今週末はつくばと調布のJAXAが一般公開

JAXAの多くの施設ではふだん展示室を公開しているほか、定期的に一般公開も行っています。今週末は、土曜日の10月15日に筑波宇宙センターが、日曜日の10月16日には調布航空宇宙センターが一般公開されます。

一般公開では、いつもは一般の人が立ち入れないところまで大々的に公開されます。大学の文化祭のようなもので、さまざまな研究や開発の状況や成果が紹介され、そこで仕事をしている研究者や職員から直接説明を受けられます。また小さい子供向けの工作コーナーやスタンプラリーなどもあり、宇宙ファンだけでなく親子連れも多く見かけます。

注意すべきはどちらの会場も基本的に駐車場がないことです。最寄り駅から会場へは少し離れていますが車は利用せず、バスなどで向かいましょう。

筑波宇宙センターはもともとNASDA(宇宙開発事業団)の本部だったこと、調布航空宇宙センターはNAL(航空宇宙技術研究所)の本部だったことを知っておくとよいでしょう。JAXAは2003年、この2つの組織に相模原のISAS(宇宙科学研究所)を加え、「独立行政法人宇宙航空研究開発機構」として誕生しました。3つの組織の性格は、NASDAは宇宙利用、NALは航空技術、ISASは宇宙科学といったくくりで考えればわかりやすいでしょう。

NASDAは宇宙輸送システムとしてのH-IIAロケットを中心に、気象衛星のひまわりや国際宇宙ステーション、その実験モジュール「きぼう」などを開発、運用してきました。宇宙を実生活に役立てるための研究や開発をしているのがNASDAです。

一方NALは、航空技術分野の研究や開発を行ってきました。超音速飛行機などを研究しており、国内最大の風洞実験室など、充実した実験施設を持っています。

そして宇宙に関わる科学的な研究を行っているのがISASです。小惑星探査機「はやぶさ」などの探査機や天文衛星を飛ばして観測することで、宇宙や地球の謎に迫ろうとしています。ISASの一般公開は7月末に行われました。

今はこれらの組織が「1つのJAXA」として、日本の宇宙開発の多くを担っているのです。

7月末に開催されたISASの一般公開にて。写真は大型の恒温槽。宇宙を身近に感じられるイベントだ

ただ見るだけではもったいない。積極的に話を聞こう

一般公開では、JAXAで働いている人と直接話ができます。展示を見ていて疑問に思うことがあったら、そこにいる人になんでも質問してみましょう。

知識がないから気後れするとか、質問が基本的すぎて気分を害してしまわないか、とんちんかんな質問をしてしまわないかなど心配に思うかもしれません。しかし遠慮はいりません。私たちの税金で運営されているJAXAは、どんな仕事をしているかを一般の人に理解してもらうために施設を公開しているのですから、どんどん話を聞いてみるべきです。

なにを聞けばいいのか、なかなか思い浮かばないでしょうか。極端な話、「これはなんですか?」でもいいのです。話のきっかけを得られれば、次の疑問が出てくるでしょう。「これでなにがわかるのですか?」「ほかと何が違うのですか?」「どんな苦労がありますか?」「どんなときがうれしいですか?」「なぜこの道を選んだのですか?」聞けることはたくさんあります。係の人も質問を待っています。せっかくのチャンスですから有効に使いましょう。自分から楽しみを見つけられる人に多くの見返りがあるのが一般公開というイベントです。

トークイベントや「はやぶさ」の帰還カプセルの公開も

JAXAが主催するイベントのスケジュールは、JAXAのWebサイトで見ることができます。10月のスケジュールを見てみると、来週末の10月22日には種子島の増田宇宙通信所の一般公開が、月末の30日には内之浦宇宙空間観測所の一般公開があるとわかります。

JAXAは施設を公開するだけでなく、各地で「宇宙学校」やタウンミーティングといったトークイベントも開催しています。これらのイベントは事前の申し込みが必要なものもありますから、よくチェックしてみましょう。

そのほか、JAXAのイベントスケジュールには記載されていませんが、小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還カプセルが全国を巡回しています。日程は「はやぶさ」特設サイトで見ることができます。地球から1億5000万km離れた小惑星「イトカワ」まで実際に行って帰ってきたカプセルを間近に見れば、宇宙のはるかかなたへ思いをはせることができるでしょう。