【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

85 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)

村田修  [2012/04/27]

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今回は、オンキヨーの「SBX-200」についてお届けしたい。最初にお断りしておくが、SBX-200は、純粋なBluetoothスピーカーというわけではない。本体前面にiPad/iPhone/iPod対応の格納式ドックコネクタを備え、ドックスピーカーとしても利用できるモデルだ。

今まで明言していなかったが、この「スマートフォンに適したBluetoothスピーカー」編では、Android OSを採用したスマートフォン用のBluetoothスピーカーを取り上げる趣旨で執筆している。では、なぜ取り上げるのかというと、SBX-200がドックの利用を中心としたスピーカーにはなっていないためだ。つまり、Android端末のユーザーでも違和感なく使用できて、ドックについてはメインで使うことが想定されていない製品であるように筆者には感じられたのである。なお、本製品はドックコネクタ以外にもオーディオ入力(LINE IN)も備えている。

幅45cm、存在感があるスタイルの「SBX-200」

iPad/iPhone/iPodに対応したコネクタを装備する

さらに、他のBluetoothスピーカーに比べて、明らかにサイズが大きいという点も、取り上げてみたくなった理由のひとつではある。非常に基本的な話で恐縮だが、スピーカーは、現実的な範囲では、大きければ大きいほど音が良いという"傾向"がある。コンパクトでもよい音だと評価されているスピーカーもあるではないかと言われるかもしれないが、それはたいていの場合、「サイズのわりに」という一言が省略されていると考えたほうがよい。SBX-200も、単品のスピーカーに比べれば、やはりキャビネットのサイズには限界があるし、ワンボディという制約もある。しかし、今まで試聴してきたコンパクトタイプのスピーカーとは違った方向性が期待できる。

手前は「Creative D80」

SBX-200のサイズはW450×D131×H176mm。上の写真では「Creative D80」とサイズを比較しているが、450mmという幅は、HDDレコーダーやAVアンプなどの一般的なAV機器よりもよりもわずかに広いことになる。本体上部は、アルミのバーとなっており、本体の剛性確保と同時に、持ち運びの際のグリップとしても利用できる。比較的余裕のあるキャビネットはバスレフ方式で、搭載されているユニットは、10.5cm径のフルレンジ×2。アンプの定格出力は24W×2だ。

操作関係は本体右側面にまとめられている

操作パネルは、本体の右サイドにまとめられている。一番上が電源のオン・オフで、下に向かって「INPUT」「VOLUME」「S.BASS」「PARING」(Bluetooth)と並んでいる。一般的な操作は付属のリモコンからも行うことができるが、Bluetooth機器とのペアリングは、ここに配置されたPARINGボタンを使用することになる。

今までこのコラムで紹介してきたスピーカーとSBX-200で、操作の異なる点が1つだけある。今まで紹介してきたスピーカーは、電源を入れると、とりあえずBluetooth機器が接続できる状態になっていた。それらは、入力をBluetoothだけしか持たない、あるいは補助的にアナログ端子を1系統持つ程度のスピーカーであり、ファンクションの切り換えについてはそれほど考える必要はなかった。メインで使うと考えられるBluetoothを優先しておけば問題はないわけだ。

それに対してSBX-200は、ドックコネクタも装備しているスピーカーだ。入力を3系統持っていることになる。そのため、どれかを優先させるというようにはなっていない。Bluetooth機器を使うには、まずはペアリングを行う必要があるが、そのための手順は(1)「入力をBluetoothに切り換える」→(2)「PARINGボタンを押してペアリングモードに入る」となる。なお、その後の操作はリモコンかスマートフォンで行うことになるので、特に不便ということはない。慣れの問題だ。

入力がiPad/iPhone/iPodの場合には白、Bluetoothでは青、LINE INの場合には緑に点灯する。

さて、実際にそのサウンドを聴いてみよう。ソースとして使用しているのは、今までと同様に、スマートフォンに保存したMP3形式の音楽ファイルだ。まず、ワンボディタイプのシステムでありながら、音の広がりがかなり感じられることに驚かされる。ワンボディのスピーカーの場合、近い距離で聴かないと音の立体感が得にくいが、SBX-200では至近距離で聴かなくても、ライブ音源などで高い臨場感を感じられる。これまでこのコラムで聴いてきたシステムのなかで、臨場感の高さに関しては、他の追随を許さない感じだ。

また、中低域の質感の高さも特徴的だ。前回は、クリエイティブメディアのD100を試聴した。D100は、D80に比べて中低域のクリアさが引き立っていたが、SBX-200はそれをさらに上回る。おそらく使用されているアンプの差によるものだろう。ただし、中高域に関しては、D100のほうが聴きやすく感じられた。

SBX-200には、低域を強化する「S.BASS」機能が搭載されている。S.BASSには「Super Bass 1」「Super Bass 2」の2つのモードがある。聴いてみるとその差は明確で、Super Bass 2のほうが、より低域のエネルギーを感じる。

左から「ノーマルモード」「Super Bass 1」「Super Bass 2」。モードを変えると音の傾向は大きく変化する

この点を踏まえたうえで、SBX-200の特性を測定してみよう。測定の方法は従来と同じで、1kHzの時に-6dBになるように設定して、他の周波数の時のレベルを計っている。測定している周波数は100Hz、440Hz、1kHz、2kHz、4kHz、8kHz、10kHz、12kHzだ。

100Hzのときのグラフ。左から「ノーマルモード」「Super Bass 1」「Super Bass 2」

100Hzのグラフでは、ノーマル状態で-6dBという数値が出ている。ピークの周波数は132Hzで他の周波数も混ざっているようだ。Super Bass 1にすると、-12dBとなる。Super Bass 2では-35.4dBだ。ただし、両方とも他の周波数が混ざっているようで、実際に聴いた感じでは、明らかに「ノーマル→Super Bass 1→Super Bass 2」の順でレベルが強く感じられる。

440kHz・2kHz・4kHzでは、明確な差はなかった

440Hzでは-10dB前後、2kHzでは-1dB前後、4kHzでは-14dB前後と、3つのモードにほとんど差が現われなかった。

8kHzのグラフ。左から「ノーマルモード」「Super Bass 1」「Super Bass 2」

10kHzのグラフ。左から「ノーマルモード」「Super Bass 1」「Super Bass 2」

8kHzでは、ノーマルモードが-14.2dB、Super Bass 1が-16.2dB、Super Bass 2が-16.6dBと、低域が強いモードになるほど、この帯域は抑えられていることが分かる。

ところが10kHzになると、ノーマルモードとSuper Bass 1が-45dB前後であるのに対して、Super Bass 2モードでは-37dB程度と、他のモードよりも上回っている。

12kHzでは、3つのモードいずれも-35dB前後だった。3つのモードは、ここで測定した結果だけを見ると、単純に、「ノーマル→Super Bass 1→Super Bass 2」という順に低域を強くしているというだけではなさそうだ。

ホワイトノイズを再生したときののグラフ。左から「ノーマルモード」「Super Bass 1」「Super Bass 2」

筆者の測定環境は不正確なものなので、これだけでは判断できないのだが、SBX-200のサウンドは、中域を少し抑え気味にすることで、低域と高域にエネルギー感を持たせているのではないだろうか。そしてその傾向が一番強くなるのが、Super Bass 2というように感じられた。

いずれにせよ、SBX-200は、モードの切り換えによって、大きく変わるサウンドの傾向を楽しむことができるシステムだ。ワンボディタイプのスピーカーでダイナミックなサウンドを楽しみたいという人だけでなく、さまざまなジャンルの楽曲を聴く人にも、なかなか面白い製品だといえるだろう。

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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