【コラム】

シリコンバレー101

114 Outlookのサブスクリプション、「それってお得なの?」

    Yoichi Yamashita  [2005/01/25]

    米国で"サブスクリプション"というのは、消費者を喜ばせる言葉だ。ここにMITの「Technology Review」という雑誌がある。1冊4.99ドル、1年間書店で購入し続ければ、1×12冊で59.88ドルだ。ところが、年間購読すると28ドル、53%の割引になる。これがメジャーな雑誌なら、7~8割引は当たり前。このように定期購読(サブスクライブ)するとガーンと値引きされる例が身近にあるから、米国人はサブスクリプションと聞くと「かなりお得」と思ってしまうのだ。

    最近のサブスクリプションの成功例を挙げると、まずDVDの郵送レンタルサービスのNetflix。月々18ドルのサービス料金で、同時に借りられるのが3枚までという制限を守れば、月に何枚でもレンタルできる。注文はWebサイトでリストを作るだけ。月に5~6作は観る人なら、Netflixを契約した方がお得である。

    次にウイルス対策ソフト。自分がウイルスをまき散らすかもしれないリスクを考えれば、年間20~30ドルは安いものである。できれば、もう少しファミリープランや複数パソコンを持っている人に優しいプランを用意してもらいところだが……。

    さらに携帯電話サービス。T-Mobileを例にすると、現在、月額39.99ドルで全米どこにでも月600分間通話できる。週末と夜間は無料である。明らかに固定電話よりも安い。米国で携帯電話が広く普及したきっかけの一つは、定額制のリーズナブルなサービスの登場だった。

    その逆が米国の無線インターネットサービスだ。90年代後半のRicochetから現在の有料ホットスポットまで、消費者が"お得"に思えるサービスパッケージが登場しないのが、なかなか普及できない一因である。

    さて、MicrosoftがOutlookのサブスクリプションサービス「Outlook Live」を米英で開始した。「Outlookのサブスクリプション?」「それは"お得"なの?」 という好奇心を満たすために契約してしまいました。

    サービスの詳細についてはこちらをご覧いただきたい。印象としては、ウイルス対策ソフトに近い。Outlookを購入しているのではなく、ハイエンドのEメールソリューションのおまけにOutlookがついてくるという感じだ。個人的にはOfficeを持っているけど、Outlook Connectorを使ったことが無かったので、2GBの容量のHotmailとの連携は新鮮だった。だが、ウイルス対策ソフトのようにサブスクライブする価値のあるサービスか……というと、意見が分かれそう。

    思い出したのは、ケーブルTVのデジタルサービスである。以前はケーブルTVというと、数種類のサービスしかなく、スポーツにしか興味がないのに、スポーツチャンネルをそろえるために高いプレミアサービスを契約していた。しかし、デジタル化された今は、細かいチャンネルの組み合わせが可能。コストを抑えながら自分好みのチャンネルラインナップを作れる。TVとオンラインサービスを組み合わせたスポーツパッケージも用意されている。

    このスポーツパッケージだけを取り上げれば、スポーツに興味のない人は「必要ない」と言うだろうが、チャンネルラインナップを自分好みに変えられるサービスは誰にとっても魅力がある。

    話をMicrosoftのサブスクリプションサービスに戻すと、例えばWindows Media対応の音楽配信サービスは、月々20ドル程度のサービス料金を支払えば、ダウンロードし放題、ポータブルプレイヤーにも転送し放題というサブスクリプションサービスを計画している。月に数枚のCDを必ず購入している人には魅力のあるサービスになりそうだ。このようなサービスが人気になると、欧州のようにMedia PlayerがWindowsから切り離されても、消費者はWindows Media Playerを選択するだろう。

    サブスクリプションサービスの今後の展開を語るのは尚早ではあるが、もしユーザーが必要なサービス+ソフトウエアのパッケージを選択しながらWindowsを構成できるようになるとすれば、それは消費者が"お得"に感じるサブスクリプションになりそうだ。

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