【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

56 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド

 

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先週に引き続き、ウォークマンのフラッグシップモデル「X」シリーズです。前回は使い勝手と機能面についてでしたが、今回は、最大の特徴でもあるデジタルノイズキャンセリングシステムと、サウンド面について、筆者なりの印象をお伝えしたいと思います。

ノイズキャンセルのレベルは調整可能。最大にすると別世界といった感じになる

ノイズキャンセルは「電車・バス」「航空機」「室内」の3モードを備える

一覧からカーブと効果を確認しながら選択できるイコライザ

効果的で音質的にも悪影響が感じられないノイズキャンセリングシステム

筆者所有のアナログタイプのノイズキャンセリングヘッドホンは、低域がこもるという印象があります。それに対して、以前、同社のデジタルノイズキャンセリングヘッドホン「MDR-NC500D」を聴いたときには、そういった印象をあまり受けませんでした。Xシリーズのノイズキャンセリングシステムは、回路的にはMDR-NC500Dと同じものが採用されているということですが、オーバーヘッドタイプとインナーイヤー対応というヘッドホンのスタイルから来る違いからか、MDR-NC500Dに比べてもクリア度がアップしているように感じられます。

ノイズキャンセルの効果は、室内モードで動作させると、「PCのファンの音が聞こえなくなる」「となりの部屋で動いている冷蔵庫のモーター音が聞こえなくなる」といった感じで、普段、気にしていなかったノイズが、ノイズキャンセル回路によって消されたことで、初めてその存在に気づくといった具合です。

ノイズキャンセルをオンにしたときの切り替わりは、一瞬です。アナログタイプのノイズキャンセリングヘッドホンだと、最初は外部のノイズが聞こえていて、ノイズキャンセルのスイッチを入れると、外部のノイズに反応したノイズキャンセル回路が発生する外部のノイズを反転させた音が、聞こえてきて、しばらくすると、それらが打ち消し会って、外部のノイズが聞こえなくなるという感じなのですが、Xシリーズの場合、外部のノイズが突然消えます。これは一度体験してみる価値があるでしょう。

外出時にも使用してみました。まず、電車の中です。ノイズキャンセル回路をオンにすると、レールの継ぎ目の音とモーター音以外の、風の音などのノイズはほとんど聞こえてこなくなります(モーター音は若干減衰しているように思えます)。また、普通は、ホームと電車の中では、周囲のノイズレベルに差があるため、乗車時には、ボリュームを上げないと聞き取りにくいといったことがありますが、Xシリーズでノイズキャンセルをオンにした状態では、ボリュームを調整する必要は感じられませんでした(というよりも、まったくボリュームの調整に意識が行っていませんでした)。

インナーイヤータイプなので、もともと外部のノイズは減衰するのですが、それ以上にノイズキャンセルの効果が大きく、音楽を聴く環境として電車の中はそこそこ快適なのではと思えるぐらいです。

続いて、駅で降りてそのまま周囲を少し歩いてみたのですが、これは危険です。周りの車がすべてプリウスになったような感覚です。注意していないと、すぐ近くに来るまで気がつきません。また、歩いていると他人にぶつかるなど、普段、我々が外部からの情報を音で認識している部分がどれだけ大きいかを実感させられます。

クリアテクノロジーの効果は

Xシリーズには、デジタルアンプ「S-Master」、高域の補間を行う「DSEE」、左右のセパレーションを改善する「クリアステレオ」といったクリアテクノロジーが採用されています。短時間ですが、使用してみた印象をお伝えします。

搭載されているデジタルアンプS-Masterは、Xシリーズ全体のイメージともかぶるのですが、全体的にフラットで(イコライザやクリアベース機能をオンにすれば印象は変わる)、輪郭がはっきりしている印象です。立ち上がりの速さがそう感じさせているのかもしれません。

DSEEは、再生するデータのビットレートがある程度高い場合は、かけなくてもOKといった感じです。320kbpsのMP3ファイルだと、その差は筆者に判別できません。192kbpsでも、実際のところ、その差はあまりわかりません。DSEEをオンにしたときの音の違いは、高域が出るというものではなく、圧縮時に消されているメインの音に付随する音なのだろうと思われるようなものが再生されるという感じです。全体としての広がり感、あるいは臨場感といったものがアップしているように感じられます。

クリアステレオの効果は、左右のセパレーションを上げるということですが、オフにした場合、センター近くに音がまとまる感じになり、オンにすると、左右の広がり感が増すといった印象です。一部の製品に搭載されているステレオワイド機能のように、とくに音質自体に影響を与えてはいないようです。

イコライザに関しては、筆者は普段あまり積極的に使用しない機能なのですが、セットされたパラメータが一覧で並んでいて、そこからカーブと実際の効果を確かめながら選べるというユーザーインターフェイスは、なかなか楽しいものだと思いました。

さて、Xシリーズは、32GBモデルのNW-X1060だと、同社のショッピングサイトで4万9,800円(ソニースタイル限定モデルだと5万2,800円)、16GBモデルのNW-X1050でも3万9,800円と、確かに、ポータブルプレーヤーとしては値段の高い製品です。

とはいえ、ワンセグやビデオ再生など、機能面でも充実していますし、デジタルノイズキャンセリングヘッドホンの部分は、単にMDR-NC300Dのローコスト版という感じではなく、Xシリーズを含めた一つのシステムとして(音質/操作性も含めて)まとまっています。デジタルノイズキャンセリングヘッドホン込みとして考えると、以外にコストパフォーマンスが高いシステムだと思うのですがいかがでしょうか。

ソニースタイル限定モデルのウォークマン NW-X1060/BI(アイスブラック)とVAIO Type C(ブラウンクロコダイル)

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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