【コラム】

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76 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」

村田修  [2011/08/18]

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今回は、8月4日に発表されたヤマハのヘッドホン「HPH-200」のレビューをお届けします。刺激の少ない自然なサウンドが、なかなか好印象な1本です。

コンパクトなオープンエア型ヘッドホン「HPH-200」。ナチュラルなサウンドと、装着感が特徴というが……

まずは、製品の概要をさらってみましょう。HPH-200は、オーバーヘッドタイプのオープンエアー型ヘッドホンです。コンパクトなヘッドホンに比較的よくある耳乗せタイプで、ハウジングは右側が時計回りに、左側が反時計回りに回転します。ハウジングを90度回転させればフラットな状態になるので、持ち運びがラクです。ただし。ヘッドバンドの折り畳み構造などは採用されていません。ハウジングは縦方向にも回転し、180度回転させれば片耳だけで聴くことも可能です。

コードはY字型で、長さが1.2m。プラグは3.5mmステレオミニプラグ(L字タイプ)。パッケージには2mの延長コードと、ステレオ標準プラグへの変換アダプターが付属します。ドライバーは40mmと大口径で、インピーダンスは48Ω。最大入力は100mWと比較的高めです。再生周波数帯域は20Hz~20kHz、製品の質量は180g。価格はオープンで、推定市場価格は1万5,000円前後となっています。

ハウジングの外側は、金属メッシュとなっている

ハウジングは、縦横に回転させることが可能

この製品は8月下旬発売で、さらに同社がヘッドホンをリリースするのは約30年ぶりであるため、とりあえず店頭で聴いてみて判断するということがなかなか難しいわけです。そのブランドから既にいくつかの製品がリリースされているのならば、音の傾向などをある程度推し量ることも可能ですが、同社のヘッドホンは現在において、このHPH-200と同時発表されたインナーイヤータイプの「EHP-100」以外には存在しません。というわけで、実際に使ってみた感想を、筆者なりにまとめてみたいと思います。

このところ、ソニーの「XB」シリーズや、オーディオテクニカの「SOLID BASS」シリーズなどのように、低域の表現能力をとくに強化したクラブサウンド向けのヘッドホンが注目を集めています。しかしHPH-200は、それらとはまったく別の方向を向いたヘッドホンだといえます。例えば、低域の再生能力を強化したヘッドホンで音楽を聴くと、刻まれているリズムがサウンドのほとんど……とまではいきませんが、かなりのウェイトを占めることになります。それに対して、HPH-200で同じ曲を聴くと、どちらかというと、メロディラインが強調されたサウンドになります。ボリュームの大小にかかわらず、この傾向は変わりません。ボリュームを大きくすると、中高域がさらに前に出てくるような感じになります。

HPH-200は、全体的に刺激の少ないサウンドを持つモデルだといえるでしょう。また、ガチガチの定位や、超高解像度を求める製品ではありません。ただし、音楽の繊細さは伝わってきます。音楽を純粋に聴くためのモデルということなのでしょう。同社のアンプやプレーヤーなどにも共通する傾向です。同社では、よくナチュラルサウンドという言葉を使用していますが、これは何も加えない自然なサウンドという意味ではなく、自然に聴こえるようにするために最大限の努力をしたサウンドという意味ではないのでしょうか。いずれにせよ、とくにボーカルと、アコースティックな弦楽器の再現性は高いという印象です。

続いて装着感ですが、イヤーパッドの固さは低反発枕よりも少し固い程度といったところで、表面にはベロア生地を使用しており、耳へのフィット感は悪くありません。ただし、側圧はそれなりにあります(例えば、同じ耳乗せタイプでオープンエアー型のゼンハイザーの「PX100」などに比べると、明らかに強め)。しかし、このイヤーパッドと表地の効果でしょうか、最初のうちこそ少し側圧を感じましたが、長時間装着していても耳が痛くなるということはありませんでした。

イヤーパッドの表地はベロア生地を採用。長時間の装着でも耳への負担は少ない

オープンエアータイプという構造から、外部のノイズを遮るといったことはありません。室内で使用している場合でも、エアコンの音やPCのファンの音などが普通に聴こえてきます。電車やバスなどの中などで使用する場合は、ある程度音量を上げる必要があるでしょう。

ヘッドホンで音楽を聴くときには、つい大音量になってしまうもの。ですがHPH-200の場合は自然な中域をメインとしたバランスとなっており、それほど音量を上げなくても音楽に入り込むことができます。移動中に使用するよりも、室内でリラックスして音楽を聴く際に使用するといった用途で、その本領を発揮するモデルという印象を受けました。

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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