ハイレゾ対応のUSB DAC機能を搭載したプリメインアンプ、なかでもPCサイドの設置に向く小型モデルが各社からリリースされている。今回取り上げるクリエイティブメディアの「SoundBlaster X7」(以下X7)も、そういった製品のひとつだ。

「SoundBlaster X7」

スペックは普通のUSB DAC搭載アンプなのだが、やはりSoundBlaster

オーディオ機器としての表面的なスペックだけを見ると、X7は普通のUSB DACアンプだ。DACチップはバーブラウン製のPCM1794で、最大192kHz/24bitまでのハイレゾ音源再生に対応している。パワーアンプはClass Dタイプで、こちらはテキサス・インスツルメンツ製のTPA3116D2を搭載している。最大出力は38W×2(4Ω/1kHz/THD 10%)と、デスクトップで使うには十分な出力だ。スピーカー駆動用のアンプとは別に、独立したヘッドホンアンプも装備しており、こちらはテキサス・インスツルメンツ製のTPA6120A2が使用されている。

外見は三角柱を横にしたような形状で、一般的なオーディオアンプのスタイルからは少々逸脱している。同社ではこのところ、ヘッドホンのハウジングなどに三角形をよく使用している。X7のデザインもその流れなのだろう。

クリエイティブメディアの製品では、このところ三角形のデザインがよく採用されている

リアパネルに配置されている入力端子は、RCAのLINE IN×1に、光デジタル音声×1、Micro USB×1。Micro USBはPCとの接続用だ。リアパネルに配置されている出力端子は、スピーカー出力×1に、光デジタル音声×1、そして5.1chのアナログ出力となっている。5.1chのアナログ出力はアクティブスピーカー向けの出力だ。

背面の入出力端子

フロントパネルにはヘッドホン端子が2系統配置されている。1系統はφ6.3mmのステレオ標準ジャックで、もう1系統はφ3.5mmのステレオミニジャックだ。600Ωまでのヘッドホンをドライブできる。また、φ3.5mmステレオミニジャックのマイク入力端子も装備している。

前面の入力端子と操作ボタン

X7はBluetoothに対応しており、NFCも利用できる。Bluetoothのバージョンは4.1で、対応プロファイルはA2DP、AVRCP、HFP。音声コーデックはSBC、AAC、aptX Low Latency、aptXを利用できる。

ここまで見てピンときた方もいるだろうが、X7は純粋なオーディオアンプではなく、外付けタイプのSoundBlasterにパッシブスピーカーをドライブするためのアンプを組み合わせたモデルなのだ。そのため、操作体系も一般的なオーディオアンプとは異なる。

オーディオ機器としての常識にとらわれないは独自の操作スタイル

X7のフロントパネルには、大きなボリュームのノブとその下に2つのプッシュスイッチが配置されている。スイッチは左側が電源兼Bluetoothボタンで、右側は「SBX Pro Studio」のオン・オフのボタンだ。SBX Pro Studioについては後述する。また、背面パネルにはスピーカーのインピーダンス切り替えスイッチ(4Ω/8Ω)が配置されている。

X7が本体に持つスイッチはこれだけだ。普通のプリメインアンプには備わっている入力切り替えスイッチやトーンコントロールなどは一切見当たらない。さらに。X7にはリモコンも付属していない。

X7の入力は、Micro USB、Bluetooth、S/PDIF、LINE IN、マイクと5系統ある。これらの入力のどれかにプレーヤーなどを接続して音楽再生をスタートすると、普通に音楽が演奏される。では複数の入力から同時に再生を行うとどうなるのかというと、全部混ざったものが再生されるのだ。

下の画面は、PCにX7のドライバーをインストールすると使用できるX7コントロールパネルのミキサー画面だ。不要な入力をミュートすれば、入力の切り替え的なことも実行できるが、その必要があるのは、PCで何らかの音が出る作業をしながら、別の音源を聴きたいといったときぐらいではないだろうか。

X7コントロールパネルのミキサー画面

オーディオ機器の常識的なスタイルからは外れているが、こちらの操作スタイルも不合理なものではなく、慣れればかえって使いやすいと感じる人も少なくないのではないだろうか。

セッティングの画面を開くと、S/PDIFとMicro USBの入力に対しては、ダイレクトモードを使用することができる。また、スピーカー/ヘッドホンの画面では、スピーカーのキャリブレーションを行うことも可能だ。

デジタル入力では、ダイレクトモードを使用できる

スピーカーのキャリブレーションも可能

Bluetoothで接続したスマートフォンからも操作できる

「SB-Axx1」によるコントロール

X7はマルチコアオーディオプロセッサ「SB-Axx1」を搭載している。このSB-Axx1によるサウンド補正を行う機能がSBX Pro Studioだ。

「SBX Pro Studio」のコントロール画面

用意されている項目は、「Surround」「Crystalizer」「Bass」「Smart Volume」「Dialog Plus」の5つだ。Crystalizerは非可逆圧縮音源が失った音楽成分を補間し、ダイナミックレンジの拡張を行うもの。補間するレベルの調整も可能だ。Bassは低域増強レベルのコントロール。クロスオーバー周波数の調整も可能だ。

これらの設定は、PC、またはスマートフォンを接続していなくても維持される。X7のフロントパネルにある「SBX」ボタンで、効果のオンオフを切り替えることが可能だ。また、イコライザー機能も備えているが、こちらはPCやスマートフォンからしかオンオフの操作を行うことができない。

次回はこのX7のサウンド面について、話を進めていきたい。