【コラム】

シリコンバレー101

6 部品がこない!! 2週間のタイムリミットを抱えた北米PCメーカー

山下洋一  [2002/10/08]

昨年、カリフォルニア州の電力料金自由化政策の失敗による停電騒動に見舞われたシリコンバレーだが、今年も予期せぬトラブルに見舞われている。北はワシントン州、南はカリフォルニア州南部まで、アジアとの貿易に利用されている29の港でロックアウトが始まり、アジア方面からの部品や製品の供給がストップしているのだ。

発端は、港湾労働者が組織する労働組合(International Longshore and Warehouse Union)と港湾を運営するPacific Maritime Associationの間の労使契約交渉である。7月の契約切れまでに交渉がまとまらず、その後も短期的に契約を延長しながら交渉を続けていた。しかし、歩み寄りがなかったために港湾運営側が9月29日からロックアウトを開始。10月3日には政府の仲裁人が両陣営を訪れて、双方の言い分を聞き、大統領名義での仲裁が始まったが、7日の時点でまだ解決の糸口は見えていない。

3日には、Sony Electronics、Intel、Microsoftなど、1000社以上の家電・コンピュータメーカーが加盟するConsumer Electronics Associationが、港湾作業の早期再開を求めて労働争議を抑制するタフト=ハートレー法の行使を政府に求めた。ニュースでも、貨物の到着を待つ家電・パソコンメーカーのコメントが目立つ。例えば、Dellは、マザーボードやノートPCの空輸、北米での高い部品調達率などを理由とする品不足の噂をきっぱりと否定しているが、事業全体では「2週間以上続かなければ、ロックアウトの影響は受けない」とコメントしている。ロックアウトが2週間以上続いた場合、もしくはDellほどトラブル対策を講じていない企業のことを考えると、タイムリミットはかなり迫っていると言えそうだ。

サンノゼの紀伊国屋書店の外に貼られているロックアウトの通知

現時点では、ロックアウトの影響による注文の遅れなどは報告されていない。しかし、日本の書籍を扱っている店に行ってみると、先週から船便の雑誌棚には何も並べられていない。改めて「コンピュータメーカーの倉庫は大丈夫なのかな?」とやっぱり心配になる。

今後の見通しとしては、政府が80日間の「クーリングオフ」期間を宣言し、近日中に港湾作業が再開されるという見通しが強い。軍事産業もアジアからの輸入部品に頼っているため、国防面でも長期的なロックアウトは好ましくないのだ。ただし、80日後に両者の頭が冷えているかは別問題である。今回、不幸中の幸いだったのは、10月という消費意欲が活発ではない時期にロックアウトが行われたことだ。それでも経済的な被害は1日20億ドルと試算されている。もし、年末に再びロックアウト、またはストライキという事態になれば、その被害は計り知れない。

突然のロックアウトにアジアとの距離を痛感している米パソコンメーカーだが、これを教訓にどのような対策を講じるべきだろうか。空輸? 北米への生産切り替え? いや、まずは政府に対する発言力強化である。同じくアジアから部品を輸入している自動車産業では、政府に圧力をかけて突き動かし、その一方で、早くも部品の空輸に乗り出すメーカーが出てきている。それに比べるとコンピュータメーカーは後手に回っている感があり、グローバル産業として成熟度の違いが感じられた。また、パソコン産業の停滞が国家経済に与える影響と政府の認識の間に大きな隔たりがあるのも気がかりな点だ。今後は国家経済に与える影響を強くアピールし、このようなトラブルでは政府による即時解決を促すような体制づくりが求められる。

Consumer Electronics Association
http://www.ce.org/

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http://pcweb.mycom.co.jp/column/svalley.html

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