【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

93 Bluetoothスピーカーの置き方(2)

 

93/116

スピーカーから発生した音は、ユーザーのいる方向だけでなく、周囲のあらゆる方向に向かう。壁や床、天井、家具などにぶつかった音は、そこで反射する。反射した音もスピーカーから発生した音と同じように、周囲に広がっていく。これは、音のエネルギーが減衰するまで繰り返される。

絵心がなくて申しわけないが、音は直接届くだけでなく、何回か反射して届く

残響は少ないほうが良い?

オーディオ関係で、リスニングルームを作るときに、壁や天井に吸音材を取り付けたりしているのを見たことはないだろうか。これは、吸音材に当たった音がそこで減衰し、反射する音のエネルギーを減らすためだ。部屋での反射が少なければ少ないほど、そのスピーカー本来の音に近いサウンドを引き出すことができる。もっともこれは、ごく一般的なスピーカーの話であって、反射音を意識的に利用する一部のバーチャルサラウンドシステムなどはその限りではない。

ただ、残響が少ないほうが良いというのは、あくまでも一般的なレベルでの話だ。オーディオ機器の測定のために使用される無響室は、この反射を極端に減らした部屋だ。こういった環境では、スピーカーから音を鳴らすと、ユーザーの耳に聞こえるのは直接音だけで、残響音はほぼゼロになる。こういった環境での音の聞こえ方は、普段我々が耳にしているものとは、かなり異なる。

我々のような一般ユーザーにとって、無響室そのものを体験するのは少々大変なのだが、これに近い環境は比較的簡単に体験することができる。最近のPCでは、オンボードでサウンド機能が搭載されていることが多い。これらのサウンド機能では、こういった無響室や、逆に残響の極端に大きい環境をシミュレートする機能が搭載されているのが一般的だ。もともとは、ゲームサウンド向けに開発された機能なのだが、実際に体験することが困難な環境の再現という意味で、興味深いものだ。

REALTEKのサウンドチップ用「サウンドマネージャー」画面

筆者のPCは、FOXCONNの激安マザーボードを使用したものだ。そこには、蟹のマークで有名なREALTEKのサウンドサウンドチップが搭載されている。低価格マザーボードのオンボード音源としては一般的なものだ。読者の皆さんも、REALTEKのチップが積まれているPCを使用されている人は多いのではないだろうか。上の画面は、REALTEKのオーディオマネージャーを起動したときのものだ。「環境」のプルダウンリストボックスを開くと、そこからさまざまな環境を選択することができる。この中の「防音室」を選ぶと、無響室に近いサウンドが体験できるわけだ。

「防音室」を選択

「防音室」を選んで、普段聞いている音楽を聴いてみて欲しい。スピーカーよりも、ヘッドホンで聴いたときのほうが、その部屋の環境の影響を受けないため、効果がはっきりと感じられるはずだ。直接音だけで残響をバッサリと削ぎ落としたサウンドは、サウンド的には正しいのかもしれないが、実際に聴くとなると物足りなさも感じる。逆に、残響の多い環境エフェクト、「石の回廊」あたりを利用してみると、これはこれで音楽再生にはまったく向いていないことがわかる。

残響の多い「石の回廊」は、やはり音楽再生には向かない

部屋の環境が音へ与える影響は大きい

上の例は極端なのだが、残響の多い部屋を"ライブな部屋"、残響の少ない部屋を"デッドな部屋"と呼ぶ。この記事はBluetoothスピーカーの置き方についての話なので、そこまでこだわったリスニング環境について追求する意味はないのだが、一般的な傾向としてオーディオ的には、"デッド"寄りのほうが好ましい。

環境で「部屋」を選ぶと、一般的な部屋でスピーカーを鳴らしたときの残響に近い特性がシミュレートされる。これは「防音室」に比べると残響は感じられるが、聞き苦しいほどではない。しかし、もう少し"デッド"なほうが、リスニング環境としては向いていると思われる。

読者の皆さんの中には、REALTEKのサウンドチップを積んでいない、という人も居ることだろう。しかし、例えばクリエイティブメディアのSoundBlaster系のサウンドカードなどでも、同様のサウンドエフェクトを利用できる。というよりもこちらのほうが元祖だ。

以上はPC上でのシミュレーションの話だが、実際の部屋でも、コンクリート打ちっ放しのデザイナーズマンションなどでは、かなり"ライブ"な環境になってしまう。そうでなくても、フローリングの部屋などではやはり"ライブ"な感じになる。しかし、部屋の環境は部屋の構造だけではなく、家具の有無によっても大きく変わる。家具の全くない部屋では残響が大きくなる一方、多くの家具が配置された部屋では、残響は少なくなる傾向がある。ガランとした生活感の少ない部屋は、"ライブ"な傾向になりがちだ。"ライブ"な部屋では、床にラグを敷くだけでもずいぶんと変わる。また、部屋の角部分にクッションを置いておくというのも一つの方法だ。

フローリングの床に直置きでは、スピーカー本来の性能は出しにくい

さて、部屋がサウンドに与える影響は大きいのだが、スピーカーを設置する設置面もやはりサウンドに大きな影響を与える。設置面がフローリングの床やコンクリートだったりすると、そこで音が反射する。これは、Bluetoothスピーカーのユーザーでも何とかできる範囲の話だ。というわけで次回は、実際にスピーカーを設置する設置面の話に移りたい。

次回に続く

93/116

インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

もっと見る

関連キーワード

人気記事

一覧

新着記事

重さ23g、わずかな頭の動きでポインタが操作できる装着型マウス
[21:12 9/26] パソコン
「夜桜四重奏」着せ替えカバーがシリウスに、次号成田良悟原作の新連載が開幕
[20:46 9/26] ホビー
トヨタの次世代交通システム分析にオラクルのクラウド可視化サービス
[20:37 9/26] 企業IT
小林麻耶、"ゴールが見えない闘い"に苦悩も「今を大切に一歩一歩前に」
[20:35 9/26] エンタメ
バルミューダ、注ぎ心地にこだわった「小さくて美しい」電気ケトル
[20:18 9/26] スマホとデジタル家電