【コラム】

シリコンバレー101

129 Yahoo!とGoogleに挑戦状、検索ユーザーに利益を還元する「AnooX」

    Yoichi Yamashita  [2005/05/17]

    ここ2年ぐらい、地道に進めていた楽曲にコメントをつける作業がもう少しで終了する。これが終われば、あとは新たに追加する曲にコメントを付け加えるだけで済むので、かなり楽になる。なぜこんな面倒な作業を始めたのかというとiTunesだ。iTunesでは、検索ボックスにキーワードを入力するだけで、どんどん楽曲をしぼり込める。レスポンスが早いから、条件に合わせてプレイリストが動的に変化するスマートプレイリストのような機能も可能になる。その便利な検索力を活用するために過酷なコメント入力を始めたのだ。

    以来、曲の雰囲気、ギタリストが誰だとか、カバー曲であるとか、ジョギング向けだとか、そんな細かな情報を地道にコメントに付け加えてきた。非常に面倒な作業だったけど、見返りも大きい。今では1万を超える楽曲から必要な曲、その時の気分に合った曲を簡単に選び出せる。

    さて、サンフランシスコを本拠とするAnooXから新検索サービス「AnooX」の登録案内が届いた。昨年半ばに発表され、そのユニークな仕組みが一部で話題となったサービスである。

    あらゆるWebサイトをインデックス化しているという点ではGoogleなどと同じアプローチだが、AnooXはWebサイトの重要度を評価する際に投票システムを用いている。ユーザーに"投票メンバー"になってもらい、おすすめのWebサイトを投票してもらうのだ。その結果をWebサイトの評価に反映させる。投票できるのは1つのキーワードにつき1人1票に限られている。会員登録の際には、クレジットカード、または写真付きの身分証明書を使った本人証明が必要で、なりすましや架空アカウントによる複数投票ができないようになっている。

    現在、もっとも人気の高い検索サービスGoogleの「PageRank」では、リンクをWebサイトの重要度の判断材料にしている。リンクされている数の多いサイト、特に質の高いWebページからリンクされているサイトは評価が高くなる。

    リンクも1票を投じているようなものと言えるのだが、必ずしも"推薦の1票"とは限らない。たとえば、「Real Estate firms in Seattle(シアトルの不動産会社)」と検索してみると、Googleを含むほとんどの検索サービスでは不動産エージェントのサイトが上位に表示される。だが、その結果をながめてみると、優れたエージェントが上位に表示される傾向ではない。結局、ユーザーは検索結果から、改めて優れたエージェントを探すことになる。一方、AnooXでも最初は不動産エージェントが羅列されるだけだが、時間を経るごとに、不動産を探している人がまずチェックすべきサイトや消費者から評価されているエージェントのサイトがより上位に表示されるようになるという。

    AnooXのもう一つの特徴は利益還元である。広告などから得た利益を、投票メンバーを含むAnooXコミュニティに分配する。非営利型の運営で、開発、支援、利用者の枠を成長させようという試みだ。現時点での計画では、50%が投資家、広告主/AnooXスタッフ/慈善団体などに10%ずつ、そして投票メンバーに20%である。

    で、「実際のところ、その検索力はどうなの?」と思うだろうが、現時点では判断のしようがない。まだ投票が反映されるのに十分な時間が経過していないのだ。ただし、AnooXは、5月30日から1ヶ月間、10分野でYahoo!、Google、AnooXの上位100の検索結果をモニターし、その結果を第三者に評価してもらうと発表している。検索結果には相当自信を持っているようだ。

    冒頭でiTunesの話をしたが、一般的な分類分けに、個人的な分類・評価を付け加えることで検索はずいぶんと便利になる。その意味で検索キーワードに対する利用者の検索評価を結果に反映させるAnooxがどのように進化するか興味深いところだ。

    現時点で気になるのは、登録のためにユーザーがAnooXという評価の確立していない企業に個人情報を渡す必要があるということ。検索結果の信頼性を高めるためにはメンバーを徹底管理する必要があるが、これを嫌がる人は多いと思う。

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