人間・人生探求の一環として男女関係をテーマとしているライターの春日奈々です。前回は、「夫婦の価値観」について考えてみました。お互いの価値感がズレていると妻は熟年離婚を考える傾向にあるので、妻から三行半を突きつけられる前に話し合って、妻の不満や悩みに耳を傾けてみることをおすすめしました。それでは今回は、いったん離れてしまった妻の心を引き戻す具体的な方法を一緒に考えてみましょう。努力をすれば、きっと妻との関係がよい方向に向かうのではないでしょうか。

まずは妻の心情を理解する努力を! その上で行動に移そう

妻が、我慢に我慢を重ねてきた夫に対する不満をついに切り出してきたら……? それは、夫婦としてかなりの危機的状況にあると思って間違いありません。離婚も辞さない決意が込められていることも十分考えられます。そんな妻の機嫌をとろうと「たまには夫婦水入らずで美味しいものでも食べに行こうか? 」と夫が思いつきでアプローチしても「フン! 」の一言で片付けられてしまうのがオチでしょう。なぜなら、どんなに美味しい料理を前にしても自分の気持ちを理解しようともしない夫と楽しむことはもはやできないと妻は思っているからです。このままでは、遅かれ早かれ熟年離婚は間違いないでしょう。

では、もう手遅れなのでしょうか? このまま離婚するしかないのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。まだ、回避する方法は残されています。今回は、妻の不満に対する具体的な対策を一緒に考えてみましょう。

ケース1 あなたが定年後、家事に協力をせず毎日家でゴロゴロしていたら、以前にも増して、妻が冷たくなった

対処方法……あなたが家事をしないことに妻は不満に思っています。できることからでいいので、これからは積極的に家事に参加しましょう。徐々に妻の態度が和らいできて、「少しは努力を認めてくれたかな? 」と手応えを感じられるようになったら、今度は妻へこんな風に声をかけてみてください。
「家事って本当に大変なんだね。○○(妻の名前)には感謝しているよ。定年後は○○のために何でもできるようになりたいから、これからもいろいろ教えてくれよ」
家事は妻の役割という思い込みを取り去って、妻が抱える家事労働の負担に理解を示すことが大切です。

ケース2 「話をちゃんと聴いてくれない、性生活もない。女として見られていないので離婚をして、他の男性と幸せな再婚をして第二の人生を送りたい」と言い出した場合

対処方法……あなたが妻に対して無関心であることに不満を持っています。妻の話を真剣に聴く癖をつけてください。そして、自分のほうから「昨日の話だけど、どうなった? 大丈夫か? 」といったように必ず声をかけましょう。妻を気遣う気持ちが伝わって、妻との距離が近づく一歩となるはずです。

ケース3 夫が過去に起こした浮気やDV(ドメスティックバイオレンス)、借金騒動。当時妻は、究極の選択で離婚を思いとどまったが、そのことがトラウマとなって、実は今でも許すことができないでいる場合

対処方法……夫の過去のペナルティーがトラウマになっています。あなたは妻に対して、過去に傷つけてしまったことを深く反省していると伝え、これからは愛妻家として生きる決意を伝えてあげてください。「(○○には)苦労をかけたし、済まないことをした。今さらながら本当に反省している。これからは、○○を心から大切にするよ」などと妻に声をかけてみましょう。

ケース4 妻は日頃、あなたの親を介護していたが、「離婚して郷里に帰り、自分の親を介護したい」と言い出した場合

対処方法……あなたの親の介護体制に不安や不満を持っています。あなたは自分の親を介護してもらっていることに対して心から感謝していることを言葉にしましょう。そして、妻の親を介護することを真剣に検討していることを伝えるのです。会話のきっかけとしては、「毎日本当にありがとう。疲れているだろう? ところで、○○のお父さんも同居するか、ここから通えるホームに入居してもらおうか? おまえが側にいれば、お父さん、きっと元気になるぞ」などと声をかけてはいかがでしょうか。もちろん、介護にまつわる問題は非常に難しく、完全な解決策はないかもしれません。しかし、妻の負担や不満に目をつぶってやり過ごすだけではなく、できる限り最善の方法を一緒に検討する姿勢を示すことが重要です。

大切なことは、まず現在起きている問題を直視し、妻の不安や不満に思っていることを理解することです。そして、早期にその対策を立てることが大切です。ただし、難しく考えることはありません。妻に対する思いやりの心を言葉や態度に表して、それに沿った行動をすればよいのです。こうして夫が変われば、フリーズしかかった妻の心を溶かしていくこともできるのではないでしょうか。