【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

66 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)

 

66/116

前回は、ON STATION MICRO IIとSAS100という、比較的手軽なシステムでしたが、続いては、43xx系コントロールモニターの最新モデル「4319」と、JBLのフラッグシップモデル「Project EVEREST DD66000」です。

JBLサウンドに、新搭載ミッドレンジによる高解像度をプラスした「4319」

高い解像度を持つ、新生代のコントロールモニター4319

4319は今年の3月に発売された新製品で、43xx系モニタースピーカーの、現時点での集大成といってもよいモデルです。30cmウーファー、12.5cmミッドレンジ、2.5cmツイータを、4312系の集中配置ではなく、4318や4307などと同様に、ユニットが直線上に並ぶインライン方式で配置しています。また、ウーファーにはネットワークをプラス。4312シリーズまでの構成では、ウーファーは、フィルターによる帯域の制限はかけられておらず、ユニット本来の再生帯域で鳴っていました。これが、中域の厚みや荒々しさを生み、ロックやジャズファンからの支持を得ていたのですが、4318以降の新世代のコントロールモニターでは、ウーファーに送られる信号は、ローパスフィルターを通るようになり(4319/4318では800Hz)、いわゆる普通の3Wayとなっています。4319では、これに加えて、新しいミッドレンジ「105H-2」の搭載が大きなポイントです。105H-2は、アルミニウム-マグネシウム合金製の振動板を採用するミッドレンジで、この手法はTSシリーズで採用されていたものですが、ようやく、このクラスのスピーカーにも降りてきたということになります。ここまでが、4319の基本情報です。

試聴に使われたシステムは、デノンの10年ほど前のプリメインアンプ(PMAの一つ上のクラス)と、マランツのSACDプレーヤーSA-13S1の組み合わせです。このシステムで、同社で用意していたCDと、筆者が持ち込んだCDから、6曲ほど聴いてみました。

何よりも驚かされたのが、とんでもない解像度の高さです。筆者が持っていったCDで、普段、自宅のスピーカーやモニタータイプのヘッドホンで、一つの音だと思って聴いていたが、実はいくつもの音が合成されているといった部分に、何カ所も気付かされました。この辺りは、新搭載されたミッドレンジの威力というところでしょう。恐るべし105H-2。もちろん解像度だけのスピーカーではなく、43xx系の中低域のノリのよさとでもいったらよいのでしょうか、かそういったものも持ち合わせています。また、いままで中域も受け持っていたウーファーが低域に特化したことで、低域には、ある意味余裕といったものも感じられます。全体的な方向としては、4312などと比べると、クリアさがアップしているといった印象です。

これに関して同社の方は「4319のサウンドに関しては、賛否両論あるでしょう、4343が最高、というような、JBLのスピーカーに熱さを求めるという人にとっては、こんな見通しのよい音が出て来られたら困るといった意見もあるかもしれません。しかし、モニターとしての性能の進化をとめるわけには行きません」とのことです。

また、この前に聴いたON STATION MICRO IIやSAS100などでは、やはりカットされていた部分が多い、という点にも気付かされます。ソースに含まれている情報から、実際に引き出される情報の量がまるで違います。QVGAのディスプレイで映像を見ていたが、実はソースはフルハイビジョンでしたといったような感じでしょうか。

ここまで来ると、もはや非現実的「Project EVEREST DD66000」

とんでもない臨場感をもつサウンドだが、ちょっと非現実的なEVEREST

続いて試聴したのがEVEREST。もはやなんというか、謝るしかないというか、帰りたくなるような気分ではあります。いままで聴いてきたものとは、レベルが違う、音の固まりが存在する感じといったらよいのでしょうか。空間を範囲で区切って、そこにそれぞれ音を発するかたまりを配置したといった感じです。定位というのとはまた違って、音を発する存在が、一つ一つ確かにそこにあると認識できるほどの実在感と臨場感。マルチチャンネルではなくて、これをステレオで実現しています。

EVERESTのシステムは、2本の標準サイズ(38cm)のパルプコーンウーファーに、ツイーターとスーパーツイーターのコンプレッションドライバーを組み合わせたもの。これを、幅965mm×高さ1109mm×奥行き469mmのエンクロージャーに組み込んだというもので、質量は、グリル込みで142kg。2本で約600万のスピーカーですが、一品ものではなく、これはあくまでも、マスプロダクツで、すでに数百本単位の販売実績があるとのことです。

4本のスピーカーを聴き終えて

全部のスピーカーを通して聴いた後で、再び最初に聴いたON STATION MICRO IIを聴いてみました。ON STATION MICRO IIには、もちろんエベレストや4319のような切れ味や臨場感はありません。しかし、これはこれで、いままでの緊張を取り除くような、とにかく、ほっとするサウンドだと、とくにEVERESTを聴いた後だからなのかも知れませんが、そう感じられました。ただ、ほっとするようなサウンドではありますが、JBLのエッセンスのようなものは、その明朗なキャラクターから伺うことができます。とにかく、明るい。これは、こういったコンパクトなシステムから、エベレストに至るまで、JBLのすべてのスピーカーに共通した傾向の一つでしょう。同社のシステムエンジニア グレック・ティンバースは、スピーカーのサウンドに関して、「ダイナミズム」という言葉をよく使うとのことです。音が入ったときの反応のよさが、ライブ感や音像の立体感を生む。それがJBLのサウンドということなのでしょう。

今回聴いたスピーカーで、一番印象に残ったのは、やはり4319です。筆者は、自宅で4305というモデルを使用してるのですが、これは、いわばお買い得モデルでしかありません。それと比較するのも問題なのですが、例えば、4312Dの音と比べても、確かに、世代が一つか二つ上がった感があります。1本16万円という価格も現実的なレベルです(EVERESTの1本約300万円とと比べると)。実際、同社の方に、どうですか、お安くしておきますよ、といわれ(もちろん冗談でしょうが)、ついふらふらと心が動きそうになったのは確かです(設置場所を確保できれば、危ないところだった)。

66/116

インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

もっと見る

人気記事

一覧

新着記事

青山にミカフェート開業! コーヒーを味わう空間に菓道家によるスイーツ登場
[14:17 9/27] 趣味
今週の秋葉原情報 - 2テラSSDの低価格化が進む、逆回転でホコリを落とすVEGASファンも
[14:15 9/27] パソコン
人工知能でカスタマーサポートの価値は向上するか
[14:14 9/27] 経営・ビジネス
これが惑星移民船のエンジンだ - スペースX、新型エンジンの燃焼試験を実施
[14:13 9/27] テクノロジー
マッスルカフェ「天下一筋肉決定戦」開催! 女性限定ならではのサービスも
[14:09 9/27] 趣味