このところ、サッカーや野球、格闘技、モータースポーツなどが、地上波で放送される機会が減少している。BSでは、それなりに放送が行われているのだが、やはり多チャンネルのサービスが気になるという方も多いのではないだろうか。今回は、地域差がなく国内どこでも利用できるスカパー!についての現状をまとめてみた。

スカパーJSATでは「スカパー!HD」、「スカパー!e2」、そして「スカパー!光」の3種類のサービスを展開している。スカパー!HDは、従来より展開しているスカパー!の延長線上にあるもので、2つの衛星(東経124度のJCSAT-4Aと東経128度のJCSAT-3A)を使用したサービスだ。従来はMPEG-2を用いていたエンコードを、MPEG-4 AVC/H.264で行って圧縮率を向上、ハイビジョンチャンネルも放送されている。現在、スカパーHD!のハイビジョンチャンネルは89chで、10月以降は120ch以上に増加する。受信には専用のチューナーとアンテナが必要だ。スカパー!e2は、東経110度のN-SAT-110を使用したサービス。3波チューナーを搭載したテレビあるいはレコーダーと、110度CS放送に対応したBSアンテナがあれば(よほど古いアンテナでなければ基本的に対応している)、ハードウェアに追加投資することなく視聴することが可能。さらに、スカパー!e2では、テレビCMなどでも告知されているように、この10月から新チャンネル「BSスカパー!も」追加される(2012年9月30日までの間、e2に契約したユーザーは、ch.241のBSスカパー!を無料で視聴すことができる)。新BSは、従来のBSアナログ放送が利用していた帯域を利用する放送で、現行のスカパー!e2と同様に3波対応のテレビ、レコーダーの場合、ハードウェアに追加投資することなく視聴することが可能だ。110度CSと新BSとを足した10月からのチャンネル数は、ハイビジョンは19で、SD放送は48。来年3月からはハイビジョンが22に、SDが47となる。スカパーHD!とスカパー!e2でチャンネル数に差があるのは、スカパー!HDでは2基の衛星から2種類の偏波方法で電波を送っているため計4種類の電波を利用できるのに対して、スカパー!e2では1基の衛星から1種類の偏波方法で電波を送っているという事情による(N-SAT-110では2種類の偏波方法を利用しているが、スカパー!e2が使用しているのは1種類のみ)。スカパー!光は、スカパーJSATグループのオプティキャストが運営するサービスで、NTT東日本/西日本のフレッツ光を使用している環境ならば利用できる。こちらはスカパー!HDと同様に、専用チューナーが必要だ。

シャープの「BD-W2000」。スカパー!HDを含む、現在放送中の番組をネットワーク経由で伝送するDLNAサーバー機能を持つ

ソニーの「BDZ-SKP75」スカパー!HD録画に特化した連続録画アルゴリズムの採用で、同じ番組を繰り返して録画しない

番組録画に関しては、3波チューナーを搭載したレコーダーならば普通に録画ができるスカパー!e2が最も手軽ということになる。スカパー!HDとスカパー!光は、スカパー!HD録画に対応したレコーダーとチューナーとをLANケーブルで接続し、チューナー側からの操作で録画予約を行うという手順になる。また録画はDR(TS)モードのみで、長時間モードは利用できなかった。「できなかった」と過去形で記述したのは、この秋に各社が相次いで発表している、スカパー!HDチューナーを内蔵したレコーダーを使用すれば、これらの制限は存在しなくなるからだ。各社のレコーダーは、スカパー!HDの利用に関してそれぞれ特徴がある。シャープの「BD-W2000」「BD-W1000」「BD-W500」では、ホームネットワーク機能(DLNAサーバー)の内蔵が大きな特徴。録画した番組だけでなく、放送中の番組のネットワーク経由の伝送にも対応している。搭載されているチューナーは、地上/BS/110度CSデジタル×2+スカパー!HD×1の計7基。これらのうち、その時点で録画に使用していないチューナーからの信号をネットワーク経由で伝送するというものだ。スカパー!の場合、受信機1台ごとの契約が必要になるが、この機能を使用すればスカパー!HDの録画中以外は、契約していないテレビでもスカパー!HDを視聴することが可能だ。ソニーの「BDZ-SKP75」は、「シリーズ番組の同一話重複録画回避」機能の搭載が大きな特徴。スカパー!では、連続ドラマなど、同じ番組がリピート放映されるケースが少なくない。一般的には、リピート放映されている番組を番組名で自動録画すると、同じ番組が何回も録画されてしまう。同機能は、録画済みの番組はスキップして未録画の番組のみ自動録画を行うというものだ。さらに、番組の途中から録画しような場合には、その回のみ再放送分を正しく録画する。なお、ここに挙げたシャープ、ソニー両社のレコーダーは、いずれも外付けUSB接続HDDへの録画機能を搭載しているが、シャープのBD-W2000/1000/500ではUSB接続HDDへはDRモードでのみ録画可能で、ソニーのBDZ-SKP75では長時間モードの利用も可能だ。スカパー!光に関しては、現時点ではチューナーを内蔵したレコーダーは存在しておらず、従来スカパー!HDでの録画が持っていたのと同様の制約が存在する。

というわけで、内蔵チューナー搭載レコーダーの登場で、より便利になったスカパー!HDだが、各社のモデルとも、地上/BS/110度CDデジタルチューナーは複数搭載しているのに、スカパー!HDチューナーは1基のみだ。リピート放映が多いとはいえ、とにかくチャンネル数が多いいのがスカパー!HDだ。スカパー!HDチューナーも複数搭載したモデルというのがあってもよいような気がする。