ソニーの「SRS-BTD70」は、Bluetooth 3.0に対応したワイヤレススピーカーだ。6月28日のニュース記事でも書いたように、7月20日に発売されたばかりの新製品だ。今回、製品をお借りしたので、レポートしたいと思う。

ソニーのBluetoothスピーカー「SRS-BTD70」

500mlペットボトル並みのコンパクトサイズとシンプルな操作体系

システムの構成は2.1chで、アンプはデジタル方式。実用最大出力は5Wだ。キャビネットは左右が非対称形状のワンボックスタイプ。左右のスピーカーの間にサブウーファーが配置されており、フロントパネル中心の下側に開口部が設けられている。Bluetoothのプロファイルは、A2DP、 AVRCP、コーデックはSBCに対応する。また、SCMS-T方式のコンテンツ保護に対応しており、ワンセグなどの音声を聴くことも可能だ。なお、SRS-BTD70のBluetoothのバージョンは3.0だが、それ以前のバージョンの機器ももちろん接続することができる。

フロントパネルの下部にサブウーファーの開口部が設けられている

操作部分は右側にまとめられている。操作パネルはシンプルで、配置されているボタンは、電源スイッチ、ボリュームのアップ/ダウン、入力切り替え/ペアリングのみだ。電源スイッチは機械式のスライドスイッチで、「OFF」の位置にしている場合、待機電力は発生しない。入力切り替え/ペアリングボタンは、短く押すとBluetoothとアナログライン入力との切り替えが行え、長く押すとBluetooth機器とのペアリングが行える。ボリュームは、Bluetoothで接続されている機器だけでなく、ライン入力で接続されている機器の音量もコントロールできる。

シンプルな操作パネルは、本体の右側に

本体背面には、3.5mmステレオミニジャックの外部入力端子、ACアダプター接続用のDC INが配置されている。また、SRS-BTD70は電池での動作も可能で、電池ボックスは背面に配置されている。使用する電池は単3形×3本。写真ではアルカリ電池が使用されているが、Ni-MH(ニッケル水素)充電池も利用可能だ。

背面には、DCジャックと外部入力端子を装備。電池ボックスも装備する

ACアダプターは小型だが、プラグの折り畳み機構などは備えていない

ACアダプターは、単3形電池と比較した上の写真でも分かるように、かなり小さい。ただし、コードの巻き取り機構や、プラグの折り畳み機構などは搭載されていない。

本体のサイズはW206×D77×H63mmで、500mlのペットボトルと比較したのが次の写真だ。SRS-BTD70のほうがわずかに大きいが、だいたい同じサイズだと思って間違いない。なお、写真ではSRS-BTD70を縦に置いているが、これは比較のためで、SRS-BTD70は縦置きでの使用には対応していない。製品にはキャリングポーチが付属する。キャリングポーチには、500mlのペットボトルを入れることも可能だ。「だから何だ」と言われても困るが……。

500mlのペットボトルとのサイズ比較

付属のキャリングポーチにSRS-BTD70を収納したところ

2.1chながら低域の迫力よりも中高域の伸びと全体のバランスを重視したサウンド

SRS-BTD70は、フルレンジユニットとサブウーファーを組み合わせた2.1chのシステムだ。こういったスタイルから、同じサイズのスピーカーに比べて、低域を強調したサウンドを予想する人もいるかもしれない。

しかし実際に聴いてみると、良い意味で予想を裏切るサウンドだった。もちろん、低域が出ないというわけではないが、重低音ばかりを主張するようなサウンドでは決してない。使用しているアンプの特性もあるのだろうが、低域から高域まで伸びる再生レンジの広さが特徴的だ。

また2.1chではあるものの、サブウーファーが左右のユニット間に配置されていることで、音域による定位のズレが少ないことも、音楽を心地良く聴く上でプラスに働いている。とにかく、フルレンジユニットとサブウーファーとのバランスが絶妙で、まるで広帯域なフルレンジユニットを使った2chのシステムを聴いているかのような感じだ。

以下、測定結果のグラフを掲載したい。測定方法は単純で、Bluetooth経由でsin波を再生し、その出力を測定しているだけだ。1kHzで-12dBになるようにボリュームを設定し、他の周波数のレベルを測定している。

200Hz

440Hz

4kHz

8kHHz

10kHz

16kHz

20kHz

SRS-BTD70でホワイトノイズを再生したところ

「Creative D80」でホワイトノイズを再生したところ

4kHzでは高調波の影響からか間違ったピーク周波数が表示されているが、それ以外では、200Hz~16kHzまでピークの周波数が正しく表示されているのが印象的だ。さらに、20kHzのsin波を再生した際のグラフでも、ちゃんと20kHzの所に山が発生している。これは、今まで測定してきたBluetoothスピーカーにはなかったことだ。同じ条件でクリエイティブメディアの「Creative D80」で測定してみたところ、正しくピークが表示されたのは200Hz~4kHで、sin波の所に山が表示されていたのは、10kHzまでだった。

両者のホワイトノイズを再生したグラフを見てみると、低域に関してはそれほどの差はないのだが、D80では発生していた4kHzを超える辺りからの落ち込みがSRS-BTD70では見られず、高域までフラットに伸びていることが分かる。

SRS-BTD70は、サイズや価格的には、好きな場所に持ち運んで気軽に音楽を聴くのにピッタリのBluetoothスピーカーだといえるだろう。しかしそのサウンドは、いわゆる"お手軽な"製品というイメージではない。

確かに、総合出力5Wというパワーは、広いスペースでは音量不足を感じさせるかもしれない。しかしそのサウンドには、「それはさすがに大袈裟ではないか」を思われる方も多いかもしれないが、"ポータブルタイプだから"という割り切りは感じられない。