「RM-PLZ430D」のレビューを行ったばかりなのですが、その上位機種、「RM-PLZ530D」が発売されました。これを見逃すわけにはいきません。現在の同社の学習機能付きリモコンは、対象となるリモコンの信号を受けることで、メーカーコードを呼び出す「一発!初期設定」や、メーカーコードを呼び出しただけでは登録されない機能を簡単に追加できる「かんたん学習」機能などを特徴としています。

テレビ+7種類の機器のコントロールが可能な学習機能付きリモコン「RM-PLZ530D」。カラーは、3色用意されている

RM-PLZ530Dは、同社の学習機能付きリモコンのフラッグシップモデル。RM-PLZ430Dが、テレビ+4台の機器のコントロールに対応していたのに対して、RM-PLZ530Dでは、テレビ+7台の機器のコントロールに対応しています。操作切換ボタンは、RM-PLZ430Dでは[TV][チューナー][BD][DVD][AMP]となっていますが、RM-PLZ530Dでは[TV][チューナー][DVD][BD][PC][カメラ][照明][AMP]です。操作対象が増えたことに伴い、リモコンにあらかじめ登録されているメーカーコードも増やされ、新たに同社のVAIO、デジタルフォトフレーム、ハンディカム、サイバーショット、Apple社のMac、Apple TVが追加されています。操作切換ボタンは増えていますが、本体サイズは大型化しておらず、また、ボタン数も75で、RM-PLZ430Dの74から1つしか増えていません(操作切替ボタンが3個増えているが、[字幕][番組説明]ボタンが削除されている)。機能面では、これ以外に「プチマクロ」の追加が大きな特徴です。プチマクロは、5ステップまでのマクロを、基本ボタン([SET][操作切替][シフト][システムコントロール]以外のボタン)に登録できるというものです。5ステップなので、あまり長い操作は登録できませんが、マニュアルによると、スカパーの3桁のチャンネル入力を1ボタンで行うといった用途が想定されているようです。

また、RM-PLZ430Dでは、本体の裏側は表面と同系色のブラックになっていましたが、RM-PLZ530Dでは、シルバー/ブルー/レッドの3種類が用意されており、形状も角ばったスタイルから、ラウンドしたスタイルに変更されています。

「RM-PLZ530D」のサイズやボタンの数などは、「RM-PLZ430D」とさほど変わらない

マクロを使って、複数の機器をコントロールする

新機能のプチマクロ以外にも、同社の学習機能付きリモコンには、複数の操作を登録できるマクロ機能が2種類搭載されてます。ひとつが、操作切替ボタンに登録する「コンポーネントマクロ」で、これは、操作切換ボタンを長押しした際に実行されます。もうひとつが「システムコントロールマクロ」で、リモコンの一番下に配置されている[A]~[D]の4つのボタンを押した際に実行されるものです。どちらも、16ステップまでの処理を登録可能です。

コンポーネントマクロは、8つある操作切換ボタンに登録する

システムコントロールマクロは、[A]~[D]の4つのボタンに登録する

コンポーネントマクロの基本的な設定方法は、以下のようになります。

[SET]ボタン→[ホーム/メニュー]ボタン+[操作切換]ボタン→実行させる操作→[SET]ボタン

システムコントロールマクロの場合は

[SET]ボタン→[ホーム/メニュー]ボタン+[A]~[D]ボタン→実行させる操作→[SET]ボタン

です。

ただし、マクロを使用する上で、いくつか注意点があります。コンポーネント/システムコントロール、いずれのマクロの登録も、最初に[SET]ボタンを2秒以上押すことからスタートします。2秒以上[SET]ボタンを押すと、[SET]ボタンの隣にあるランプが点滅します(だいたい1秒周期ぐらい)。

続いて、[ホーム/メニュー]ボタンと、コンポーネントマクロの場合は記憶させたい操作切換ボタン、システムコントロールマクロの場合は[A]~[D]までのボタンを同時に押す、とマニュアルには書かれていますが、実際には先に[ホーム/メニュー]ボタンを押して、そのまま、操作切替ボタン、または[A]~[D]ボタンという感じで押します。ちょっとしたことですが、マクロの登録モードに入ることができない場合は試してみてください。

正常にマクロの登録モードに入れた場合、[SET]ボタンの横のランプは点灯したままになります(コンポーネントマクロの場合には、指定した操作切替ボタンも点灯します)。入れなかった場合は、[SET]ボタンの横のランプは、約1秒周期で点滅したまま(同時に押した場合)、あるいは、約0.5秒周期で点滅します([ホーム/メニュー]ボタンよりも先に操作切替ボタン、または[A]~[D]ボタンを押した場合)。また、ボタンを同時に押した場合には、「ピーピー」と警告音が鳴ります。正常にマクロの登録モードに入ったら、あとは実行させたい手順を、順に押していき、最後に[SET]ボタンを押せばばOKです。正しくマクロが登録されると、[ピー]と音が鳴り、[SET]ボタンの横のランプは消えます。

実行させたい機能を登録する際にも、注意しておく点があります。マクロの登録モードに入った時点では、リモコンは、操作する機器が決められていない状態です。そのため、最初に操作切り換えボタンで、どの機器を操作対象にするのかを設定する必要があります。例えば、テレビの電源をオンにしたい場合、操作切り換えボタンの[TV]→[電源]という手順になります。[TV電源]ボタンでもOKですが、この場合でも、[BD(どれでもよい)]→[TV電源]ボタンといったように、操作対象を決めた後でないと、[TV電源]ボタンを登録することはできません。最初に操作切替ボタン以外のボタンを登録しようとした場合も、「ピーピー」と警告音が鳴ります。この2点を覚えておけば、とりあえず、コンポーネント/システムコントロールマクロの設定は可能です。

RM-PLZ530Dのマニュアルには、コンポーネントマクロの例として、テレビとBDレコーダーが接続されている環境で、テレビの入力をBDレコーダー側に切り換えて、BDの録画リストを表示するというマクロを登録する方法が書かれています。その方法は、

[SET]ボタン→[ホーム/メニュー]+[BD]ボタン→[TV]ボタン→[TV入力切換]ボタン→[BD]ボタン[録画リスト]ボタン→[SET]ボタン

とされています。これで、[BD]ボタンを長押しした際に、BDレコーダーの録画リストが画面に表示されるというわけです。このなかで、[TV入力切換]ボタンは、BDレコーダーが接続されている入力端子に切り替わるまで、必要な回数だけ押すとなっています。ところが、これはこのままではうまくいかないケースが多いでしょう。テレビの入力は、テレビのチューナーになっている場合もあるでしょうし、何らかの機器が接続されている場合には、そちらに切り換えられている場合もあります。しかし、このマクロでは、同じ回数、[TV入力切換]ボタンを押すことになっているので、このマクロがうまく動作するには、マクロが起動した時点で、テレビの入力がどこになっているのかが、固定されている必要があるわけです。筆者の使用しているテレビでは、入力切り換えボタンを押すと、「内蔵チューナー」「ビデオ1」「ビデオ2」「ビデオ3」「HDMI1」「HDMI2」といったように、順々に入力が切り替わっていきます。また、電源を入れた際には、前回選択されていた入力が引き継がれます。こういった操作スタイルになっているテレビは多いのではないでしょうか。このような場合、テレビが現在どの入力になっているのか、リモコン側で知る方法がないので、何らかの工夫が必要になります(もし、テレビ側のリモコンが、外部入力をダイレクトに「HDMI1」「HDMI2」などと切り換えるボタンを持っている場合には、そのボタンを記憶させてしまえば、なんとかなりそうですが)。

その工夫が、RM-PLZ530Dに用意されている放送切換ボタン([地上アナログ][地上デジタル][BS][CS])の活用です。操作切換ボタンで[TV]を選択した状態でこれらのボタンを押すと、TVの入力は無条件に内蔵チューナーに移ります。内蔵チューナーからBDレコーダーが接続されている入力に移るまで[入力切換]ボタンを押す回数は固定されているので、その回数分だけ[TV入力切換]ボタンを押せばよいことになります。手順はこのようになります。

[SET]ボタン→[ホーム/メニュー]ボタン+[BD]ボタン→[TV]ボタン→[地上デジタル]ボタン(4種類のうちどれでもかまわない)→[TV入力切替]ボタン×必要な回数→[BD]ボタン→[録画リスト]ボタン→[SET]ボタン

これで、テレビの状態にかかわらず、テレビの入力をBDレコーダーが接続されているものに切り換えて番組表を表示できるようになります。

放送切換ボタンを利用すれば、テレビの入力を決め打ちすることが可能に

さて、RM-PLZ530Dのマニュアルには、コンポーネントマクロ、システムコントロールマクロの例で、いずれも、TVやレコーダーなどの電源をオンにしておく必要があると、書かれています。マクロには、電源ボタンも登録することが可能なのですが、なぜこのような表記になっているのでしょうか。これはやってみればすぐにわかります。先ほどの、テレビとBDレコーダーが接続されている環境で、BDレコーダーの録画リストを表示するマクロに、電源のオンを組み込んで見ます。なお、筆者が使用しているBDレコーダーは、同社のBDZ-T75で、同社のレコーダーでは、RM-PLZ530Dで[BD]に切り換えただけで電源が入るようになっています([BD]ボタンに登録したマクロを実行しようとすると、マクロ開始までの間に、BDレコーダーの電源も入ることになる)。これを解除することも可能なのですが、今回はステップ数を稼ぐために、このままで設定してみます。

[SET]ボタン→[ホーム/メニュー]ボタン+[BD]ボタン→[TV]ボタン→[電源]ボタン→[地上デジタル]ボタン(4種類のうちどれでもかまわないが)→[TV入力切替]ボタン×必要な回数→[BD]ボタン→[録画リスト]ボタン→[SET]ボタン

普通に、電源の操作を入れるとこのようになるはずです。このマクロを実行すると、確かに、テレビとBDレコーダーの電源は入ります。ただし、テレビの入力はBDレコーダーが接続されているのとは違ったものが選択されていて、BDレコーダーも録画リストを表示してはいません。これは、テレビやBDレコーダーが起動してから、入力を受け付けられるまでにかかる時間のせいです。このマクロでは、テレビの電源をオンにして、即座に入力を内部チューナーに、そこから必要な回数[TV入力切換]ボタンを押して、テレビの入力をBDレコーダーが接続されているものに切り換えています。しかし、テレビの電源を入れてから、実際に操作が可能になるまでには、若干のタイムラグがあります。そのため、最初の内蔵チューナーへの切り替えと、何回か行われている入力切り替えのうちのいくつかを取りこぼしてしまっているわけです。BDレコーダーも同様です。これを回避するには、テレビの電源がオンになって、入力を受け付けるようになるまで、テレビの操作を行わないという方法が考えられます。具体的には、テレビの電源をオン→操作をBDに切り換え→操作をテレビに切り換え→テレビの入力切替というようにすれば、なんとかなるかもしれません。というわけでやってみたのですが、やはり、間に合いませんでした。そこで、さらに操作対象をテレビとBDレコーダーとの間で行き来させ、WAITを入れることで何とかしようと思います。テレビとBDレコーダーの操作切り替えを2サイクル入れたことで、テレビの入力は正しく切り換えられるようになりました。

[SET]ボタン→[ホーム/メニュー]ボタン+[BD]ボタン→[TV]ボタン→[電源]ボタン→[BD]ボタン→[TV]ボタン→[BD]ボタン→[TV]ボタン→[地上デジタル]ボタン→[TV入力切替]ボタン×4→[BD]ボタン→[録画リスト]ボタン→[SET]ボタン

しかし、BDレコーダーに録画リストを表示させることは、可能な場合と不可能な場合とがありました。BDZ-T75は、スタンバイモードで「高速起動」を選んでいても、電源をオンにしてから操作が可能になるまでに15秒ほどかかります。上のようなマクロにすることで、この部分はクリアできたのですが、起動時に「データ受信中…」と表示され、処理が遅くなってしまう場合、やはり、表示に間に合いませんでした。それに見合うだけのWAITを入れるには、RM-PLZ530Dのコンポーネント/システムコントロールマクロの16ステップという限界を超えてしまいます(既にこの段階で13ステップある)。例えば、BDZ-AZ2000/1000/AT900/700/500/300Sのように、起動の速いモデルを利用すればなんとかなるのかもしれません。

いずれにせよ、RM-PLZ5300Dは、手軽にメーカーコードを呼び出せるマルチリモコンとしてだけではなく、工夫次第でさまざまに活用できるリモコンです。RM-PLZ430Dに比べて、操作切り換えボタンが3個増えており、その分だけ多くマクロも利用できるというのも大きなメリットでしょう。個人的には、ステップ数がもっと多いか、秒単位でWAITを入れる機能が搭載されていれば、さらに活用範囲が広くなるのでは、という印象です。