【コラム】
自由な発言の魅力で急速にユーザーを増やすブログ。イラク戦争の現地レポートが話題となったり、大統領選挙にも影響を与えるなど、一部はかつての個人Webサイトと比較にならないほどの影響力を持ち始めている。
先週、さまざまなブログサイトで「サンフランシスコ市がブロガーを規制」という見出しが踊った。発端は、政治コンサルタントがPersonal Democracyフォーラムのブログに投稿した文章である。それによると、「サンフランシスコ市の管理委員会は、地元のブロガーに対して市の倫理委員会への登録を義務づけ、費用が合計で1,000ドルを超えるブログに関しては、その内訳を報告させる条例をまもなく採決する」。その証拠として、条例の草案のPDFへのリンクも張られていた。その後、この投稿はさまざまなサイトで取り上げられ、米国の憲法修正第1条で保証されている言論の自由に反するという厳しい批判が、市の管理委員会に対して寄せられた。
これに対し管理委員会は批判が誤解であると主張している。同委員会によると、条例の狙いはブロガーの規制ではなく、選挙資金運用に関連したチェックの厳格化だとしている。インターネット上のコミュニケーションは選挙資金法適用の対象となるが、それを厳しく監視する術がなく、ブログという形の政治献金や政治費用の対象となるような行為が見逃されている可能性がある。それを防ぐための規制だという。選挙運動に利用されているブログでなければ、むしろ自由に発言を行える環境を管理委員会は作ろうとしているそうだ。
では、なぜ全く逆の解釈になったのか。その原因を辿っていくと、まず草案の中で規制の対象と適用除外の対象があいまいだったことが挙げられる。よく読めば、管理委員会の真意も伝わってくるのだが、解りづらい。この点もブログで指摘されていた。
そこで管理委員会は「政治政党の影響下にある場合を除いて、新聞、ラジオ、テレビ、その他のニュース媒体を通じたニュース/コメント/論説などは規制の対象外とする」という点をはっきりとさせた修正案を作成した。さらに選挙関連の発言を行うブログについて、管理委員のSophie Maxwell氏は「ニュース媒体として認識している」とはっきりと認めている。
今回の騒動では、ブログの欠点とメリットがよく現れている。政治コンサルタントの投稿は、ブログの影響力と共に、そこに掲載される情報の危うさを示した。その一方で、ブログにおける反響が、きわめて早い段階で最初の草案の不備を管理委員会に気づかせたのも事実である。誤解を広めたのがブログなら、その誤りを指摘・修正したのもブログだ。
結果的に今回のケースでは、言論の自由への影響が危ぶまれる中で、短期間でより優れた草案への修正を実現し、さらに管理委員にブロガーをジャーナリストとしてはっきりと認めさせた。あやふやだった管理委員会の姿勢を、はっきりさせたという点では、ブログの力が真実を浮かび上がらせたとも言える。
ブログは偏った影響力を及ぼすこともあるが、コミュニティによって事実が非常に効果的に洗い出されるという特長を備える。ひとつひとつのブログに対しては、読む側も内容の正しさに注意を払う必要がある。しかし、Blogosphereとも呼ばれる集合体で考えると、誤りを修正するように働く効果は従来のメディアが及ぶところではない。
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