【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

103 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)

村田修  [2014/04/09]

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この記事では、スマートフォンや音楽プレーヤーに付属するイヤホンからの買い換え対象になりやすい価格帯の製品について、使い勝手や音質などをチェックしていいる。前回に続き、オーディオテクニカのモニターヘッドホン「ATH-IM50」を取り上げているが、今回は、そのサウンドについて、どのような傾向なのか紹介していきたい。

「ATH-IM50」

まず断っておくが、現在の筆者の環境では、ヘッドホンのサウンドの定量的な測定を行うことはできない。何本かの手持ちのヘッドホンと、そのサウンドの傾向を比較するという形になってしまうことをご了承願いたい。

比較対象だが、1本目は同じオーディオテクニカの「ATH-CK6」だ。かなり前のモデルだが、特徴的なサウンドなので、比較対象に入れてみた。ATH-CK6のサウンドは低域重視タイプだ。ただし、少し前のモデルであり、最近の低域を重視したインナーイヤーヘッドホンのような低域のキレのよさは感じられない。単純に、低域の量が多いという感じになっている。中高域はオーディオテクニカらしいエネルギーの感じられるサウンドで、その結果、パワフルなドンシャリになっている。もう1本は、ソニーの「XBA-H1」だ。ダイナミック型ドライバーとBA(バランスド・アーマチュア)型ドライバーのハイブリッド機で、価格帯は離れてしまうがフラットなサウンドが楽しめるモデルなので、これも比較対象に入れてみたい。

3本のイヤホンで各周波数での音のバランスをチェック

まずは、全体的な音のバランスだ。各周波数のテストトーンを再生し、ほかの2本のヘッドホンと聞こえ方を比較してみた。1本を聞いて、次に別の1本となると、その間に前の音を忘れてしまうことがある。というわけで、ヘッドホン出力を2系統持ったヘッドホンアンプを使用し、2本のヘッドホンの左右チャンネルを同時に聞くという方法を採っている。2本のヘッドホンは効率もインピーダンスも異なるので、1kHzのときに左右のレベルが同じになるようにバランス調整を行い、その後、それ以外の周波数のテストトーンを聞き比べている。

ヘッドホン出力を2系統持つヘッドホンアンプで同時に試聴

1kHzのときに2本のレベルが同じになるようにバランス調整

ATH-CK6とATH-IM50を比較してみると、250Hzまでの低域では、CK6が大幅に強く感じられる。500HzではCK6がやや強く、1kHzではここでレベルを揃えているので当然だが同じ程度。2kHzでも同レベルか、ややATH-IM50のほうが強く感じられる。4kHzでは再びATH-CK6が少し強く感じられ、10kHzまではこの傾向が続き、12kHz以上になると、ATH-IM50側が少し強く感じられた。次に、20Hzから20kHzまでスイープする信号を再生してみると、低域ではATH-CK6、中域ではATH-IM50、高域ではATH-CK6、超高域ではATH-IM50側が強く感じられる。

続いて、XBA-H1とATH-CK6を比較してみた。31.5Hz~250Hzまでと8kHz以上ではXBA-H1のほうが強く感じられる。500Hz、1kHz、2kHz、4kHzではほぼ同レベルだ。ただし、2本の差は、ATH-CK6とATH-IM50の差ほどは大きくはない。

最後に、ATH-CK6とXBA-H1とを比べてみた。すると、31.5Hzと63HzではXBA-H1のほうが強く感じられ、250Hzと500HzではATH-CK6が強く感じられた。1kHzと2kHzはほぼ同レベルで、4kHzでは再びATH-CK6が少し強く感じられる。10kHzまではこの傾向が続き、12kHz以上になると、XBA-H1側が少し強く感じられた。

これらのことから、この3本のうちATH-CK6は、低域と高域に盛り上がりのあるサウンドバランスだということは分かる。ATH-IM50に比べると、XBA-H1も低域と高域に盛り上がりがあるように感じられるが、これはATH-IM50の中域に盛り上がりがあるためなのか、判断は難しい。

ボーカル中心のソースでは、ATH-IM50のリアルさが際立つ

続いて音楽を再生してみる。同じ音楽を再生していても、この3本では、まったく異なった印象を受ける。解像度や音の広がりはXBA-H1が、この3本でもっとも強く感じられる。帯域に関しては、どれも狭くはない。ただし、ATH-CK6はドンとした中低域の印象が強く、中低域よりのサウンドだ。

ATH-IM50は全体的には引き締まったモニター的なサウンドなのだが、その中でも中域の表現力の高さが非常に印象に残る。中域は、レベルの高さだけでなく情報量も多く感じられ、非常にリアルに聞こえる。特にボーカルの生っぽさは抜群で、これは、今回比較したほかの2本にはなかった音だ。

「ATH-IM50」は、リアルなボーカル表現が特徴的

スマートフォンやポータブル音楽プレーヤーに付属してくるイヤホンからのリプレースということを考えると、それまでのイヤホンとは違った傾向のものをチョイスしたほうが、満足度は高いだろう。ATH-IM50は、手ごろな価格ながらも、そういった意味での感動を味わえる1本だ。

次回に続く

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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