先日、ティアックより発表された骨伝道ヘッドホン、Filltune(フィルチューン)「HP-F200」。骨伝道ヘッドホンなので、外部の騒音に関係なく音を聞くことができるうえ、アンプなどの改良により高音質再生も可能というモデルです。このHP-F200をお借りすることができたので、簡単に、その使い勝手などをレポートしてみたいと思います。

高音質骨伝道ヘッドホンHP-F200

まず、製品の構成ですが、ヘッドホンと専用アンプという組み合わせで使用します。以前このコラムで取り上げたサンコーの骨伝道ヘッドホンでは、とくに専用のアンプや電源などは必要なかったのですが、このHP-F200では、専用のアンプと超磁歪トランスデューサー(振動子)との組み合わせで、骨伝道ヘッドホンで不足しがちな高音域などを補っているということです。ヘッドホン部分とアンプとは、独自形式のコネクタで接続されます。オーディオ機器からの入力は、このアンプ部分にあるステレオミニジャックに接続します。

アンプは、バッテリーが組み込まれている割りには軽量ですが、例えばデジタルオーディオプレーヤーと一緒に持ち歩くという場合には、そのサイズが若干気になるかもしれません(ヘッドホンとアンプの間、そしてデジタルオーディオプレーヤーとアンプの間の2本のケーブルもあるため)。

アンプのサイズは、iPod nano 1Gと比較するとけっこう大きい

ケーブルが多いこともあり持ち歩きにはややかさばる

さて、骨伝道ヘッドホンの最大のメリットは、騒々しい場所でも、聞き取りやすいという点です。ノイズキャンセリングヘッドホンは、連続した騒音には効果がありますが、突発的な騒音には対応できません。例えば、電車の中などでならば効果を発揮しますが、人の声や電話のベルなどを遮るというわけではありません。筆者の家の近くには東急田園都市線が走っていて、そのガード下でHP-F200を使ってみましたが、電車の音がうるさく聞こえるにもかかわらず、デジタルオーディオプレーヤーからの音楽も聞こえるという、状態でした。これはHP-F200だからというわけではなくて、骨伝道ヘッドホン全般の特徴ではありますが。

それよりも気になるのが、HP-F200の音質でしょう。筆者が使用したことのある骨伝道ヘッドホンは、サンコーの「VONIA EZ-4200P」だけなので、それとの比較ということになりますが、確かにHP-F200のほうが高域までバランスよくに聞こえます。また、VONIA EZ-4200Pは、ちょっとこもったようなサウンドなのですが、それに対してHP-F200はクリアな、というよりも固めのサウンドを聞かせます。同社では、このHP-F200を、オーディオ用としても使える骨伝道ヘッドホンとしていますが、それは決して大げさではないというのが筆者の個人的な印象です。ただし、普通のヘッドホンや、あるいはスピーカーで聞いた場合と比べてどうかというと、筆者には、左右のセパレーションが少し強調されすぎているように感じられます(内耳にダイレクトに振動が伝わるからでしょうか?)。また、拡がり感もあまり感じられません。

気をつける必要があるのが、装着する場合のパッドの位置です。HP-F200では、ヘッドホンの骨に当てる部分は樹脂製の小さなパッドです。この部分は可動式で、フィットしやすい構造だと言えるでしょう。しかし、このパッドを当てる位置によって、聞こえ方がまったく変わってきます。最初、昔のAMラジオのような音が聞こえてきたときには、さすがに驚きました。VONIA EZ-4200Pでは、多少ラフに装着しても、あまり音は変わらなかったのですが、HP-F200では当てる位置の影響をかなり受けるようです。

このパッドを当てる位置によって音が大きく変化する

さて、先ほど電車の中で、と書きましたが、骨伝道ヘッドホンは、そのままならば音漏れはさほど気になりません。ただし、パッド部分になにかが当たっていると、その当たっているものが振動して外に音が聞こえるようです。