顧客をつかむコンサルの提案力 (3) お客様と良い対話をするための「考える」技術

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【コラム】

顧客をつかむコンサルの提案力

3 お客様と良い対話をするための「考える」技術

斉藤岳  [2009/12/08]

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温泉と仮説

温泉の季節である。温泉、癒されていいですね。私は好きです。

さて、その温泉だが、最近行って、ふと思ったことがある - 温泉に入ると、なぜ、体の芯まで温まるのだろう?

  • 温泉は、家のお風呂より、お湯がたっぷりあるから
  • 皮膚にイオンの膜ができて、熱が出て行かないから
  • 温泉に行くと、ついつい、長めにお風呂につかるから

周りの人に聴いてみるといろいろ意見は出るが、あまり確からしい回答が返ってこない。こんなとき、職業柄でつい、フレームを使って頭を整理してしまう。

IN⇒PROCESS⇒OUTで整理してみよう。

1. IN

「温泉では熱量がたくさん体に入る」という仮説である。「お湯がたっぷりで温度が下がらないから」「せこくて長めにつかるから」などが該当する。

この説が正しいとすると、銭湯でも温泉でも体の芯までの温まり度は変わらないということになる。あまり確からしい説とは思えない。

ほかに、「温泉イオンの効果で表面上熱さを感じず、熱いお湯に長くつかることができるから」という仮説も考えられるが、ちょっと唐突な感じがする。

2. PROCESS

「温泉イオンが体の中に入り、何かを起こしている」という仮説である。皮膚から毛細血管へとイオンが浸透し、血を巡って、何かが起こっている……この説は、"何か"ありそうである。

3. OUT

「温泉イオンが皮膚に膜などを作り、熱量が体外に出て行きづらくなる」という仮説である。この説が正しいとすると、温泉から出るときシャワーを浴びてしまえば体の芯まで温まらないということになる。これも確からしい説とは思えない。

やはり、「温泉イオンが体の中に入り、何かを起こしている」という2の仮説がそれっぽい。そこにフォーカスして、Googleにて検索をしてみると「硫黄泉の温泉効能について」というサイトを発見。

  • 皮膚で吸収された硫黄は血液に入る
  • 末梢の微小循環領域で強い血管拡張作用がある
  • 温受容体が刺激され、温感が得られる

とのこと。「温泉イオンが体の中に入り何かを起こしている」…この仮説、正しいかもしれない。

対話の中での仮説の大切さ

前回の「聴く」技術の中で、仮説をぶつけて、深い悩みを引き出すという話をした。良い対話をするには、「仮説」が必須である。「聴いてみないと、わからないですよね」「もう少し、調べてみないと何とも言えないので、訪問はもう少し先にしてください」……このようなスタンスでは、時間がいくらあっても足りないし、お客さんからは、「この人、大丈夫かな?」という評価をもらってしまう。

あまり時間をかけずに、精度の高い仮説を紡ぎだすことが必要なのだ。そのコツは、考え方の癖にある。

  • 70点レベルの確からしさでOKとして、ぐいぐい進めていく
  • 構造的に整理しながら考える

この2つである。

それぞれ、もう少し詳しく見ていこう。

70点で行こう

ときどき、勘違いをしている人がいる。仮説の精度は、100点に近ければ、それだけで良いと思っている人である。

提案活動における仮説の意味は、「呼び水」である。100点取っても、会話が盛り上がらなければ意味がない。むしろ、70点でも会話が盛り上がり、いろいろなことが聴きだせることに意味があるのだ。また、しょせん仮説なので、間違っていたら臨機応変に方針を変更していくことが必要である。100点に向けてひたすら時間をかけても、あまり意味がないのだ。

ちなみに、温泉の話での「2. イオン浸透説」も、「1の『熱量たくさん説』は本当に違うのか確認しないと…」とやっていたのでは、時間がかかってしょうがなかったであろう。

構造化

温泉の例のように構造化を行うと、

  • 深く掘るポイントが見えやすくなる
  • 深く掘ったポイントが間違っていても、リカバリしやすい

というメリットがある。

実際、ネット検索をする際も、検索のターゲットが「2. イオンが体の中に入り何かを起こしている」と当たりがついていたので、短い時間で情報に辿り着くことができた。また、仮に、実は2の説が間違っていた場合でも、柔軟に1や3へと検索対象を移すことができたであろう。

ただし、この構造化、最初の階層(温泉だとIN/PROCESS/OUT)の切り方のセンスによって差が出てしまうので注意しよう。今回使ったIN/PROCESS/OUTのフレームは使い勝手がいいので、覚えておくといいと思うが、もう少し、一般的に言うと、

時系列で考える

というのがひとつのコツなのである。時系列で考えると、想像しやすいので抜け漏れが防げるのだ。

また、もうひとつコツがある。

足し算より掛け算で考える

ということだ。毎回とは言わないが、キラっと光る場合があるので、覚えておくといいだろう。

たとえば、こんなときにも使ってみた - 行列のできる有名なカレー屋に行ったところ、メニューに人気商品ベスト3の記載があった。「カレーの種類がたくさんあるので、この人気商品から選ぼうかな」と思って見てみたのだが、なんと人気商品はカレーでなく、サラダやポテトだった。

なぜか???

売上=来客数×客単価、で考えてみる。行列ができる店なので、経営者として重点を置くべきは、来客数より客単価のアップなのだ。サイドメニューを食べてほしいのだ。

今回、2つの事例を交えて、「考える」技術を紹介してみた。そこはかとなく、伝わっただろうか。「考える」技術を磨くには、訓練あるのみである。構造化を数多くやってみるしかない。温泉でも、カレーでもなんでもいい。「あれ?」と思ったら、しばし一人ブレストし、構造化をしてみよう。

執筆者紹介

斉藤岳 SAITO Gaku

東京大学大学院農学生命科学研究科修了。コンサルティングファーム勤務を経て2001年にアビーム入社。新規事業立上げ、事業再編、経営管理、業務改革等のコンサルティング経験多数。また、「会議で結論を出す技術」「インタビュースキル」「ソリューション営業スキル」等の研修を行っている。主な著書に『1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術』など。

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インデックス

連載目次
第6回 「勝つ提案」をするための技術
第5回 意外と大事な「会議」の技術
第4回 お客様と良い対話をするための「伝える」技術
第3回 お客様と良い対話をするための「考える」技術
第2回 お客様と良い対話をするための「聴く」技術
第1回 お客さんにとって本当に"良い提案"とはいかなるモノか

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