの報酬も2004年は大幅に増加しているのだ。上の表の所得を現金とオプションに分類すると以下の通りになる。

    順位 名前(敬称略) 企業名 役職 所得(現金) 所得(オプション)
    1 Terry Semel Yahoo! CEO 60万1980ドル 2億2995万1741ドル
    2 Farzad Nazem Yahoo! CTO 300万7550ドル 6022万1900ドル
    3 Maynard Webb eBay COO 253万6826ドル 4389万6366ドル
    4 Larry Ellison Oracle CEO 385万4000ドル 4195万40ドル
    5 John Chembers Cisco CEO 190万1ドル 3827万7709ドル

    全体でも現金所得の合計6億4700万ドルに対して、株式オプションは14億ドル。株式オプションからの報酬の比率は、2003年の52%から2004年は69%に跳ね上がった。また2003年にはエグゼクティブ全体の37%が株式オプションを行使したのに対して、2004年は45%が行使した。

    原因の一つとして、会計規則の改革に遅れが見られることが挙げられる。現状では今年もこれまでと同様に株式オプションを利用できるため、オプションに依存するシリコンバレー企業の体質改善がなかなか進まない。一部では新たな報酬体系への移行を進めているが、全体ではかなりスローペースという印象だ。改革の方がペースアップしたら、果たしてこのうちの何社が対応できるだろう?

    スタートアップならともかく、成長が安定してきた企業が制限付き株式などを検討していないと「オヤっ?」と思ってしまう。その意味では、制限付き株式と株式オプションの両方の伸びが目立つ2004年の結果は、企業の信頼度を推し量る材料として参考にしやすい。

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