【コラム】

シリコンバレー101

74 アトムとR2D2、ロボット文化交流の場となったROBOlympics

    Yoichi Yamashita  [2004/03/23]

    3月20~21日の2日間にわたって、サンフランシスコで第1回「ROBOlympics」が開催された。世界11カ国から173チーム、414台のロボット(と547人のロボットビルダー)が参加。ロボットサッカー、ロボット相撲、ロボットウォーズ、迷路競争など、合計34の競技が行われた。

    日本でロボットというと「鉄腕アトム」、アメリカで人気は「R2D2」

    会場の中心に設置されたロボットウォーズの試合場

    会場となったフォートメイソン・センターは、サンフランシスコ市北端の海に面した元倉庫で、アート関係のイベントによく使われる建物だ。ゴールデンゲートブリッジを一望できる場所柄のせいか、会場は非常にリラックスした雰囲気だった。

    主催者はRobotics Society of America(RSA)。ROBOlympicsと命名されているが、オリンピックのような競技会かというと、むしろロボット万博と表現した方が正確なように思える。というのも、オリンピックのように各国で予選を戦い、勝ち抜いてきたロボットたちが国の代表として戦う大会ではないのだ。国際的に広まっている競技もあるが、わずかな国でしか開催されていない競技も少なくない。それに競技によって、参加者の偏りも顕著なのだ。例えば二足歩行ロボット競技ならば、日本勢が圧倒的。アメリカだと人気はバトル系のイベントになる。このように、競技ごとにどこかの国の色が出てしまうから万博のような雰囲気がするのだ。

    鉄と鉄がぶつかり合い火花が散るロボットウォーズ。速すぎてほとんど見えないが、左のマシンはハンマー状のプロペラを回転させている

    ロボットウォーズ参加者の待合い場所

    ロボットウォーズで勝ち残ったマシンに見入るライバルたち

    重量級はど迫力だが、軽量級はかなりコミカルな動き

    ROBOlympicsと名付けた主催者も、この大会で国別対抗戦を実現しようとしているわけではない。発起人のひとりであるDavid Calkins氏は、世界中のロボットビルダーの交流が本大会の目的だと説明する。

    「長年ロボット競技に関わってきた関係で、私は世界中のロボットビルダーと交流を持つことができました。自律走行可能な繊細なロボットを開発している人、溶接工場のような場所で巨大なバトルロボットを組み立てている人など、世界には実にさまざまなタイプのロボットビルダーがいます。自分とは異なったタイプの人たちと話してみると、意外なアイディアに驚かされることが多いのですが、残念ながら地域や研究分野を越えた交流というのはあまり活発ではありません。だから、ひとつの屋根の下に彼らを集めるために、この大会を開催したのです。異なった国、異なった分野、プロとアマ、教師と学生、大人と子供など、あらゆる意味で壁を越えた貴重な経験ができると思います」(Calkins氏)

    実際、最初は自分たちが関わっている競技に集中する参加者が多かったが、次第に他の競技に口を出す人たちが増えてきた。例えば、ロボット相撲で土俵に張り付いたように進む小型ロボットを見て、隣のロボットサッカーの参加者が「それはバキュームを使っているのか?」と聞いてくる。バキュームではなくマグネットだと聞くと、「仕組みが想像できん!!」と仕切りを乗り越えてやってくる。

    迷路を解くスピードを競うMaze Solving

    Segwayのように二輪で直立するバランシング・ロボット

    日本代表とも言えるROBO-ONEにしても、ロボットウォーズ目的にやってきた人たち、つまりWWE的なお祭り騒ぎが好む人たちに受け入れられるのか心配だった。だが、競技参加者が入り口近くに陣取り、時間をかけて二足歩行ロボットを説明していたのが奏功したのか、競技が始まったらロボットウォーズにも負けないぐらいの人を集まってきた。

    ROBO-ONE参加者は入り口近くで待機。質問攻めにあって、競技よりも説明の方が大変そうだった

    競技参加者は少なかったROBO-ONEだが、入場者は興味津々。今後はアメリカでも広まる可能性大?

    各競技の国際化の可能性を示したという点では、ROBOlympicsという名前がふさわしい大会だった。このまま競技の輪・ロボットビルダーの交流が広まり、いつかは34の競技が世界中で行われるようになって、オリンピック的な大会に成長すればと思う。

    押し引きのかけ引きが意外な人気を集めたロボット相撲。ロボットウォーズの破壊とは違った魅力をアピール

    自律ロボによるサッカーは最もタフな競技と言われていた。一方、マイクロホィール・ロボによるサッカーは人気は今ひとつだが、チェスのような面白さがあった

    動画
    優秀なチームは、DFが飛び込んできたところに、センタリングを合わせてシュートという高等な連係プレーを見せていた (WMV8形式 199KB 4秒)

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