【コラム】

シリコンバレー101

76 順調なApple Store、その陰で泣いた販売店の逆襲

    山下洋一  [2004/04/06]

    Gatewayが直営店事業から撤退した。当然の判断だと思う。いつ行ってもお客さんがいなかったし、思い返せばGateway Countryで買い物をした記憶がない。

    eMachinesとの合併は、Gatewayが買収した形になっているが、経営にはeMachinesの戦略が色濃く反映される。量販店と競合しないように、直営店事業からきっぱりと撤退したのは、実にeMachinesらしいやり方だと思う。eMachinesは、量販店との関係を優先し、小売チャンネルを整えたことで激安PCベンダーからのステップアップを果たした。それだけに、直販ベンダーとしてDellのライバルだったGatewayを、今後どのように変えていくかが興味深いところだ。4月29日の決算発表でブランド及びチャンネル戦略を含む今後のビジネスプランを明らかにするとしている。

    Gatewayとは逆のケース、直営店が順風満帆なAppleは販売店とのトラブルに巻き込まれている。

    3月31日にTell on AppleというWebサイトが開設された。運営しているのは、カリフォルニア州クパチーノのElite Computer & Software、サンフランシスコのMACadam Computers、オレゴン州ベンドのMacTech Systemsという元Apple正規販売店である。

    「Appleの非道徳的で不正なビジネスの情報を記録し、同じ被害に遭っている販売店と共有するため」とサイト開設の理由を説明する。「Appleをよりよい方向へと進ませることが目的」としているが、その言葉を素直に受け取れない雰囲気が漂っている。

    現在、不正行為、契約違反、不正競争などを理由に少なくとも5件の訴訟が販売店によって起こされている。訴えのひとつによると、新製品がApple Storeには十分にあるにもかかわらず、販売店には発売日に届かないことや、十分な量が回ってくるまで数週間、時には数カ月を要することがあるそうだ。真綿で首を絞められるように店じまいに追い込まれたと非難している。

    元販売店側が指摘しているような非道徳的な行為があるのならば問題だと思うが、Macユーザーの立場から言わせてもらうと、販売店側にも少なからず問題があったように思える。以前は、Macの魅力を損なうようなディスプレイをしていたり、Windowsからの乗り換えの方法を上手く説明できなかったり、関連製品を揃えていなかったりなど……、明らかに努力不足と思える販売店も多かった。

    逆の例を挙げれば、ニューヨークにTEKSERVEというMac専門店がある。ヒッピー色で溢れた、およそパソコンショップとは思えない雰囲気の店だが、少なくともMac好きということが伝わってくる。実際、Macの修理にはモデルの新旧を問わず熱心に対応してくれる。TEKSERVEの近くにはApple Storeのソーホー・フラッグシップ店がオープンしたが、今でもTEKSERVEの方を信頼しているユーザーは多い。

    現在、Apple Storeは76店、これに対しておよそ3,000の販売店が米国に存在する。Apple Storeの成功を踏まえて、Appleが静かに販売店の整理を進めているのは、販売店側からの不満の声から想像できる。おそらくボーダーラインは、ユーザー・コミュニティーをサポートできるかという点にありそうだ。

    ただ、Tell on Appleのように声を大にして不満を述べる販売店が出てきたことで、Appleも態度をうやむやにはできない状況になってきた。Tell on Appleでは、この販売店問題を4月22日の株主総会の議題として取り上げるように求めている。

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