【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

106 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)

村田修  [2014/07/10]

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この記事では、スマートフォンや音楽プレーヤーに付属するイヤホンからの買い替え対象になりやすい価格帯の製品について、使い勝手や音質などをチェックしている。今回も前回に引き継ぎ、ソニーの「XBA-C10」」を取り上げ、主にサウンド面について話を進めていきたいと思う。

「XBA-C10」の基本的な音の傾向は?

「XBA-C10」

XBA-C10はバランス重視型のモデルというのが、2週間ほど使用して受けた印象だ。シングルBA(バランスド・アーマチュア)モデルなので低域の量感は仕方のない部分があるが、中高域にかけての解像度や伸びのある高域を楽しむことができる。

手持ちのヘッドホンとテストトーンで比較してみたところ、同じソニーの「XBA-H1」との比較では、1kHz以外のすべての周波数でXBA-H1のほうがレベルが高い。同じ自社製のBAドライバーを使用しているにもかかわらず、高域でもXBA-H1のほうがレベルが強く感じられる。

また、オーディオテクニカの「ATH-IM50」と比較してみると、32Hz~125Hzまでの低域ではATH-IM50のほうが明らかにレベルが高い。250Hz~500HzでもATH-IM50のほうがレベルが高いが、その差は少なくなってきている。2kHz~4kHzでは、2本の差はあまり感じられず、8kHz以上では明らかにXBA-C10のほうがレベルが高くなっている。

手持ちのイヤホンと比較してみた

ある意味で当たり前の結果になってしまったのだが、その後、XBA-C10を電車の中で使用する機会があった。その際に、せっかくなのでいくつかイヤーピースを交換して試してみたところ、気づいた点があった。ここでは、それについて触れてみたい。

別のイヤーピースで試してみると……

インナーイヤーヘッドホンの場合、イヤーピースを換えることで、音の傾向や遮音性が変化する。XBA-C10が標準で装備しているイヤーピースは「ハイブリッドイヤーピース」で、製品に付属しているものと同じものがオプションとして「EP-EX11」という型番で販売されている。さらに、製品には付属していないが、「ノイズアイソレーションイヤーピース」もオプションとして設定されている。型番は「EP-EXN50」。どちらもソニーのインナーイヤーヘッドホンで広く使われているイヤーピースだ。

左が「ノイズアイソレーションイヤーピース」で、右が「ハイブリッドイヤーピース」

さらに今回は、Complyのイヤホンチップも用意し、これも含めて比較を行ってみた。なお、XBA-C10やXBA-H1にマッチするComplyのイヤホンチップは「T200」のようだ。Complyイヤホンチップを販売しているエントリージャパンのWebサイトには、各メーカーのヘッドホンやイヤホンとの対応表が掲載されている。そこには、発売から間もないXBA-C10やXBA-H1は掲載されていないのだが、EP-EX11やEP-EXN50を使用する「XBA-1SL」などは掲載されている。これらに対応しているComplyイヤホンチップがT200ということなので、おそらくこれで問題はないだろう。

Complyのイヤホンチップ「T200」

ノーマルのハイブリッドイヤーピースの場合、XBA-C10を装着していないときに比べると少ないが、それでも外の音が普通に聞こえてくる。電車が走行している区間によっては、プレーヤーのボリュームを上げ気味にしないと音楽が聞き取りにくい場合もある。

シリコンフォームイヤーピースを装着すると、特に中高域の外来ノイズが抑制されることに気付く。さらに、低域の量感もアップする。

最後にComplyのT200に交換してみる。T200を装着すると、中高域だけでなく全域にわたって外来ノイズが減衰していることが実感できる。ノイズキャンセリングシステムとは異なり、連続したノイズ以外も減衰させるため、電車内のアナウンスも聞きにくくなる。遮音性は非常に高いといえるだろう。ところが、音の傾向に関しては、シリコンフォームイヤーピースほど低域は強くはならない。感覚的には、ハイブリッドイヤーピースとシリコンフォームイヤーピースの中間ぐらいだ。

「XBA-C10」に「T200」を装着

確かなことはわからないが、おそらくComplyのチップでは、全域にわたって音を吸収減衰させているのではないだろうか。それに対して、シリコンフォームイヤーピースでは、低域を選択的に吸収させないような何らかの工夫がなされている感じだ。これら2つに比べると、ハイブリッドイヤーピースは、音のエネルギーを多少とも外部に逃している感じがする。

Complyチップとの組み合わせで、上位モデルに近いパフォーマンスを発揮

先ほどのXBA-C10とXBA-H1、ATH-IM50で行ったテストトーンでの比較では、イヤーピースはバラバラだった。では、すべてをComplyのTシリーズにしてみたらどうなるのか。改めて試してみた。なお、ATH-IM50には付属のComplyの「T500」を取り付けている。

さて、同じComplyのTシリーズを装着して、先ほどと同様にテストトーンを聞き比べてみた。XBA-C10とXBA-H1を比べてみると、低域では2本に差は感じられない。4kHz以上になるとHBA-H1のほうがややレベルが高く感じられるが、その差はわずかでしかない。

同じComplyのTシリーズで比較

続いてXBA-C10とATH-IM50を比較してみる。標準のイヤーチップでは、ATH-IM50のほうが低域が出ていたのだが、同じComplyのTシリーズを使用してみると、低域の差は感じられなくなった。高域では相変わらずXBA-C10のほうが、レベルが高くなっている。

音楽再生の場合でも、ComplyイヤホンチップとXBA-C10の組み合わせは悪くない。細かいことを言えば、XBA-H1とComplyイヤホンチップの組み合わせに比べると、音の広がりが少し弱く感じられる。また、ATH-IM50とComplyイヤホンチップの組み合わせに比べるとボーカルなど中域の解像度が弱く感じられる。しかし、XBA-C10は低価格なエントリーモデルだ。その点を考えると、非常に高いコストパフォーマンスだといえるだろう。

また、前回取り上げたように、XBA-C10のハウジングはコンパクトで、持ち運びや装着時に邪魔になりにくい。通勤や通学などの際に使用する、いわゆる"デイリーユース"のヘッドホンとしては、なかなか優れたバランスを持ったモデルだといえるだろう。

次回に続く

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
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第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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