【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

92 Bluetoothスピーカーの置き方(1)

 

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スマートフォンなどと手軽に接続することができるBluetoothスピーカーは、2012年に大きく普及した製品ジャンルの一つだ。Bluetoothスピーカーは、使用時の手軽さだけでなく、再生機器とケーブルで接続されないため、設置の自由度が高いという特徴も持ち合わせている。

ただし、「設置場所を選ばない=どこに置いても構わない」ということではないという認識は、あまり浸透していないように思われる。置き方や置く場所が違えば、出てくる音も当然変わってくる。

もちろん、現状のBluetoothスピーカーは、徹底的に音質を追求して行くようなピュアオーディオ製品ではない。しかし、ちょっとした工夫で、そのサウンドをより引き立たせることは可能だ。そして、レイアウトフリーというBluetoothスピーカーのメリットは、こういったカットアンドトライにも非常に向いている特性だといえる。

Bluetoothスピーカーといっても、大きいものは薄型テレビ向けのバースピーカーのようなものから、小さいものでは手のひらに収まるものまでさまざまだ。また、構成も、2.1chからモノラルまであり、これらを全て同一に考えることはできない。ここでは、一般的(だと思われる)なワンボックスタイプのキャビネットにステレオスピーカーが搭載されたタイプの製品を想定している。

クリエイティブメディアのBluetoothスピーカー「D80」

写真の製品は、本コラムでも度々登場している、クリエイティブメディアの「Creative D80」だ。フルレンジユニットを2本使用したワンボックスタイプの製品で、キャビネットはリアバスレフ式だ。同社のBluetoothスピーカーのなかでもエントリークラスのモデルで、とくに凝った機構は採用されていない。

理想的なリスニングポイントは

ステレオスピーカーの場合、左右のユニット間の距離を一辺とした正三角形の頂点が、理想的なリスニングポイントだとされている。しかし、多くのワンボックスタイプのBluetoothスピーカーと同様に、D80の左右のスピーカーの間隔は狭い。実測値ではユニットのセンター間の距離はおよそ22cmだ。つまり、スピーカーから20cm弱程度の距離で聴くのが、正しい位置ということになる。これは、非現実的だ。

左右のスピーカーの間隔をユニットの中心から測ると、約22cmだった

距離が離れるとどうなるか。

人間の脳は、左右のスピーカーから発した個々の音が耳に音が届くまでの時間差や音量の差で、立体感を認識することができるのだが、スピーカーが離れた場所にあればあるほど、左右のスピーカーのリスナーからの角度に差がなくなってくる。そのため、立体感が感じられにくくなる。

実際に試してみると、D80の場合、50cmくらいまでは立体感を明確に感じられるが、1mぐらいからはだんだん立体感がなくなり、1.5mを超えるとほとんど認識できなくなる。

もっとも、Bluetoothスピーカーの場合、常にスピーカーに正対して音楽を聴くわけではない。名にらかの作業をしているときに、BGM再生用として使用するといったケースも多いだろう。そういった場合、立体感にはそれほどこだわる必要はないのかもしれない。

一方、あまり現実的ではないのだが、距離が近すぎた場合にはどうなるだろうか。スピーカーには、指向性がある。低域では指向性は弱く、高域になればなるほど強くなる。スピーカーからの角度が大きくなりすぎると、高域が減衰して聞こえてしまうことがある。もっとも、今回使用しているD80は指向性があまり強くはないため、これが問題になるケースは少ない。

距離が近くなっても音質に大きな変化がないということは、スピーカーからの角度が変わっても、あまり大きな変化がないということになる。

縦方向の指向性

さて、指向性は、左右だけでなくて上下に対しても存在している。同社のスピーカーでは、かつて上下の指向性がややシビアな製品が存在していた。D80はそこまで極端ではないながらも、やはり上下方向の指向性は存在する。バッフル面から上下に45度程度離れた角度で聴くと、正面から聴いていたときに比べて中高域が減衰しているのが感じられる。

シングルユニットのスピーカーシステムでは、スピーカーユニットをリスナーの耳の位置に揃えるとよいとされている。また、2Wayシステムではツイーター、3Wayシステムではミッドレンジあるいはスコーカーが耳の位置に来るように設置する。

ただし、これはバッフル面が垂直の場合だ。ハイエンドなスピーカーシステムでは、各スピーカーユニットからリスナーまでの距離や方向が等しくなるようにバッフル板を曲面にしたり、特殊なスタンドによってスピーカーを傾け、各スピーカーからリスナーからの距離を等しくできるようにしたモデルも存在する。Bluetoothスピーカーに、そこまでの工夫をした製品は存在しないが、バッフル板が斜め上を向いているケースは少なくない。D80もそのタイプだ。これは、耳よりも下にスピーカーを設置した際に、スピーカーがリスナーの方に向かうための構造で、コンパクトスピーカーにはよく見られる。D80ではバッフル面が約10度傾いている。

バッフル板は約10度上に傾いている。コンパクトスピーカーではよく見られるスタイルだ

天井近くに設置したり床に直置きしたりして、バッフル板の延長線上からあまり外れると、音域が狭く感じられることがあるかもしれない、もっとも床に直置きした場合には、指向性の問題よりも、床面からの反射のほうが大きな問題になる。これについては、次回以降で話を進めるつもりだ。

ここまでは比較的指向性の少ない、D80というスピーカーを例に上げて話を進めてきたが、読者の方が使用しているBluetoothスピーカーが指向性の強いものだった場合、設置の際には、より左右の向きと高さについて配慮する必要があるだろう。

次回は、スピーカーが設置される環境について、さらに話を進めていきたい。

次回に続く

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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